【第三章】第二十八部分
「ここは人間界でも魔界でもない、亜空間じゃ。そなたを助けるのが、精一杯じゃったかな。人間界は確実に消滅したわ。魔界のことはわからん。但し、魔界は人間界にリンクして存在しておるだけに、源流世界が消滅した以上、魔界が存在を維持できているかどうかはわからんがな。」
「人間界がなくなった?咲良様は?実亜里はどこ?」
「さあな。世界がなくなって存在を保てるのか疑問じゃな?議員の体の爆発は、タダの爆弾のそれとは違う。膨大な時間質量の超速拡散は、宇宙の始まり、ビッグバンに匹敵する威力じゃからな。通常の空間は時空と共に、衝撃波を受けて、消し飛んでしまう。異次元世界ならいざ知らず、魔界は異空間とはいえ、人間界と同一次元に存在するからのう。人間界と一蓮托生の運命を辿ってもなんら不思議はない。天界も同様じゃ。よって、そなたの妹たちも逃げることはできなかったじゃろうて。」
「そ、そんなぁ!ボクだけが助かったなんて。ひどすぎるよ。咲良様は、実亜里はどこにいったんだよ。」
大粒の涙を溜めている和人。瞼が腫れている。
「どこにと言われても消滅したんじゃから、どこもかしこもないじゃろう。」
「つ、つまり、この世の者ではなくなったってこと?」
「端的に言えばそういうことじゃな。そなただけが助かったことを幸運じゃったと考えるべきじゃろうて。」
「嫌だよ!ボクひとりだけでどうすればいいんだよ。こんな世界、生きていくだけ無駄じゃないか。」
「命を粗末にするな!ここに残ったという事実をよく考えるのじゃ。ここには、男女がふたりおる。それは生命をつなぐことができることを示すことになる。これも自然の摂理のひとつじゃぞ。」
「その意味は?」
「つまり、そなたと妾がアダムとイブ・・・。は、恥ずかしいことを言わせるな!それに、そなたには小蛇という大きなウイークポイントがあるしのう。」
「聞いてるこっちが恥ずかしいよ!そんなことに至る前に、他の手段を考えようよ。どうすれば元に戻せるとか?」




