【第三章】第十五部分
「咲良様。よほどの劣等生だったんだね。人間界に補習でやってきた理由が、今更ながらにわかってイタいよ。」
「ヤマナシケンの分際で余計なツッコミはやめなさい!もう堪忍袋の緒がキレキレにかわいいわ。ハゲ悪魔とバトル開始よ!」
「咲良様。やっぱり国語、赤点な気がする。」
「かかってきな。ダメ天使のコネコ、化け猫ちゃん。いやバカ猫ちゃんかな?」
「わざと間違えてるのかしら?もう許さないわ。」
咲良は大股歩きで、ずいずいと百鬼議員の方に向かい、呪文を唱えた。
「相対魔法、術式・火、制限・オン。対象・ハゲ悪魔、範囲・全身くまなく髪の毛一本残さない、時間・3秒、到級3。発動!」
あろうことか、咲良は怒りのあまり一気に3秒魔法を使ってしまった。
『ドカ~ン!』という爆音と、夥しい量の土煙が上がり、周囲は灰一色の世界となった。すべての時間質量を使用したところから、その威力はバツグンであった。
百鬼議員の大きな体は確認できなかった。
「ちょっとやり過ぎちゃったかしら。あんなサンシタハゲ悪魔を倒すのに、3秒はもったいなかったわ。貧民悪魔に贅沢なディナーだったわね。さあ、ヤマナシケン。みんなを助けて、帰宅するわよ。」
「おいおい。食い逃げはだめだぞ。ちゃんとカネを払っていけよ。」
「どうして、クソ悪魔が生きてるのよ。せっかく、臭い呼気で空気を汚すのを止めたのに。」
百鬼議員は、咲良の3秒とはいえ、強烈な爆発を受け止めていた。そこには脂ぎった百鬼議員ではなく、筋肉質なイケメンがいた。
「『あんた誰よ?どうしてあんたが無事なのか?』ってツラしてるよな。ククク。俺はそちらの天使ねえちゃんみたいに、肉襦袢なんて高級品着てねえ。」
「どうしてみあのことを知ってる?」
「これでも悪魔議会議員幹部だ。それなりの情報は持っているぜ。俺たちは悪魔だから、時間質量が少ないのは当然だ。だから、こちらも時間質量節約のため、体を使ったのさ。」
「まさか、体を道具として使ったっていうことなの?」
片膝ついた咲良が百鬼議員を見上げている。
「そうさ。貧乏な悪魔にお似合いの所業さ。つまり、俺の全身の脂肪に魔法で火を点けて爆発させたんだよ。その爆発力でダメ天使の爆発魔法と相殺したっていうことさ。消費量の多い到級5を超えられない悪魔らしい身銭を切るワザってワケだ。ダメ天使はすでに時間質量ないんだよな。ペロ。」
「イケメンになっても性格はハゲ悪魔のまたままだわ。」
「なんとでも言えばいい。それが悪魔。それも武闘派なんだからな。今からはお楽しみのマイホームルームの時間だぞ。ギヒヒ。超絶ダメ天使はヒドい貧乳だよな。でも俺は恰幅がいいから、逆に貧乳がおいしく感じるんだよ。」
「それを言うなら恰幅じゃなく、割腹しなさいよ!」




