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第五十二話

 俺は帰還に辺り最大の問題、容姿についてどうするか考えた。

 今まではヴァルスロットで俺自身の容姿を封じていたので、封印が解けた状態の絶賛ザ・美少年中の今の俺では両親や知り合いに全く気づかれないどころか他人扱いされるだろう。


 其処で技芸の女神ミネルウァに相談してみる。


「と、まあそう言う訳なんで封印状態の容姿に見せられないか?」


「そうですねぇ……今のグンディール様の倍増した力を封じるのは無理で御座いますが、容姿位なら以前の条件、グンディール様に心よリ信頼や愛情を寄せる者には効果が無いアイテムを用意する事なら可能で御座いますわ」


「力の封印に関しては別に構わないぞ。 元々、剣の権能を手に入れる為の修行の為だったからな。 今となっては必要無い」


「それではグンディール様、どのような形の物に致しましょう?」


「そうだな……。 装飾品じゃあ身ぐるみ外された時、正体がバレるから肉体の一部に偽装できるものがいいな」


「では付け毛など如何で御座いましょう? 見た目にもバレるという危険性は少ないと思いますが?」


「んー、そうだな。 それで行こうか」


「では髪を一房頂きます」


「ん」


 俺はミネルウァに頭を突き出して髪の毛を一部切ってもらう。


「それだけで足りるか?」


「はい、十分で御座います。 今日中には完成いたしますわ」


「悪いな。 ゴルゴーンハーフの皮を(なめ)す作業中だというのに」


 それに対してミネルウァは俺に微笑んで答える。


「作業自体は直ぐに終わるのですが、鞣した後、薬品を馴染ませる待ち時間が長いので実際には暇なのですよ。 ただ、革に加工するにはまだまだ時間が掛かりますのでグンディール様をお待たせさせてしまうのが心苦しいのですが……」


 ミネルウァは申し訳無さそうな顔で頭を下げる。


「いや、そっちは急がなくていい。 良い物を作るには時間が掛かるものだからな。 それと余った革素材は報酬代わりにお前とブリギッテで分けて受け取ってくれ」


「宜しいのですか!? このような貴重な素材を頂いて!」


「ああ。 流石にあんな大きな革は俺には要らんからな。 俺の分の鎧が作れれば十分だ」


「承知しました。 では遠慮無く頂きます」


 俺はミネルウァの工房を後にしてアンギティアに会いに行く。

 発信機を俺の体内に埋め戻して貰う為だ。


 刀部家が天津神の眷属とは言え、幾ら何でも海のど真ん中で漂っている俺の位置を何の目印もなく把握は出来んだろうからな。

 俺としても早く迎えに来て欲しいのでそうする事にしたのだ。


 後は俺が永久の幻想島に流れ着いた時に着ていたジャージを着てイリスに海で漂流しているボートや釣り糸や針、薄汚れたペットボトルを調達してもらってそれで漂流していれば遭難者としての体裁は整うだろう。


 数日後。


 全ての準備が整い、いよいよ俺は永久の幻想島から離れる時が来た。

 時間帯は夜中。 これは偶然通りかかった船の船員等に永久の幻想島の結界から出てくる所を目撃される危険を避ける為だ。


「サーガ、無事家に戻れたらゲート・ミラーから戻ってくるからそれまでこの島を頼むぞ。 それと不測の事態に陥ったら連絡を可能な限り入れるつもりだからその時はフォローをよろしく」


 サーガ達には予め幻想島と外の世界を行き来する為の通行証を渡してある。

 なので俺の身に緊急事態や万が一の事があれば救助してもらえる体制を整えて貰った。

 

「分かっております。 グンディール様もお気を付けて」


「ああ。 それじゃあ行ってくる!」


 俺はボロっちいボートで永久の幻想島の沖から結界を抜けて外に出る。

 さて、迎えが来るまでのんびり待つかと思っていた矢先、凄まじい轟音と共に頭上から大量の光量が降り注いだ。


 手を(かざ)して光を遮り辺りを見回すと数機のヘリや数隻の中型船が俺のボートを取り囲んでいた。

 しかもそれらは軍でよく使われている暗い色合いのオリーブドラブの塗装が施されている。


 俺、早速不測の事態に陥ったみたい……。


 さて、グンディールを取り囲んだ軍隊組織は何処の国でしょう?

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