【第三章】第二十二部分
「ア、アタシは天使だし、テスト中で、ヤマナシケンが何もしないようにしなきゃいけないのは変わらないわ。で、でも、ヤマナシケンがどうしても、生還祝いのスキンシップを要求してるようだから、仕方ないから、犬撫でだけはしてあげるから感謝しなさい。」
咲良はすでにくっ付いている三人をイネの害虫のように引き剥がして、全力で抱きついた。
「ヤマナシケン、本当によかったわ!」
「ありがとう、咲良様。」
「あ~、お姉ちゃん。ズルいよ!」
「販売員もキャッチセールスするですよ!」
「反則。∴再度ハグする!」
4人におしくらまんじゅうされて、息ができなくなり、倒れる和人であった。もちろん心臓は稼動中で命に別状はない。
和人が時間質量を取り戻してから数日後の魔界議会。議会は休戦条約批准で大混乱に陥っていた。
国防予算委員会では、委員長の解任決議が可決されるという異常事態になっていた。
新委員長が委員長席に腰掛けた。メガネが建物の中でも光らせ、かつ荒い呼吸も健在である。
「私、蓮舫は、魔族保守党の運営方針に疑問を呈し、改革を再三申し入れしてきましたが、聞き入れてもらえませんでした。このままでは魔界国民である有権者悪魔の皆様の付託に応えることができないと判断して、魔族保守党を離党して、魔界革新党に党籍を得ました。私の存念を申し上げれば、悪魔の本分は戦闘ありきなのです。ハァハァ、ハァ。」
前国防委員長は夢の島という時間質量廃棄場の占領に失敗して、実権を失った。
すでに混迷していた穏健派には大きな打撃となり、前国防委員長は求心力を喪失してしまい、委員長からの辞任を余儀なくされたのである。
魔族保守党の混乱の最中に、かねてから執行部に批判的だった芳香議員は離党を宣言し、ライバルである魔族保守党に入党して、国防委員長に就任したのである。
新委員長は言葉を続ける。
「先の夢の島奪取失敗は、魔族保守党の武力行使が中途半端だったことに原因がありました。極力戦闘を回避しようという弱腰な取り組みが災いとなったわけです。一方、時間質量確保は、天界との今後の交渉上も大きなファクターとなります。従って、これまでとは異なる大胆な政策を展開していきたいと思います。ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。一発やりたい!」
突き上げた右腕に、大きな拍手が巻き起こった。




