第二十話
不幸続きの真田です。
母親の風邪がうつるは、歯医者に行く途中で足を怪我するは、虫歯の治療中、また虫歯が見つかるは……。
もう堪忍してや~。
今、俺はブリギッテの工房に来ている。
何故って? それは俺好みのロマン武器の剣を作ってもらう為だ!
「……て、感じの剣や刀なんかどうだ?」
「そうなると、重心のバランスの取り方が難しいから……てな具合になるね!」
「おお~! いいじゃないか!」
「えへへ~!」
俺に褒められたブリギッテが嬉しそうに笑う。
そんな俺達をブリードが工房にある椅子に座り、紅茶を優雅に飲みながら俺に質問してきた。
「にしてもグンディール様、まだ剣に拘ってるいのですか? 一応、短剣の権能を持ってるからもう良いじゃありませんの」
その問いに俺は頭を左右に振る。
わかってない! わかってないよブリード!
「俺が求めてるのは長剣や大剣の類だ! 短剣の様な中途半端な長さや厚さの物では無いのだよ!」
俺の答えにブリードは首を傾げる。
「そういうものですの?」
「そういうものだ!」
俺は断言して言う。
そこでブリギッテが俺達の会話に入ってくる。
「……でも正直、僕としては作った物は使ってくれた方がいいな~。 グンディールの場合、作っても使えないから飾るぐらいしか出来ないでしょ? そりゃあ、大事にしてくれてるのは嬉しいけど、道具は使ってナンボでしょ?」
ブリギッテのその意見に同調するブリード。
「そうですわね。 使えない道具を持ってても意味ありませんわよ? ですから……」
二人に寄ってたかってそこまで言われた俺は半泣き状態だ。
「……それでも、俺は長剣や大剣が大好きなんだあぁぁぁーーー!!」
思わずそう叫んだ俺はブリギッテの工房を涙をちょちょ切らせながら走って出て行く。
工房に残されたブリードとブリギッテ。
「少し言い過ぎましたわね……」
「だね……」
――永久の幻想島 海岸
俺は走っている内にいつの間にか海岸に来ていた。
そうだ! 鬱々とした気分を晴らす為に釣りでもしよう!
腰に差してあるヴァルスロットの柄を取り出す。
実はヴァルスロットの柄、伸縮自在で持ち運びが楽な上、便利な機能が付いていた。
その一つ、リール付き釣り竿機能! しかもこの釣り竿、餌がなくても釣りが出来るし、目的の魚、イカ、タコ、果ては伊勢海老や車海老、アワビにサザエ、ホタテまで連れてしまう万能釣り竿になるのだ!
俺はそこらいら辺に生えている適度な大きさと長さの葉っぱを短剣で切って、釣った魚介類を入れる籠を編んで作る。
作り終わったら早速、釣りの開始だ!
「今日のオカズはアワビと伊勢海老! サンマや穴子もいっいかもね~♪」
俺は鼻歌交じりに釣りを楽しみだした。
――夕方の海岸
おお~、中々大きいのが連れたな~。 ……て、伊勢海老デカっ! 一mはあるぞ、コイツ! アワビも二十cmの奴が三個取れた。 ……どうすっかな、これ?
チャプン!と大きく水が跳ねる音が近くで聞こえる。 何だ? 音がした方向を見てみると海面から女の子が顔を覗かせていた。
「君、誰?」
「私、ルシア。 『海の島』のルシア。 ねえ、貴方がグンディール様?」
女の子は首を傾げて俺に訪ねてきた。
大体十二歳前後だろうか? 深緑のウェーブがかかった長髪で中々可愛い子だ。 ……ただ、胸に貝で出来たブラをしてる。 初めて見たぞ、貝ブラしてる女の子。 あの貝はホタテかな?
「ああ、此処ではそう呼ばれてる。 それで? 俺に何か用か?」
「グンディール様は他の島には行かないの?」
「他の島?」
俺は首を傾げる。 はて? 永久の幻想島の他に島なんてあったのか?
そんな俺の考えを見透かしたのか、ルシアは俺の疑問に答えてくれる。
「永久の幻想島は、『天の島』、『地の島』、『海の島』の三つの島から出来てるの。 グンディール様が今居る島は『地の島』。 私は海の島に住んでるから、『海の島』のルシアなの」
「へーえ、そうだったんだ。 全然知らなかったよ。 で、その『海の島』って何処にあるの?」
「ん!」
ルシアは海岸から離れた海を指差す。
「あそこ? なんにも無いけど……」
「違う。 あそこの海の中にある」
ああ、なるほど! だから、海面の下に向かって指差してたんだ! ……でも、それだと普通の人間は行けないよな?
「『海の島』かあ。 行ってみたい気もするけど、海の中じゃあ流石に行けないなあ」
「行けるよ」
「へ! ……行けるの?」
「うん。 海の島に通じる道があって其処から行けるよ。 案内しようか?」
う~ん、どうすっかなあ。 もう夕方だし。 でも、ブリードやブリギッテに顔を合わせるのは今はちょっと気まずいなあ……。 よし!
「その『海の島』に俺を連れてってくれないか?」
「ん! わかった!」
こうして俺は、ルシアに案内されて海の島に向かった。




