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第六十一話

半年以上更新が滞ってしまって申し訳ありません!

 ロキが自らの潔白と己が言葉の審議を証明する為、俺の目の前でルーンを唱え始めた。


 唱えているのは召還のルーン。


 しかもこの召還は……。


「アースガルドの一体誰を呼ぶつもりだ?」


 そう、アースガルドの神々――ロキを岩屋に閉じ込めた連中の一柱だ。


 ロキ自身、居所をアースガルドに知られれば唯では済むまい。


 そんな危険を冒してまで一体誰を呼び出そうというのか。


 其の答えが程なくして現れる。


「……ロキ、貴方が私を呼び出してどうするつもりだ?」


「そんなに睨まないでよ~、セティちゃん♡」


 召喚されたのはアースガルドの神族、光明を司るバルドルと純潔を司るナンナの息子にして正義と柔和、真実と裁きの神、フォルセティであった。


 フォルセティはバルドルの息子らしく親父に似てイケメンだ。 そして性格も温和でとても優しい。 良かったなフォルセティ。 悪知恵が働く女好きの爺ちゃんに似なくて。


 フォルセティは眉を顰め、ロキを眼光鋭く睨みつけた。 そんなフォルセティが横目で

此方をちらりと見ると途端、眉間に皺を寄せていた眉が額に釣り上げられ、盛大に目と口を開き俺の事を凝視する。


「もしかして、貴方はグンディール……様?」


「おう! 久しぶりだなフォルセティ! お前と会うのは何時以来だ?」


「あなたがロキの妻、シギュンを保護してロキが逃げた事を知らせて下さった時以来ですね。 ――しかし、貴方が復活なされたのは話には聞いておりましたが。 まさか、ロキめと一緒におられるとは。 ……しかもその姿と神気、以前に増して一段と磨きがかかっておられますね」


「お? 分かるか? 流石フォルセティだな! 久しぶりにエールでも酌み交わしたいところなんだが……」


 俺はフォルセティに横目でロキを指し示す。


「私を召喚したのはロキめのようですが一体何故ですか?」


「実はな……」


 俺とロキはこれまでの経緯を話した。


 フォルセティは話をを聞き終え――


「……大体の事情は分かりました。 私が喚び出された理由も大方予想はつきます。 ロキよ、私の審判を受けると言うのだな?」


「そ。 その為に君を呼び出したんだよ~。 でないと、グンディールは信じてくれそうにないからね~」


「私も貴方は信じられませんが。 それにしても私を信用するというのですか? 貴方の度を越した偽りで父バルドルと母ナンナを死に追いやられた息子であるこの私を? 私も貴方を恨みに思っている。 裁きに手心を加えるかもしれませんよ?」


 フォルセティは半目でロキを見詰めて問うた。 偽りを看破し真実を見抜く瞳で。 だがロキは何時もの口調、何時もの飄飄とした態度で答えた。


「もちろんだよ~。 だって、君はそんな事しない――いや、出来ないでしょう? だって、正義の神様なんだし。 それに僕、無実だもん。 だから君は立派に僕の無実を証言してくれるよ」


 ロキはいやらしい笑みを浮かべながらフォルセティにフォルセティを信じるに値する理由を話した。


 確かにロキの言うとおりフォルセティは正義と真実を貫く。 例えそれが己の父母を死に追いやった(かたき)であるロキであろうと公明正大に裁くだろう。


 フォルセティは一つ溜め息を付いてロキに向き直る。


「良いでしょう。 本来ならば私の館で真実を見定めたいのですが……ロキがアースガルドに来れば騒ぎになります。 そうなれば落ち着いて真実を見極められなくなります。 ここで行いましょう。 その代わり、ロキ。 もし、貴方の主張が偽りであれば貴方をアースガルドに連れ戻し、オーディン様や他の神々の前で裁きを下します。 それこそ、貴方が以前閉じ込められ、生き地獄を味わった苦しみが生ぬるいと感じる程の苦しみを味わって頂きます。 ……宜しいですね?」


