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第十三話

 再びワルキューレの訓練に参加する俺。

 今日はエイルから相手を用意したから来るようにと呼び出しを受けた。


「さて、アンタの要望道理に相手を連れてきたわよ! ウィルトゥース様、九天玄女様、お願いします!」


「わかった!」


「うむ!」


 エイルの後ろから、完全武装の女性と着物を着た艶やかな女性が出てきた。


「右にいる方は女神ウィルトゥース様。 勇武と徳を司る女神様で使用武器は何でもごされの万能な方よ。 左の方は九天玄女様。 戦術と戦略を司り普段は鉄球に見えるる二本一対の雌雄の神剣を使用する女神様。 この方達なら私よりも遥かに強いからアンタも納得するはずよ!」


「グンディールよ! 会いたかったぞ! あの時の約束、必ず守って貰うからな!」


 少し癖っ毛の金髪美人だけど、身長が二m近い巨漢の女性が目を光らせて、今にも俺に襲いかかってきそうな迫力だ。

 ……グンディール、彼女と何か約束したのか?


「グンディール様! 久しぶりじゃな! しかし、まだ剣に(こだわ)っておられるのか? ……まったく、生まれ変わってもお前様は仕様がない御方じゃのう。 どれ、儂が相手を務めるから剣の権能の事は諦められよ!」


 こちらは華やかで美しい小柄な女性だな。 ……体格の割に胸がかなりありそうだ。


「俺は夢を諦めない! 必ず剣を使えるようになってやる!」


 そんな簡単に諦められるか! 俺は三歳の頃から木刀を振ってきたんだぞ! 諦めたら俺の十四年間が無駄になっちまう!


「儂等はハンデを貰うぞ、グンディール様。 グンディール様が槍を使うのであれば儂等一人づつでは太刀打ち出来ぬからのう。 二人がかりで参らせて貰うぞ!」


「行くぞ、グンディール! 覚悟してもらうぞ!」


「ちょ、ちょっとまって! 二人がかりだとキツイ! 俺、槍を持って一日も立って無い!」


「問答無用! 参る!」


 先ずはウィルトゥースが剣と盾を持って俺に向かってくる。

 九天玄女は後方で待機。


 ウィルトゥースが剣と盾を巧みに使い、俺の槍をいなして躱しながら俺の隙を突いて攻撃してくる。

 その攻撃を避けながらウィルトゥースの動きを見切り、隙を付いて両腕の中央に僅かな隙間を見つけて石突きを潜り込ませて、剣と盾を持つ両腕を弾く。

 がら空きとなった喉に石突きで突こうとするが、上空から何かが接近してきたので急いでその場を離れる。

 上空から降ってきた二つの鉄球はそのまま地面に激突しめり込む。


 俺はその光景に背中から大量の冷や汗を吹きす。

 後一秒、遅ければあれが確実に俺に当たっていたろう。


「俺を殺す気かっ!? 九天玄女!!」


 俺は九天玄女に向かって叫ぶ。

 だが九天玄女はどこ吹く風という感じで俺の言葉を受け流す。


「お前様がこの程度で死ぬ訳なかろう。 処で良いのか? ウィルトゥースが体制を立て直したぞ」


 俺が九天玄女と遣り取りしている間にウィルトゥースが体制を建て直し、再び俺に向かって来ていた。


「こんにゃろう!」


 俺は向かってくるウィルトゥースに向かって槍を構えて突っ込んで行く。


「ヤケになったか! グンディール!!」


 ウィルトゥースの迎撃範囲に直前、槍を地面に突き刺し、ウィルトゥースの頭上を飛び越えた。


「何!」


「ほう! やるではないか!」


 俺はそのまま九天玄女に向かって走る。

 

「だが、甘いぞ! グンディール様!」


 後方から風切音が聞こえる。

 ウィルトゥースが矢を放ってきたのだ。

 前後を自在に交代するその戦術、見事なものだ。


 九天玄女は鉄球を雌雄神剣に変えて俺に向けて飛ばしてきた。

 俺は瞬時に槍の柄を咥えて飛んできた雌雄神剣を二本共掴んで捕まえた。


 剣は使えなくても、こういう事は出来るんだよ!

