【第二章】第十一部分
「いいや。体なんか、どうでもいいんだよ。大事なのは小蛇だよ!」
「バカなことを言うな!おジャ魔腐女どれみさん。実亜里の言うことは完全スルーして、ボクの体はどうしたらいいんでしょうか。」
「そうじゃな。う~む。」
おジャ魔腐女どれみは和人の体を舐め回すように見た。
「ちょ、ちょっと、どうしたんですか。ボクの体、どうかしましたか。どこかに興味を、いや何か異変でもあるんですか。」
「その言い回し。どうやら妾の狙いを警戒しておるようじゃな。蛇に睨まれたカエル的な恐怖が見えるぞ。」
「お兄ちゃんはカエルじゃないよ。小蛇だよ、みあだけの小蛇だよ!」
実亜里が案山子のように腕を伸ばして、和人の前にガーディアンとして立っている。
「ほほう。小蛇とな。それは使えるのう。ふふふ。では小蛇とやらの体、治して進ぜよう。」
「そうですか、ありがとうございます!ボクにできることなら、何でもします!」
「お兄ちゃん、そんな甘言に乗っちゃダメだよ!と言いたいけど、この際、お兄ちゃんの体より命を優先シートに座らせるしかないよね。」
「そんな言い方だと、不安な未来予想図しか描けないんだけど。」
「それはどうじゃろう。こういうものは考え方と受け止め方、解釈の問題じゃからな。人、いや腐女子はそれをファンタジーと呼ぶわけじゃが。」
「やっぱり、そっち系の方程式だ。中学生には難解だよ!」
「モブクレーマーの訴えは退けるのが大人の役所の仕事じゃ。それでは妾の条件、いや希望というべきか、を出すぞ。」
「「「ごくん。」」」」
咲良、実亜里、入場券販売員、計3人分の、実に爽快な喉越しが聞こえた。
「妾は見たい。今すぐ目の前での生BL,つまりBLライブをじゃ!」
「「「やっぱり!・・・でもBLって、ひとりじゃ成立しないじゃない。ひとりだとタダの妄想ストーリーになってしまう。」」」
満場一致の意見具申。
「そんなことはわかっておるわ。こんな山奥じゃ。誰かを連れてくるわけにもいかん。でもやり方次第ではないかのう。」
「じゃあ、みあが変身魔法で、男子になって、お兄ちゃんとチョメチョメ。ほあ~。」
実亜里は深夜の脳内暴走乙女と化した。
「変身魔法禁止じゃ。そんなことをしてもうわべだけ男子はつまらぬ。それにそなたたちの気持ちを考えると喜んでやりそうじゃし。」
「むむむ。反論できないよ。」
「じゃが、やり方がないわけではない。ひとりしかいないんであれば作ればよい。」
「作る?人間だよ。そんなことは天使にだってできないよ。」
「そうでもないぞ。フツーの魔法でも可能だと妾は考えるぞ。」
「どんなやり方があるっていうのよ。アタシには全然想像つかないわよ。」
「魔法到級3しかできない輩が文句を言うでない。妾の考えはこうじゃ。そこの女子3人、ちょいと耳を貸せ。」
おジャ魔腐女どれみを真ん中にして、女子会が始まった。
そして数分後、女子会の輪は解かれた。
実亜里が眼を『への字』にして和人の前ににじり寄ってきた。
「く、来るな~!とてつもない悪巧みのニオイが、スプリンクラーで撒かれているぞ。」
「ぎひひひ。お兄ちゃんが警戒レベルを5に上げてもムダだよ。それにこれはお兄ちゃんの体を治すためのものなんだからね。」
「そ、そうだな。他に手立てがないし、時間もないからな。ボクは覚悟を決めたよ。」
「それでこそ、みあのお兄ちゃんだよ。何でも言うことを聞く未来の傀儡の夫だよ。」
「もう人生に絶望したよ。何でも来いだ!」
「その意気だよ。じゃあ、お兄ちゃん、小蛇を出して!」
「ちょっと待ってくれよ。こんな公衆の面前で。逮捕されちゃうよ!」
「気持ちだけそうすればいいんだよ。こんなところでマジ出しは、法律違反だし、誰にも見せたくもないし。特に婆ちゃんには!」
「そういうことか。わかった。」
「その気持ちをお兄ちゃんの頭に浮かんだ女子のお腹に持っていくんだよ。」
「僕の頭に?」




