【第三章】第四部分
議会は大荒れの予感に溢れていた。本会議への上程は未了であり、当然与党からの巻き返しが想定され、採決の行方は予断を許さない状況であった。
「ふう。やっと人間界に戻って来られたね。遠かったよ。けっこう疲れたなあ。」
地上に降りたって、軽く汗を拭う和人。
翌日明るくなってから、和人たちは実亜里と入場券販売員の空気魔法で飛行して帰路を取り、コンビニならぬショッピングモールに到着した。
「みあは一人だったら、こんな距離は大したことないんだけど、お姉ちゃんを乗せてだと、ホントしんどかったよ。」
「悪かったわね。仕方ないじゃない。アタシの3秒は血の一億滴なのよ。とても大事に使うしかないんだから。」
一日経過して、咲良は魔法が使える状態に復帰していたが、飛行には使用しなかった。使っても3秒では人間界へ戻れないというのが現実であった。
「ホクホク、ホクホク。」
入場券販売員は咲良たちと比べて、ずいぶんと嬉しそうだった。
「もう。お兄ちゃんをお姫様抱っこするのは、みあの仕事だったのに。」
「ア、アタシはどうでもよかったけど。」
「販売員はすごく幸せでしたですよ。もっと飛びたかったぐらいでしたですよ。こんなに、おいしいとは、時間・・・おっと、なんでもないですよ。」
口をつぐんだ販売員は和人の足元を見ていた。和人は歩き出そうとすると、ちょっとつまずいた。
「あれ?なんだか、足がちょっと縺れちゃったな。」
「それは長い飛行で、エコノミー症候群になったのよ。ホント、脆弱な体ねえ、ヤマナシケンは。」
「それを否定できないところが辛いなあ。」
顔を曇らせながら、人間界へのゲートをくぐる和人。
「今日は天気がずいぶんと悪いのかしら。夜は明けてるっていうのに、すごく暗いわね。今にも雨でも降りそうだわ。」
霧がかかっているのか、見通しもずいぶんと悪くなっている。
「おジャ魔腐女どれみさんが言ってたのは、この天気のせいかな。雨が降り出すまえに、家に帰った方がいいって、ことなのかな。」
「お兄ちゃん。そんなのんきなことではなさそうだよ。ほら、靄の向こうにすごくイヤな空気が読めるよ。」




