【第三章】第二十七部分
「ま、まさか、これは血?どうして議員の口から?」
『ドド~ン!!!』
何かが芳香議員の体内で爆発したような音が聞こえた。
「ぐああああああ~!」
大きく胸を張りあげて両腕を広げ、校舎を割らんばかりの絶叫した芳香議員。
芳香議員のからだが風船のように、膨張して、内臓が切れたのである。芳香議員はポンプで膨らますように、さらに大きくなり、赤い血管が浮き出ては、そこから内出血した。つまり巨大な赤い風船が学校に出現したのである。それは校舎よりもはるかに大きいものとなった。
もはや芳香議員の意識はなく、巨大な飛行船が漂っていた。
「遅かったか。」
「お、おジャ魔腐女どれみさん?」
閻魔ではなく、黄色い幼児帽子を被った幼女が和人の前に立った。
「これは大変なことじゃ。この議員は、タダの人間の時間質量を取り過ぎたんじゃ。議員の時間質量受け入れキャパはたかがしれておるのに。」
「おジャ魔腐女どれみさん。このままだといったい、どうなるの?」
「議員の魔法属性は風じゃ。もっと膨張して、風船体はその膨張に耐えきれなくなるじゃろうな。」
「するとどうなるの?」
「想像を絶するパワーで爆発してしまうじゃろう。地球が軽く吹っ飛んでしまうぐらいにな。」
「ええ?そ、そんなの、困るよ!なんとかならないの?ゴホゴホ。」
和人も体の半分が失われており、呼吸をするのがやっとの状態。
「あ~!」
和人に返事しようとしたおジャ魔腐女どれみが叫んだ瞬間。音すら聞こえないレベルで、強烈な光が発せられた。
数秒後。地球はなくなっていた。音は聞こえなかったのではない。音という空気の振動を耳から入れる生物がいなくなっていたのである。
「ううう。ボクは生きてるのかな。ここはどこ?」
「どうやらダメ人間の確保には成功したようじゃな。」
「お、おジャ魔腐女どれみさん!ここはいったいどこなの?真っ黒な空間で宇宙のような無重力地帯のみたいだけど。」
実際に和人の体は浮いていた。おジャ魔腐女どれみも同様。
視界はほとんど閉ざされていて、お互いの姿が見える以外はすべてこの上ない漆黒の世界。
ただの暗闇とは違い、空間の存在を感じることができない。
それが虚無という感覚。




