プロローグ
ここは天使たちの住む天界の生徒指導室。椅子に座って、メガネの女教師と艶やかな金色で長い髪の女子生徒が向かい合っている。
「どうして、品行ド方正、容姿チョー端麗、不傍若無人なアタシがここに呼ばれたのですか?何も悪いことしてませんけどっ!」
「咲良=カエルさん。相変わらずの尊大ワードてんこ盛りだけと、成績優秀って言葉がないところを見ると、自覚はあるようね。あなたは、このままでは、落第です。よって追試を受けてもらいます。人間界に降りて、この課題をクリアしてもらいます。キヒヒ。」
メガネを光らせた教師は、空中に指を当てて、一枚の顔写真入りのデータを取り出し、咲良に見せた。
「これは未来の災いリストに載ってる男子です。リスクランクは最低なEですから、仮に変数カットにクリアできなくても未来に大きな影響はありません。期限は3ヶ月です。頑張ってもできないでしょうから、早々に落第パーティーの準備を始めますから、安心して失敗してください。キヒヒ。」
「わ、わかりましたよ。行けばいいんでしょ、行けば。失礼します!」
生徒指導室のドアをバタンと大きな音を立てて閉めた咲良。
「あ~あ、あの年増、ムカつくわ!どうして、アタシが人間界なんかに行かないといけないのよ。こうなったら全力、いや半力でいいわよね、ソッコーで片付けて見返り不美人にしてやるわ!」
大股歩きでプンスカしながら、白い羽を伸ばして、咲良は下界へ降りていった。