【第三章】第三十二部分
おジャ魔腐女どれみは、咲良の涙で濡れた地面をじっと見つめていた。
「ダメ天使よ。ここをよく見るんじゃ。」
「何よ。ここにはヤマナシケンはいないわよ。地面なんか見ててもヤマナシケンは帰って来ないわ。」
「そうでもないかもしれんぞ。ここをよく見るんじゃ。」
「こ、これって?」
グラウンドには、殺人現場の死体があった場所を示す白いチョークで描かれたような人間型の絵があった。
「もしこれがタダの人間の残り絵だとしたら、まだかすかな可能性あるかもじゃぞ。」
「でもアタシの魔法はもう使えないわよ。」
「でも可能性があるなら、やってみる価値はあるかも。ここまで起こった事情もだいたい推察できてるよ。みあは優秀な天使だからね。」
実亜里が咲良たちのそばに来ていた。
「死んだ者を復活させることなんて、できるわけないじゃない。」
「ふつうはそうだけど、相手はお兄ちゃんだよ。お兄ちゃんの気持ちが残っている場所が一つだけあるよ。」
「それはいったいどこよ?」
「お兄ちゃんの気持ちの中にあるお姉ちゃんだよ。腐士山にいた時に、お兄ちゃんがおもいびとを頭に浮かべたはずだよ。それがまだ残っているなら、お兄ちゃんを呼び戻すことができると思う。」
「そんなことができるの?仮にそれができたとしても、ヤマナシケンの時間質量はなくなっているのよ。もう元には戻れないわ。」
「それはやってみないとわからないよ。とにかくこのままじゃ、お兄ちゃんを復活させることはできないんだから。じゃあいくよ。相対魔法、術式・空気、制限・オン。対象・お兄ちゃん、範囲・お兄ちゃんの残存思念、時間・5秒、到級3。発動!」
『ぐぐぐ。』
白くて長いものがそこに現れた。細くて長いホースのようでもある。
「これって、蛇じゃないの?」
「そうじゃ、そうじゃ。これこそ、小蛇じゃ!」
「お兄ちゃん。やっぱり小蛇だったんだ。がっくり。」