 雌雄神剣を俺は思い切り地面に地中深く突き刺さす。


「なあっ! 儂の雌雄神剣が!!」


 動揺した九天玄女に当て身を食らわせ気絶させる。

 残りはウィルトゥースだけ!

 そのウィルトゥースが今度は手斧を横に回転させて俺に投げつけてくる。

 無数の手斧が俺に襲いかかる。


 だが俺はその回転して飛んでくる手斧を踏み台にしてウィルトゥースに接近する。


「そんな非常識な!」


 手斧では迎撃出来ないと悟ったウィルトゥースが今度は槍を投げつけてきた。

 甘いぞ、ウィルトゥース! 槍は俺の本分だ!

 俺に向かって投げつけられてくる槍を俺は掴み取り、逆にウィルトゥースの周りに向かって投げ返し、地面に突き刺す。

 身動き出来なくなったウィルトゥースに俺は槍の切っ先を向ける。


「チェックメイトだ、ウィルトゥース」


「グンディール……」


「勝負あり! 勝者グンディール! ……これで決まりね! アンタ、今後は長剣や大剣使っちゃダメよ!」


「はっ! しまった! 勝っちゃあ駄目だったんだあ!!」

 

 俺は頭を抱えて蹲る。

 そんな俺に熱い視線を投げかけ、頬を朱に染めるウィルトゥース。


「ん? どしたの、ウィルトゥース?」


 ウィルトゥースは覆い被さり抱きついてきた。

 うおっ!? 行き成り抱き付いて! 何だ! 何だ!


「あの時の約束、果たしてもらうからなあ!」


「だから! 約束って何だよ!」


「いちちっ! グンディール様よ! もう少し手加減してくれんか? かなり利いたぞ……」


 気を失っていた九天玄女は、気が付いて俺達の所にやってくる。


「それより、約束ってなんだよ!」


 九天玄女は溜息を吐いて俺の疑問に答えてくれた。


「それはの……お前様が転生する以前、ウィルトゥースに『嫁の貰い手が無かったら俺が貰ってやる』と約束したのじゃよ……」


 おいっ! グンディール! お前、何勝手な事を約束してくれてんだよ!

 俺が苦労するじゃねえか!


「それとの、その約束……儂とも交わしておるのじゃよ……」


 九天玄女もウィルトゥースと同じく頬を朱に染め、俺の事を見つめている。


「……ちなみに、 何で俺はそんな約束をしたんだ?」


「我の場合、男より身長が有り過ぎたから嫁の貰い手が無かったんだ……」


「儂の場合、逆に少女とあまり変わらぬ身長の為に大人と見られず、嫁の貰い手が無かったのじゃ……」


 んー、要するに……。


「もしかして、当時の価値観で、大き過ぎる・小さ過ぎる=ブス、て事?」


「端的に言えばそうだ」


「そんな儂等を見かねたグンディール様が、慰めてくれたのじゃろうが、儂等は本気でグンディール様を愛してしまってのう……」


「我等、他の求婚者を全て倒してきたのだ!」


「他に求婚者がいたの!? ならそいつ等に嫁げよ!!」


「イヤじゃ! 儂はグンディール様が良い!!」


「我の嫁ぎ先はグンディール! お前の所だけだあ!!」


「だから、結婚は勘弁して~! エイル! 何でこんなややこしい奴等を呼んだんだよ!!」


「アタシだって知らないわよ! て言うか、全部アンタが悪いんじゃないの!」


 俺は二人から逃げ出した!

 逃げた俺を追いかけてくる二人。

 そんな異様な光景を遠巻きに眺めるエイル。


 頼む! 誰か助けてくれ~!!


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