【第三章】第八部分
「到級4しかできないのかな。これなら、いくら同時攻撃でも防御はカンタンじゃないけど、可能だよ。ちなみにレベル4なら同時攻撃でも楽勝だよ。相対魔法、術式・風、制限・オン。対象・みあ、範囲・全身、時間・1分、到級5。発動!こうして、魔法の壁を作ればどうということないもんね。」
『ガガガガガガ!』
硬質化した魔力がぶつかり合って、火花が散っている。
「ほらね。この程度の攻撃なら風のバリヤで十分だよ。」
お多福能面たちは呪文を唱えている。呪文以外のムダな会話はしていない。
まったく同じ攻撃が行われた。
「バカの一つ覚えなのかな?同じことやっても効かないんだけど。」
『ガガガガガガ!』
やはり風の壁はびくともしない。
攻撃に疲れたのか、4人の動きが止まった。
「あれれ。もう息切れ?じゃあ、こっちからいっちゃおうかな。疲れてる相手をイジメるのはシュミだけどぉ。特に疲れて寝てるお兄ちゃんとか。」
後ろを振り返って、離れたところに咲良とともに避難している和人に声をかけた実亜里。
「ボクを引き合いに出すな!それに襲われたことなんかないぞ。」
「あら、照れちゃって。お兄ちゃんの小蛇を中蛇にしたこと、覚えてないのかな?」
「ボクは大蛇だ!・・・になりたいんだ。」
「お兄ちゃん、かわいそう。ぐすん。じゃ、その劣等感を攻撃エネルギーに変換するよ。相対魔法、術式・火、制限・オン。対象・お多福仮面、範囲・2㎥×4、時間・10秒、到級5。発動!」
実亜里が呪文を唱えると、火柱がダルマのような形になり、それが4つに分かれて、轟音を立てながら、正方形の四隅を襲った。
そこに立つ4人それぞれにぶち当たった!
『シュウウ~。』
何かが燃えたような音が聞こえて、灰色の煙が立ちのぼった。
「これでゲームオーバー。一夜漬けの勉強よりもカンタンだったかな。」
煙が消えると、そこには4人がしっかりと立っていた。
「あらら。前と後ろの能面が入れ替わってるね。今度は防御が専門みたいだね。片付けするには、ちょっと時間がかかるかも。」
白、赤、青、茶色の壁。魔法で空気、火、水、土を固めて作ったものであった。
能面の区別はぱっと見つかないが、よく目を凝らして口元を見ると、前は笑い、後ろは悲しみという微妙な違いがあり、視力のいい実亜里はそれを見抜いていた。




