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第二十一話

 エイル! エイルはおるか!

 夜、神々の館にエイルの名を叫ぶ女性の声がこだまする。


「ど、どうしたんですか!? エレシュキガル様! そんな大声出して!」


「どうしたもこうしたもあるか! この『地の島』からグンディールの気配が突然消えたぞ!」


 エレシュキガルと呼ばれた女性は、銀髪の長髪で金の瞳と褐色の肌のスタイル抜群、オマケに爆乳だ。

 その爆乳ををゆさゆさと上下に揺らしながらエイルに詰め寄る。


「そんな!? ブリギット達の所に居たんじゃ……」


「……私は急患の治療でグンディール様と会ってない」


 と、ブリーイッド。


「ぼ、僕の工房にブリード姉と一緒に居たけど、その後グンディール、どっか行っちゃってわかんない……」


「右に同じですわ……」


 焦りながら答えるブリギッテとブリード。


「『天の島』ならばともかく、よもや『海の島』に行ってはおるまいな! あそこには世界各地に通じるグンディール専用の『ゲート』があるのだぞ! 其処から神に未覚醒状態のグンディールが外の世界に出て行ってしまえばどうなるか、お主でもわかろうものだろう!」


「!? 他の神域、特にペルシアの地に知らずに足を踏み入れでもしたらグンディールの身が危ない!」


「そういう事じゃ! 妾はこの『地の島』を管理ているので此処を離れられん……。 護衛役のお主がグンディールを連れ戻してこい!」


「わかりました!」


 エイルは直ぐに海の島に向かう。

 そのエイルの後姿を見送るブリードとブリギッテ。

 二人の背中からは冷や汗が止めどなく流れていた。

 様子のおかしい二人にブリイッドは尋ねる。


「……どうしたの? ブリード姉さん、ブリギッテ?」


「な、何でもありませわ! ブリイッド!」


「そ、そうだよ! 気の所為だよ!」


 ブリイッドを誤魔化す二人。


「……不味いよ、ブリード姉。 とんでもなく大事になってる……」


「と、兎に角、わたくし達も海の島に行って、グンディール様をお探しましょう!」


 二人は責任を感じ、シンジの捜索に加わる。


――海の島 海の館

 

 一方、時は少し遡る。


 俺は海の島の館にて、海の島の管理人である女神ティアマトに歓待されていた。


「さあ、どうぞ。 グンディール様がお取りになられたロブスターとアワビですわ」


「美味そう! ティアマトさんて料理も出来るんですね!」


「海の幸限定ですけれども。 それにしても驚きましたわ! まさか、グンディール様がこの『海の島』に訪問していただけるとは……。 そうと知っていたならご馳走の用意をしておりましたのに。」


「俺がルシアに頼んで連れてきてもらったんです。 ですから、気を使わないで下さい」


「まあ! グンディール様。 お心遣いありがとうございます」


 『海の島』、其処は海中にありながら陽の光が十分に届く不思議な島。

 地面には南国風の草木が生い茂り、この島にも魔獣や他の危険な動物が住んでいるそうだ。

 この島はマーメイドや魚人等の海中生物に変身できる人間達の住処でもあるとの事。

 しかも、この島に住む女神ネレイデス達や昔はローマの下水を司る女神だったが、今は海の潮の流れを司る女神として海の島の住人達から崇めれているクロアーキーナなど、粒ぞろいの美人ばかりだ。


「そう言えば此処に居る女神達って貴方を含めて神々の館で見た事無いんですけど、何でですか?」


「あたくしはこの『海の島の管理人』ですからこの島を離れる事はそうそうありません。 ネレイデス達は海に住むので陸には滅多に上がりませんわ。 それは『天の島』に住む管理人や女神達も同じです」


「へー、 そうだったんだ」


 俺は出された料理を平らげ、ティアマトと話し込んだ。

 ティアマトは元々オリエントの神で天地創造の為に孫に殺された事になっているが、実際には独身で男性経験が無い。

 夫とされるているアプスーは弟で、そのアプスーには妻、大地の女神アッカドがいて、ティアマト達はオリエントの天地創造には関与していないそうだ。


 昔の話しは長い間に自分達や他人の都合でコロコロ変わるものだとティアマトは語った。


「グンディール様、夜も更けてきたのでそろそろお休みになられてはどうでしょう? お部屋も御用意致しております」


 そうだな……。 今日は此処に止まって、明日帰るか。 あっ、その前に……。


「あの、すみません。 お手洗いって何処でしょう?」


 俺はもよおしてきたのでティアマトにトイレの場所を尋ねる。 決壊する前に行かねば!


「ああ、それなら……を……に行って……に行けば御座いますわ」


「ありがとうございます」


 ティアマトに教えられたと通り、トイレで用を足した俺は戻る途中、迷ってしまった。

 駄目だ、食堂の場所がわからない……。 人に聞こうにも誰もいないし、案内板も無い! 完全に迷った!

 俺はその場で留まりティアマトが迎えに来るのを待つか少し迷ったが、それは何だか情けない気がしたので自分の感を頼りに食堂に戻る事に挑戦した。


 が、結果は更に迷ってドツボにはまってしまった……。


「此処は何処だーーーーーーっ!!」


 思わず大声で叫んでしまった俺。

 どうしよう……ん? 何だ? あそこの通路から光が漏れてる。

 俺は光に誘われるようにその通路を進んだ。

 其処は広間になっており壁一面には無数の姿見の鏡が綺麗に並べて張られていた。


 此処は何なんだろう? 俺は姿見の鏡を一枚一枚見ていく。

 どれも一点物らしく一つとして同じものが無い。

 あっ、この鏡、嫌な感じがする。 この鏡は懐かしい感じだ。 どうやら鏡によって感じ方が違うらしい。 この鏡は……永久の幻想島のような感じがするなあ。


「其処の鏡に触っちゃあ、ダメーーーーーーーーーっ!!」


「えっ」


 俺はエイルの叫び声にビックリして思わず鏡に手を突いてしまう。

 俺の手はそのまま体ごと鏡に吸込まれ、永久の幻想島から消え去った。


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