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【第二章】第十四部分

『ぶちゅう~。きゅう~。』

月に雲がかかって、辺りが急に暗くなり視界が途切れた。

実に深いキスシーンが山の中で現実化した。3人対男子ひとりが実現したのか!

そして、カップ麺ができあがる3分間が経過した。

雲が晴れて、明るくなってきた。場面はひとり対ひとり。

女子4人の眼前に広がる薔薇色の光景。

『スポーン!』という吸い込み合った口同士が離れた時の破裂音。

「これでいいんだね。おジャ魔腐女どれみさん。」

ビッグプロジェクトを完遂させた有能ビジネスマンのように、軽く汗を拭った和人。満足感に浸った涼しげな瞳が輝いている。

「あああああ~!これじゃ、これじゃ、これじゃ~!」

おジャ魔腐女どれみは興奮のあまり、黄色い帽子を投げ捨て、涎掛けを振り払い、あまっさえ、ブルーの幼児服を脱ぎ捨てて、クマさんパンツ一枚になった。

幼児体型というよりもタダの幼児ヌードに付き、法律には抵触しない?

他の3人は呆気に取られ、瞠目したまぶたを閉じることを、忘れていた。

時間がしばらく止まっていた。

やがて、和人がまばたきして我を取り戻した時、イケメンクローンはすでに消滅していた。

「ボ、ボクはなんてことをしてしまったんだ!もはやオムコに行くどころじゃなく、中学生としての基本的人権を自ら放棄してしまったよ~!」

「お兄ちゃんが堕落したよ~!」

「タダの人間がマイナスの人間に転落してしまったですよ~!」

「ヤマナシケンの株が暴落して紙屑未満になったわ~!」

「ふん。妾は大いに満足したぞい。」

勝負したわけではないが、おジャ魔腐女どれみの1人勝ちであった。

脱力感溢れる和人と女子3人に向かって、おジャ魔腐女どれみが再び竹馬に乗って、物理的な超上から目線で宣言した。

「よし。それでは、タダの人間を元に戻すやり方を教えてやるぞい。」

「「「「はっ!そうだった。」」」」

4人は本来の山に来た趣旨を思い出した。

「タダの人間の現状は、時間質量を強制的かつ急激に取られた状態じゃ。その結果、人間としての生命エネルギーが欠乏しておる。一旦失われた時間質量は元に戻らぬ。」

「それじゃあ、お兄ちゃんは、もはやダメってこと?詐欺じゃん!」

「違うわ。人の話は最後まで聞け。重い質量を失った体に、軽い時間質量を広げること。これは質量が特に重い人間にしか適用できないものじゃ。時間質量を保存するスペースが大きいじゃな。(それは天使や悪魔にも同様のことが言えることは知っておるじゃろう。)タダの人間は、至極どうしようもないヘタレで凡人中の凡人じゃ。」

「そこまで言われるとひたすら落ち込むんだけど。」

「タダの人間は所詮タダなんじゃから、意見など言う資格もないから黙っておれ。タダの人間は、体内に大きく穴が開いているんじゃな。その穴に時間質量を広げて、埋めていく必要ある。ゴミ処理場を埋めるようなものじゃ。」

「ボクの体がゴミ捨て場と同一視されるとは寂しいよ。」

「いちいちうるさいぞ。時間質量を広げるには時間がかかるのじゃ。」

「どれぐらいかかるんですか?」

「ざっと、15年ってところじゃな。」

「ボクの今までの人生そのものじゃないか。」

「そういうことじゃ。それだけのものをそなたは失ったということになる。」

「ううう。なんだか、すごく落ち込んできたよ。」

「その感情はよくないぞい。さらに時間質量を失うことになりかねないぞい。」


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