表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/71

【第一章】第九部分

翌日の学校。一時間目の授業がすでに終わっており、今は体育の時間である。

今日も金色リコーダーをぶら下げている和人。体操服にリコーダーとは実に似合わない。


これは体育授業が始まる前のこと。職員室に向かった和人。


(アタシの言う通りにすればいいんだからね。)


「大丈夫かなあ?」

角刈りでガッチリ体型の体育教師の机に向かった和人。

体育教師は、不審そうに眉間にシワを寄せている。


「木賀世。授業前だぞ。先生は忙しいんだが、何の用だ。」


「ボ、ボク、これを付けてないと突発性無呼吸症候群になってしまうんです。」

和人は『リコーダーを付けて全授業を受けさせてください。』という嘆願書を見せた。


「はあ?なんだそりゃ。先生をバカにしてるのか。さっさとグラウンドに行け。」


和人は教師の机に印鑑があるのを見つけた。


「先生、ここに認印をお願いします。」


「何、バカなことを。」


(今よ。笛を吹いて!)


『ぴーひょろろ。』


『あはん。どどーん!』

咲良が飛び出して、呪文を唱えた。咲良が3秒時間を止めた。和人は動けることから、その瞬間に印鑑を取って押印した。咲良はすぐに黄金リコーダーに戻った。



「先生、ありがとうございました。」

押印済みの嘆願書を体育教師にちらりと見せた和人。


「あれ?俺はいつの間に、はんこを押したんだろうか?」

狐につままれた表情の体育教師は学年主任であり、他の授業でも苗字帯刀ならぬ、黄金リコーダー帯刀を許された和人であった。


体育教師の体調が不良なため、授業は自由運動ということになったのである。


「今日、名詩魅は休みだね。昨日のことがあったからかなあ。」


(そうね。きっとアタシの魔法に恐れをなして、近づけなくなったのよ。)


「そうだね?きっとそうだね?」


(その連続疑問文に、そこはかとない悪意を感じるのは気のせいよね?)


「ははは。」

苦笑いするしかない和人。


(ヤマナシケン、どこか変わった?)


「別に。今日は天気がいいせいか、運動がしたくなったような。」


(どうせヤマナシケンは運動神経ゼロなんだから、逆上がりの練習してケガするのがオチだわ。)


「よおし!今日は逆上がりができるような気がするぞ!」


鉄棒を逆手に握った和人。思いっきり足を蹴り上げた。すると、横棒のところで、くるりと回転。・・・太陽に足の裏を見せたまでは進歩であるが、そこで足をジタバタさせて、あとは重力の赴くままに、元の地面に足を打ちつけた和人。


「痛ったあ!今日はできると思ったのに!・・うっ!」


和人は悔しがった瞬間に、とある視線に気づいた。


「ウフフ。」

声が聞こえたわけではない。しかし、そのように感じられた、そこには黒髪の委員長が立っていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