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第四十七話

 お久しぶりの投稿です。

 この話しが年内最後の更新となります。

「はあ! はあ! つ、疲れた」


 俺はセックヴァべックのサーガの執務室の壁に片手を付いて某お猿さんの反省ポーズで息を整えていた。

 ウルド達は俺達に呆れて既にこの部屋から出て行っている。


「グンディール様、良い汗かきましたね!」


「いや、それお前だけだから……」


 俺はサーガに間髪入れずツッコミを入れる。

 じゃあなくって! 俺もサーガに大事な話があったのに何でこうなった!?


「……サーガ、いいか? 今から真面目で大事な話をする」


 俺は先程のおちゃらけた雰囲気を一転、真剣な空気を纏う。


「はい、わかりました」


 それに合わせてサーガも真剣な顔付きになる。 こういう時、サーガは切り替えが早い。


「俺の居場所が俺の転生した国、大和の国――日本に住む天津神とその眷属に知られた。 多分、永久の幻想島の場所もバレてる」


「他の神々にこの場所が!? 一体、何故に!!」


 俺は俺の体内に埋め込まれていた絡繰――神の体組織が仕込まれた発信機の事を説明した。


「そのような物がグンディール様のお体に仕込まれていたとは……。 もしや、天津神達はグンディール様の転生体を見破って、それでそのような物を仕込んだのでは」


「いや、それは無いだろう。 仕込まれたのは多分中学の頃だから十二、三歳位の頃だ。 確か、その位から俺の居場所が幼馴染にばれるようになったからな。 それにどちらかと言うと……発信機を仕込んだ幼馴染の個人的な趣味の部分が、理由の大多数を占めてる感じがする……」


 俺は幼馴染の刀部(カタナベ) 百合(ユリ)の事を思い出す。

 ユリは俺が小さかった頃から俺の何処が良いのか俺と一緒に居たがった。

 しかし、まさか発信機を俺の体内に埋め込む程のヤンデレさんに成長していたとは……普段の性格の明るさにすっかり騙されていたぜ!


「グンディール様、それで今後どういった対策を取るのですか?」


「ん~、ちょと思いついた事が二つばかりあってな。 それを実行しようかと思ってる」


 俺はサーガに耳打ちする。


「!? そ、そんな事が可能なのですか!!」


 目を剥いて驚愕するサーガに不敵な笑顔をしてみせる。


「可能だからやるんだよ!」


 新しくなった槍ユルン・メトスが自ら教えてくれたのだが、すごい能力が使えるようになっていた。

 俺はユルン・メトスのその能力を使う事にしたのだ。


「それと俺、一旦、国に戻る事に決めたわ」


「大丈夫なのですか? 下手をすればグンディール様ご自身の身が危うくなるかも……」


「だが、奴らが何処まで情報を握っているのか調べる必要がある。 それに、俺の事なら大丈夫だ。 最悪、拘束されるだろうが命のやりとりまでには発展しない」


「どうしてそう言い切れるのですか? グンディール様」


 俺は苦虫を噛み潰した様な顔をする。


 出来たらあいつ、天照大御神には会いたくないなあ。 いや、ホントに……。

 

「それは、俺が奴ら天津神の主神天照大御神のお気に入りだからだ。 それに新しい槍、ユルン・メトスの素材である緋緋色金(ヒヒイロカネ)青生生魂(アボイタカラ)を俺に寄越した女神でもある。 『将来、必ずこれらが必要になる』とか言ってな。 まあ、ゲートを設置すればいつでも戻ってこれるし、ヤバそうなら逃げてくるよ」


「わかりました。 それで、準備はどうすれば……」


「実行時は、サーガ達女神には俺のサポートをしてもらう。 詳細はまた後で相談しよう。 ただ、一番負担を掛けるのは『天の島』のアリアンロッドだからな。 今から相談しに行ってくる」


「わかりました。 では、お気をつけて行ってらしゃいませ」


 サーガは俺に一礼して執務室から見送った。


――天の島


 『天の島』へは『地の島』にある天の回廊と言う階段を登る事で行ける天空高くに浮いている島だ。

 他の島と同様、温暖な気候で過ごしやすく設定してある。 ただ、高い所にあるだけに風が(いささ)か強いくらいか。


 この島には転生後、初めて来るな。 アリアンロッドとも神々の舘での会議以降会ってなかったし……。

 あいつにも寂しい思いさせちまったよな……はっ! しまった! 手土産持って来るんだったか!!


 などと考えつつ、『天の島』にある星の舘に向かう。

 星の館は、『天の島』の管理人アリアンロッドの住処だ。


「あれ? もしかして、グンディール様?」


「そうじゃん!? グンディール様じゃん!!」


「うわあ! 久しぶりだあ!!」


 後ろから声がしたので振り返ってみると、其処にはアプサラス達がいた。

 アプサラスとはインドの元は水の精であったがやがて変化して天の精霊となった。

 また妖艶な踊り子でもあり、その容姿はインドの神々の姿を変えてしまう程だ。


 その為、アプサラスの大半は雷帝インドラの眷属、半神の奏楽神団のガンダールヴに嫁がされたが、それを拒否したアプサラス達を俺がこの永久の幻想島で保護した。


「よう! 久しぶりじゃねえか! 元気してたか!」


「どうしたんじゃん? 今までこっちに顔出さなかったのに」


「アリアンロッドに用事があってな!」


「そうそう! グンディール様! 永久の幻想島に男の人、入れてくださいよ! うちら踊り甲斐ないですよう!」


 アプサラス達からブーイングの嵐が巻き起こる。

 痛いとこ突いてくるなあ……。


「今考えてる最中だ。 下手に入植を推し進めて、変な奴らが来たら後の取り締まりが大変だからなあ。 そうそう! お前ら心当たりあったら……て、無理か……。 お前ら、インドだもんなあ……」


 俺は途中で話を切った。

 女神達にいい男の心当たりがあったら(そそのか)す――もとい、引き込むように声をかけてはいるが、インド系列の神々は駄目なんだ。


 それは俺の出自にある。

 俺は元はペルシアの神だ。


 実はペルシアとインドはお互いを悪魔、魔族と言い合い、罵り合い敵対関係にある、幾度も干戈を交えた間柄だ。

 そんな奴らが入植なんてしてこないだろう。

 よしんば、入植したとしても必ず面倒事、戦争に発展するような大きな問題を確実に起こすだろうな。


 それに俺はインドの神々からは、子供の頃に攻めて来た十万のインドの神の兵士を一瞬で殲滅した一件以来、『槍の魔王』として恐れられてる。


 そんな奴の所に来るのはよっぽど追い詰められたウチのアプサラス達みたいに訳ありな奴だけだろう。


「そうですね。 私等、インドの精霊ですもん。 それに、インドの神々とは絶縁したからどっちにしろ無理ですよ」


「そうだな……処でアリアンロッドは館にいるか?」


「居るはずですよ。 呼んできましょうか?」


「いや、いい。 俺の方から舘に足を運ぶつもりだからな」


「じゃあ、アタシ等と一緒に行こうじゃん。 どうせ、アタシ等も星の館に帰る途中だからさあ」


「そうだな。 俺が居なかった時の話しを聞かせてくれ」


 そうして俺はアプサラス達と話しをしながらアリアンロッドの居る星の館に向かった。


 ペルシアではインドの神々を悪魔と呼び、インドではペルシアの神をアスラ族と読んでお互い悪者扱いしあってたみたいですね。


 でも、北欧等の小人、ガンダールヴ(ル)なんかはインドの半神もしくは半身半獣として取り込んだりしてますね。

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