第4話
この世界のあらゆる物は主観から出来ていてる。例えば、A君が「空は青い!」と言ったとしよう。対してB君は「いや、この空は赤い」と言った。君はどの色が本当の色か分かるかい?・・・俺ならこう思う。この空に色は「ない」と。・・・変な考えを中学の頃の俺は考えていた。
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いつものように疲れた身体に安らぎを与えるために布団に倒れ込む蓮。
『俺から見て、あいつは・・・ただのクラスメイトですよ』
これが昼休みに質問された担任への答え。特に何を思うわけでもなくすんなりと出てきた返事だ。友達でもないし、ましてや知り合いでもない。ただ偶然、一緒のクラスになっただけ。それだけの関係だ。・・・まっ、イケメンの主人公みたいな奴が聞かれてたのなら『俺から見て・・・あいつは仲間です』って答えるんだろうな。
「・・・気持ち悪いな」
おっと、声に出してしまったぜ。
どちらにせよ、こう言うのは主観の問題だ。友達とは何処から何処までが友達なのか。きっと、それは誰にも分からない。だから、自分で決めしまう。そして・・・間違える。・・・やめよう、何だが自分が高2病みたいだ。
「・・・夕飯の支度するか」
嫌な過去が振り返って、来たところで思考を変える。
昨日は餃子だったから野菜を多めに取ろう。・・・よし、今夜は冷しゃぶに決定だな。
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「今日の休みは上北だけだな・・・」
朝のSHRで担任がそう告げる。
周りから寂しそうな声が漏れたり、心配の声を上げてる奴までいた。おいおい、一日休んだだけでこれかよ。 自分ならばこうはいかない。やはり、芸能人ってすごいと改めて思わされた、僕なのでした。
「・・・んじゃ、一時限目の準備しとけよ」
これといった連絡は無く適当な時間が流れたSHRだったが、予令のチャイムがなると担任は自分の授業があるため、教室から出ていった。だが次ぐに教室まで戻り、俺の事を指差しながら・・・
「藤原、放課後、残れ」
と言って、また教室を出て行った。クラスでは「また、あいつやらかしたのかよ」と言う、残念な目をしながら見られる。居心地が悪くなった教室で俺はただ、目の前の空席の椅子を見ることにした。
「君は、一体何をしているかな?」
右斜めの前、つまり上北の隣の席から声がかかる。
新垣 翔。このクラスのトップカーストであり、この学校でも目立つ容姿と何でもそつなくこなす器用な体は、ある意味有名人なお方だ。そんな彼が微笑みながら、底辺中に底辺である俺のなんかの事を気にするとは・・・・超いいやつだなぁ、おい!
「何って、俺は別に?」
「何度も、先生に呼ばれているあたり、僕にはそう思えないけど?よかったら、相談に乗るよ。」
どっかのアイドルみたいな、ニッコリスマイル向けられても俺の気持ちは揺るがないんだからねっ!気持ち悪い自分を胸の中で隠しながら、首を横にふる。
「気遣い、ありがとっ。本当に悩んでることなんてないし、あったとしても自分で解決するさ。」
「・・そうか、ならいいんだ。」
ガラガラっと、担任がいない1-3の扉が開かれる。
どうやら、一時限目の先生が来てしまったらしい。クラスメイトも、先生がきたことにより、おしゃべりも段々と無くなっていく。俺は後ろを向いている、新垣に前を向けと手で伝える。「ありがとう」と言って体を前へと向けた新垣は終始笑顔を絶やさなかった。そんな事に気づいたのが昼休みの一人でお昼を食べている時間。新垣の第一印象は、少し苦手だ。
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「いらっしゃいませー」
はーい、いらっしゃったよー。コンビニ店員の覇気のない業務挨拶に心の中で返事を返し、足の向く先は雑誌コーナー。気になる雑誌を見つけ、パラパラとお気に入りの作品を探す。うん、今月も○らぶるイイね!
ーーーーコンッコンッ!
窓ガラスを叩く音に体が反応する。
おいおい、誰だよこんな非常識な事するやつは。ちょっと、びっくりしちゃったじゃないか。まったく、漫画で舞い上がっていた俺のテンションを下げた、馬鹿やろうはどこのどいつだい。・・・私だよ!、ではなく、俺の恩人であり、知り合いであり、先生であり・・数えればきりがないほど色々とお世話になった人物がそこにいた。・・・・と、言うよりガラスの向こう側、太陽がそこそこ暑くなってきた外に彼女はいた。彼女は俺と目が合うと、ニヤリと笑い、店の中へと入ってきた。そして、約4ヶ月ぶりの挨拶。
「やぁあー、少年。童貞は卒業したか?」