第三十話
モンハン4でちょっと一狩りしていて遅れました。
4Gちょっと楽しみです。
――北欧 アースガルド 世界樹ユグドラシル
永久の幻想島のノルン達――ノルニル(ノルニルとは運命の女神ノルンの複数形で二人以上のノルンが集まった集団の事を差す)は今、上空を見上げれば巨大な木が枝を空一杯に広げ、青々と葉を繁茂させた世界樹ユグドラシルの根本に向かっていた。
其処に住むノルニルの中でも運命の三女神と呼ばれる女神達にユグドラシルの枝を分けて貰う交渉をする為に。
年嵩のノルニルの一行に混じって二人の歳若いノルンの二人とトルネコの女神メリアスが付いて来ていた。
ノルニルとは元来、エルフ、ドヴェルク、アース神族、ヴァン神族、ヨトゥンヘイムなど種族や出自を問わず、運命を詠み、時に干渉する事が可能な存在の女神である。
実はエルフ族のルナティアはノルンであった。
それ故に自分がシンジとと結ばれる事を予見してシンジに猛アタックしていたのである。
そして、銀髪に浅黒い肌が特徴のダーク・エルフ族のソレーユ。
年齢はルナと同じ年で、容姿も同レベル。
彼女もまたノルンでありグンディールと結ばれる定めの女神だ。
ダーク・エルフ族はその肌の色から邪悪な存在と決めつけられ、昔から迫害されてきたが、グンディールによって安住の地、永久の幻想島を得て幸せに暮らし、グンディールを崇めている。
「それにしてもルナずるいよ! グンディール様に真っ先に会うだなんて! 私まだ会ってないのに!」
ソレーユがルナに対して文句を言い続けていた。
それに辟易しているルナ。
「しかたないわよ! 流石に細かい未来視は未熟な私には出来ないんだから。 それに会った当初はグンディール様だなんてわからなかったんだもの!」
「お主等、そろそろユグドラシルの根本、ウルドの泉に着く。 煩い口を閉じよ! それとウルド様、スクルド様、ベルダンディー様に失礼の無きようにな!」
「「はい!!」」
年嵩のノルンはルナとソレーユに注意を促す。
何せ今から会うのはノルニル達の中でも力が強く、実質ノルニル達の親玉的女神達なのだから。
失礼があっては運命の三女神がヘソを曲げ、ユグドラシルの枝を分けてもらえなくなる恐れがある。
ノルニルが歩き続けているとやがて視界に巨大な木の根元が見えてくる。
更に歩き続ける事半刻位であろうか、木の根元近くに泉と館が建っているのが見えてきた。
そして、その泉の近くに金髪碧眼の美しい三人の乙女が、まるで自分達を待ち構えているようにじっと此方を見つめて佇んでいた。
ノルニル達はその三人の乙女に近づき挨拶を交わそうとした。
が、それを中央の乙女ウルドが手で制する。
「事情は既に承知している。 グンディールの槍が砕かれ、新たなる槍を創造するのに大樹ユグドラシルの樹の枝が必要なのであろう?」
一番年嵩のノルンが一歩前に歩み出て頭を下げる。
「……その通りで御座います。 さすがは運命の三女神様方。 なればどうか、我等が主の為に世界樹ユグドラシルの枝を分けて頂きたい。 何卒、お願い致します」
更に深く頭を下げるノルン。
「断る!! と、言ったらどうする?」
「我等が身命を賭して、手に入れさせて頂きまする」
静かに、だが力強くハッキリと宣言する。
彼女達にとってグンディールとはただ崇拝するだけの神では無い。
虐げられ、行き場を無くした自分達を受け入れてくれた唯一の存在で、そのグンディールの為ならば彼女達ノルニルは命すら惜しくは無い。
「ふっ! 戯言が過ぎたな。 其処なトネリコの女神よ。 グンディールに相応しき槍の柄となる枝を選ぶが良い!」
「それでは枝を頂けるのですね!」
ルナが身を乗り出してウルドに尋ねる。
それにウルドが頷く。
「うむ。 だが勿論、条件はあるぞ」
「条件……ですか?」
ソレーユがウルドに問う。
「そうだ。 私、スクルド、ベルダンディが永久の幻想島に住み、グンディールの妻となる事だ。 ちなみに、これは決定事項なので断る事は出来んぞ」
「「「「「「はあっ!?」」」」」」
ノルニル全員声を揃えて驚く。
何故、そういう事になるのか意味がサッパリわからないのだから当然だ。
「はあ~、やれやれ。 やっとこの仕事も終わりかー。 あっ、そうそう館とユグドラシルの種も忘れず持って行かなくちゃね! 姉様!」
と、無邪気な末妹のスクルド。
「そうですねえ。 これでやあっとお嫁にいけますね、ウルド御姉様」
のんびりした口調のベルダンディ。
「ああ! 神代の時代に我等が行った恋占いで『大樹ユグドラシルの世話をしなければ永遠に嫁ぐ事叶わん』なんて巫山戯た予言が出たお陰で行かず後家になるとこだったが、それも夫となる相手がグンディールの様な大神では致しかたあるまい!」
握り拳を作り力説するウルド。
「あのっ! どういう事なんですか!?」
呆気に取られながらも何とか気持ちを保ち直し、事情を聞こうとするルナ。
「我等はグンディールの槍が碎けた時、新たなる槍の創造の時の為に材料となる世界樹ユグドラシルの生命力を高めるておくのに世話と管理をしてきたのだ。 我等はその為にヨトゥンヘイムよりアースガルドに遣って来た。 そう、全てはグンディールの嫁になる為に! ……ただ、その所為でアース神族の黄金の力が世界樹に流れ込み、黄金が枯渇したのだが、まあ今まで好き勝手やって周りに迷惑掛けたきた連中だ。 お陰で随分と大人しくはなったな」
「なるはど! だからヨトゥンヘイムに住んでおられたあなた方が、わざわざアースガルドにまで遣ってこられて世界樹ユグドラシルの世話をしておられたのですね?」
年嵩のノルンは今まで謎に包まれていた運命の三女神の秘密を知ってスッキリした顔で言った。
「そう言う事だ。 さあ、早く枝を選び取るが良い」
ルナ、ソレーユは同時に思った。
(ライバルが増えた!!)
ガックリと肩を落とす二人であった。
メリアスがユグドラシルの枝の中で最も健康で生命力に満ち溢れた槍の柄に最適な物を選びだし、ユグドラシルに頼んで分けてもらう。 すると、ユグドラシルは自ら枝を切り出してメリアスの手の中に落とす。
「ありがとね! ユグドラシル」
ユグドラシルに対して礼を言うメリアス。
「そうそう、永久の幻想島に行く前に所用を済ませておきたいのだ。 それともう一人、連れて行きたい神がおる」
「「まさか!? 女神ですか!!」」
ルナとソレーユは同時に言葉がハモる。
「いや、男神だよ。 これからの永久の幻想島にとっては色々と必要になる人材だ」
「「良かった!」」
再びハモる二人。
グンディールの嫁候補は沢山いる。
その中でもシンジことグンディールの寵愛を得られるか二人は心配なのだ。
「そう、心配せずともグンディールの寵は皆平等に得られるよ」
ウルドはルナとソレーユの心を見透かしたように微笑しながら二人に答えた。




