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第二十二話

「此処、何処だよ……?」


 姿見の鏡に飲み込まれた俺は見知らぬ場所に立っていた。

 一見、永久の幻想島の様に見えるけど全然違う。

 何ていうか……。 そう! 空気が違う! 此処の空気は永久の幻想島より甘い感じがするんだ。

 !? 気配がする! 生き物? いや違う! これはサーガやエイル達のように神気を放っている! 俺の所に近づいて来てるぞ!!


「おい、お前! こんな所で何をしている?」


 俺は声がした方向に振り向く。

 其処には今まで見た中で絶世の美貌と 均整の取れたの体型を持ち、胸は巨乳未満だ。


「貴方は……此処は一体何処ですか?」


「何だ、お前? 田舎者か? 此処はティル・ナ・ノーグ、『常若の国』と呼ばれる島だ。 此処に時空の歪みが生じたので様子を見に来たのだが……っ!? 驚いたな! 見た処、男の様だがどうやって病を退けた?」


 女性は驚愕し、まじまじと俺の体を眺めてる。


 病? 何の事だ? まさか! 永久の幻想島みたいに伝染病が流行って男が死に絶えたとかじゃあ無いだろうな!?


「その病って……もしかして男にだけ掛かる伝染病で、掛かったら最後、死んでしまう死病の事ですか!?」


「ああっと、前半部分は合っているが、後半部分が外れているぞ?」


「へっ!? ……どゆ事ですか?」


 あれ? 外した? でも、前半部分は当たってるって……。


「ええっと、それじゃあ男性は死ななかったんですか?」


「当たり前だ! でなければ余はとっくの昔に冥府へ旅立っておるわ!」


 女性は呆れて俺を見ていた。

 ん? ちょっとまて。 今、聞き捨てならん事を聞いた気が……。


「えっと、病気は女性には掛からなかったんですよね?」


「そうだ」


「貴方は女性ですよね?」


「今はな」


「今は?」


「余は元々は男であったが伝染病に掛かり体が女になってしまったのだ! 余だけではないぞ? 男は皆、生まれる前の赤児から寿命が尽きて死んだ者まで尽くだ!! その為、男が居らず困っておったのだ……。 何せ、男が居らねば子孫を残せん。 そうなればこの島の妖精、ダーナオシーは滅びを歩む以外他に道は無いのだ……。 だが! 其処にお前という救世主が現れた! これで妖精族やダーナオシーが滅びずに済む! 先ずは試しに余と子作りしようぞ!!」


 そう言って女性――元男は俺に飛びかかって襲って来た!

 イヤだーーーーーーっ! 元々が女ならともかく、女体化した男となんてしたく無ーーーい! しかも俺、まだ経験した事無い純粋なチェリーボーイだぞーーーーーーっ!!

 

 俺は相手に必死の抵抗を試み、何とか逃れようとするが奮闘虚しく唇を奪われてしまった……。


「ふぐっ!!」


 元男性の舌が強引に俺の口をこじ開け自らの舌を俺の舌と絡める。

 ゾゾゾゾゾゾッ! と、背筋から怖気が駆け巡る。

 やめろーーーーーーっ!! ぶっ飛ばすぞーーーーーーっ!!


「んんん~♡ ぷはっ!! おお! そう言えば余とした事が名乗っておらんかったな! 余はルー! ダーナ神族の王なり!!」


 ダーナ神族のルー!? その名を聞いた途端、俺は記憶の深淵から何かが呼び起こされた。

 それと同時に俺を組み伏せていたルーの顔面を拳でぶっ飛ばしていた。

 ルーは独楽(こま)の様に体を回転させて地面に倒れた。


「……ルー、ようも調子こいてくれたな……」


 俺は男のルーに唇を奪われたという精神的ショックでグンディールであった頃の記憶を取り戻した。 ……ただ、記憶の所々が虫喰い状態で、完全では無いが。

 俺は全身から怒りのオーラを湯気の様に立ち上らせてルーに一歩一歩近づいて行く。

 殴り飛ばされたルーが体を震わせながら、うつ伏せ状態で俺の顔を見上げた。

 

「その神気!? ま、まさか! お前はグンディールかっ!!」


「そのまさかじゃ! ボケ!!」


「ぐぼっ!!」


 今度はルーの顔面に思い切り蹴りを食らわせてやった。

 その後、俺は気が済むまでルーを痛ぶり続けた。


「イテテッ! 酷いのう……何もこんなになるまで殴らんでも良かろう? 仮にも余はお前の親友で、しかも今の余は女の身なのじゃぞ、グンディール……」


「その女の身で俺に襲いかかって、無体を働いたから殴り飛ばされたんじゃねえか? ルー」


 俺はジト目でルーを睨む。

 コイツとは腐れ縁で色々と付き合いが長い。

 ちなみに、ティル・ナ・ノーグを創造したのは俺だ。

 領土戦争に負けて行くとこがなかったから俺が作ってやった。


 永久の幻想島に移住させる?

 やめてくれ!

 コイツを俺の島に移住させたら秩序が乱れるぞ!


「それにしてもお前、死んだと聞いておったが……転生したのか?」


「ああ、一度転生を経験してみたかったのと、剣の権能が手に入るかもと思ってな!」


「……お前、それまーだ諦めてなかったのか? ブレん奴だのう……」


「うるせえ! 諦めなきゃこの世の中、不可能は無いんじゃい!」


 ルーは溜息を零しながら肩を竦める。


「はあ……、お前んとこの運命の女神達も言っておったであろうが……お前は未来永劫、その権能を手に入れる事は出来ぬと……」


 俺はその言葉を聞きたくなくて両耳を手で抑える。


「あー、あー、何言ってるから聞こえなーい」


「お前は子供か!! たくっ……」


「それより、此処でも奇妙な伝染病が起こったんだな……」


「そう言うお前のとこでも起きたのか!?」


「ああ、永久の幻想島じゃあ、男共は死に絶えた」


「何と!? では、これが偶然の可能性と言う事は……」


「無いだろうな」


 ルーは目を剥いて驚愕する。

 そりゃあ、そうだろう。 似たような事が他の島でも起こったんだから。


 永久の幻想島と言い、ティル・ナ・ノーグと言い完全に外の世界と隔絶した世界だ。

 似たような病が発生する事は無いし、そもそも伝染病自体が発生しないように俺は島を創ったんだ。

 それなのに発生しているという事は誰かが意図的に仕組んだんだろうなあ……。


 一体、誰が何の目的でこんな巫山戯た事してくれたんだかわからんが、きっちり落とし前は付けてさせてもらうぜ!


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