「ハイハイ、分かったからチャッチャッとやっちゃってよ~! それに、そんな事にはならないからさ。 だって僕は無実だもん」


 ロキの自信満々の態度と口調。 しかし、この自身がフォルセティを前にしても崩れないとは。 フォルセティには嘘は決して通じない。 アースガルドの主神オーディンですら彼を偽る事は不可能だ。


 俺の思考がよそ見をしているうちにフォルセティによるのロキの審判が始まった。 先ずは真偽を見定める処からだ。 フォルセティは己の杖《審判の杖》を取り出しロキに対してその先端を向ける。


「なっ!? こ、これは!?」


「?」


何だ? フォルセティが驚いた顔をして俺とロキを交互に見比べている。


「どうしたフォルセティ?」


 俺が声を掛けるとフォルセティは一瞬身体をビクつかせた。 調子でも悪いのだろうか?


「おい? ホントに大丈夫か?」


 俺がフォルセティに近寄ろうとするとフォルセティは大声を張り上げ俺に向って制止の言葉をぶつける。


「こ、来ないで! い、いや! だだだ大丈夫ですから! その場に! その場に居て下さい!」


 思い切り動揺し尻に手を当て穴を塞ぐような仕草をしながら俺から距離を取ろうと後ずさるフォルセティ。 一体何を見たのだろう? 俺は自然と渋面となりフォルセティに問いただす。


「……おい、何で俺から逃げようとする? それにそんなに動揺したら審判に影響するだろう。 一体どうした?」


「ま……」


「ま?」


「まさか……貴方とロキが出来ているとは思いませんでした。 あ、近づかないで下さい。 お尻を掘られるのは勘弁です」


 おいいいィィィ!!!! 何いってんのお前! 思わず空中でずっこけるっていう器用な事やっちまったじゃねえか!


「バカ野郎! んな訳あるか! 俺は普通に女好きだ! 男なんざにゃあ興味ないわ!」


「ああ、だからロキの性別を女性に換えさせたんですね。 流石、神々の世界で随一のムッツリスケベ。 今後、貴方との付き合っい方は考え直させて頂きます。 あ、それとご忠告申し上げておくとロキは貞操観念無いどころかマイナスです。 一緒になると苦労しますよ」


「ちっが~~~~う! 俺はロキと出来てない! それにそんなの審判には関係ないだろが!」


「いえ、大いに関係あります」


「何で!?」


 フォルセティは眉を顰めて言う。 ロキはニヤニヤといやらしい笑みを一層深めて俺を見る。


「ロキが叔父のヘズを唆しヤドリギで刺殺させた時、貴方が女性となったロキと熱い抱擁と情熱的なキスを交わしていたからです」


「やめて! それ言うのホントやめて! それロキに騙されてただけだから! 俺、知らなかったから! それ以上の事してないから! だから俺の黒歴史をほじくり返さないでーーーー!!!!」


 俺は空中で頭を抱えて蹲った。 誰にも知られたくない俺の秘密が白日の下に晒されてしまった。 もう表を歩けない……。


「後、グンディール様。 貴方の島の住人殺害云々もロキは嘘を言ってません」


「そ、そうか……」


 俺は顔を上げ、涙目でフォルセティの方向を見る。


「よってロキは無罪の判決を下します。 しかし、そうなると叔父を誑かして父を殺した犯人は別に居るという事……私は直ぐさまオーディン様にこの事をご報告に戻ります」


「そうか……」


 もう俺のライフはセロだ。 正直、今は生きているだけで苦しい。 そんな打ちひしがれている俺に対し、フォルセティは更に余計な一言をのたまう。


「あ、さっきの秘密を守るために私を女に性転換させて襲ったらぶん殴りますからね!」


「んな事するか! はよ帰れ!」


 その一言でブチ切れた俺はフォルセティに向かってユルンを投げつけ、ユルンを投げつけられたフォルセティは慌てて逃げ帰っていった。


ちょっとスランプ気味でしたが、これから少しずつ投稿回数を上げていきたいと思います。

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