第二十七話
――永久の幻想島 神々の館 グンディールの寝室
「どうですか、エイル?」
サーガ様が心配そうにグンディールの状態を聞いている。
「体に異常はありません。 ……ただ、ヴァルスロットが碎けた衝撃がフィードバックしてグンディールの体に負荷が掛かったので何時目覚めるか、私達医術を司る女神でもわかりません……。」
「そうですか……」
サーガ様は肩を落としてベッドに横たわるグンディールを見詰めていた。
「僕の所為だ……」
僕は静かな部屋の中、ボソリと呟きほぞをかむ。
「僕がグンディールにあんな余計な事言わなきゃこんな事にはならなかったんだ!!」
ブリード姉が嘆き悲しむ僕の事をそっと優しく包み込むように抱きしめてくれる。
「ブリギッテの所為ではありませんわ……。 わたくしが剣を使う事を諦めさせようとした所為です……」
アンギティアがそれに異を唱える。
彼女にしては珍しく怒りの感情を露わにして。
「違いますっ! 永久の幻想島の男性達が皆死んでしまったのも、グンディール様が倒れたのも、全てはあのロキの所為です!!」
「そうね……とても許せる所業じゃないわね……」
エイルはロキに対して怒りと悔しさの余り、唇を噛み切り血がツウーと流れ落ちる。
サーガ様は何やら考を巡らせて、サーガ様の補佐役のソフィア様やエーゲリア、ミネルウァなど知恵を司る女神達と相談する。
そして最終的に出た結論を僕に述べた。
「ブリギッテ、シンジ様――グンディール様を助けたいのなら方法は一つ、ヴァルスロットを復元するしかありません。 そして、それを成せるのはブリギッテ、貴女しか居ません」
「僕が……ヴァルスロットを復元する……?」
僕の言葉に頷くサーガ様。
だけど、僕はサーガの言葉に頭を左右に振って否定する。
「む、無理だよ! 僕にヴァルスロットの復元なんて出来ないよ!!」
涙目でサーガ様に訴える。
「ですが、鍛冶を司る女神は貴女しか居ないのです。 無論、貴女だけに負担はさせません。 ソフィア、エーゲリアやミネルウァ達が貴女をサポートします。 それに貴女が出来なければ、此処に居る誰もグンディール様を救え無いのです」
「で、でも……」
それでも躊躇する僕。
ヴァルスロットのような凄まじい力と能力を持つ神器の復元などという大仕事を熟す自身は僕には無いよ!
「……何もそんな気負う事なんてねえぞ? ブリギッテ……」
いつの間にかグンディールが目を覚まして体を起こそうとする。
まだ起き上がっちゃいけない体なのに!
「ッ……、流石にキツイな……」
慌ててサーガ様がグンディールの体を支えに入る。
「ば、馬鹿! 何無茶してんのよ! アンタの半身であるヴァルスロットが砕けた所為でアンタの体に相当な負荷が掛かってんのよ!!」
「わあってるよ! ……そんな大声出さなくてもちゃんと聞こえてるよ……。 なあ、ブリギッテ。 別にヴァルスロットを元の状態のまま復元しなくていいんだぞ?」
「そんな……っ! それじゃあ、グンディールがっ!!」
元の状態に復元しなくちゃグンディールの体調が戻らないのに自分でそんな事言うなんて!
「だからさあ……、元に戻すんじゃなくてもっといいもんに作り直すんだよ。 そもそもあれ、俺がガキの頃に道端に落ちてた隕鉄と其処らに生えてた木の枯れ枝で作ったもんなんだぜ? 言うなればガキの工作だ……。 ブリギッテならそんなもんよりもっといいもん作れるぜ」
「作り直す……。 もっといいものに……」
グンディールの言葉に僕は心の奥底から何か熱いものが込み上げてくる。
「そうだ……。 お前がいつもやってる事と何一つ変わんねえよ。 だからお前になら簡単に出来ちまうよ。 傍でお前の腕見てきた俺が保証するぜ!」
グンディールの言葉に僕は決意する! 此処で奮い立たなきゃ鍛冶の女神の名が廃るってものだよ!
「わかったよ、グンディール! 僕、やってみるよ!」




