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第十一話

今日はちょっと長めです。

「う…ん……。」


 俺は甘い花の蜜のようないい匂いに鼻孔をくすぐられ、俺は瞑っていた目を開ける。

 すると其処には四人の女性が俺の顔を心配そうに覗きこんでた。


「うわっ!?」


 俺は驚いて飛び起きる。


「「「「きゃっ!」」」」


 俺の顔を近くで覗いていた女性達が小さい悲鳴を上げる。


 一人の金色に光ってる女性が俺の顔をまじまじと見た後、イキナリ俺に抱きついてきた。

 あっ、この匂い。 さっき嗅いだ匂いだ。 何だかとっても懐かしい感じがする……。


「良かった! 気がついたんですね、兄様!」


「兄様?」


 俺は一人っ子で妹なんて居ないはずだ。

 しかも、相手は俺よりも少し年上に見える。

 そんな人に兄様なんて呼ばれる覚え無いけど……。


「こらこらアシ、グンディールが混乱してるでしょ! 記憶が無いんだから先ずは説明しなきゃでしょ!」


 水色髪の綺麗な顔した魅力的なお姉さんが、俺に抱き付いた女性を窘める。


「そうですよ、アシ様。 私達とグンディール様の関係を説明しなくてはいけませんよ!」


 焦げ茶色の髪をアップにした、少し吊り目のきつい感じのするメガネの似合う美人なお姉さんがその言葉に追従する。


「でも、ホント久しぶりよね~。 しかも、凄く若返っちゃって。 羨ましいわ~」


 何だかのほほんとした黒髪の長髪、優美でスタイルがいい爆乳、尻デカお姉さんが会話に割って入る。


「ラーム、話の腰を折らないで下さい。 それとアシ様、いい加減にグンディール様から離れて下さい。 グンディール様が困っていらっしゃいますよ?」


 吊り目のお姉さんのその言葉に、俺に抱き付いていた女性がしぶしぶといった感じで俺から離れてくれる。


「申し遅れました。 私はチシュターと申します」


「あたしはアナーヒター」


「あっ、ども。 ヤリツカ シンジです」


「今の御名前は、ヤリツカ シンジと言うのですね」


 チシュターはその顔に微笑みを浮かばせ、きつい感じが和らぐ。

 この人……、こっちの方がいい感じなのになあ。 すげえもったいねえ。


 部屋には槍や棒に短剣、長剣に片手半剣や大剣、盾に鎧等が所狭しと置かれていた。

 おお~、俺好みの剣や刀が沢山ある。

 後でじっくり見て回ろう!


「処で俺、何で此処に寢かされてたんですか?」


 俺の質問にチシュターが即答してくれた。

 内容は以下の通りだった。


 永久の幻想島の主だった者達が集まった会議の後、俺は女性達に揉みくちゃにされてそのまま気を失い、それを助けてくれたのがこの四人の女性らしい。

 そして俺は、嘗て自分が使っていたこの部屋に連れて来られ、ベッドに寝かしつけたそうだ。


 この四人の女性達は嘗て俺が居たペルシアで女神をしていたが、俺が最高神アフラ・マズター――今はゾロアスター教のアムシャ・スタンプか――にペルシアを追われた時に一緒に付いてきた、最も付き合いの古い神らしい。

 その後、アフラ・マズターの息子のミトラが自分が最高神であるミトラ教を立ち上げて親子で骨肉の争いを繰り広げてるそうだ。


「あたしはあんたと同じく、アフラ・マズターに追い出されて行く宛もなかったから貴男に付いて行ったのよ」


「ワタクシは~二人に自分の女になれって脅されたからグンディールに付いて行っちゃったの~」


「小さい頃から私の面倒をよく見てくれたグンディール兄様がペルシアから追い出された事が我慢出来なくて後を追い掛けてきたんですっ!」


「私もアフラ・マズター様やミトラ様に御忠告や諫言をしていたら、御二人に煙たがられて追放されたのでアシ様と一緒に、貴男様の後を追い掛けたので御座います」


 と、アナーヒター、ラーム、アシ、チシュターの順番で事情の説明を受けた。


「そうですか。 でも、全然思い出せません……」


「エイルの話しでは覚醒には一年は掛かりますから。 焦ることは無いですよ。 グンディール様」


「そうね。 その時が来たら嫌でも思い出すわよ」


「どうして俺、ペルシアから追い出されたんです? 何か罪になるような悪い事でもしたんですか?」


 四人の女性は苦虫を噛み潰したような顔で話してくれた。


「あんたがペルシアで一番強くて、有能で、更にとんでも無い美貌の持ち主の上に最高神と同等以上の力を持ってたから人気があったんでアフラ・マズターがアンタに難癖付けてペルシアから追い出したのよ……」


 アナーヒターと名乗った女性が説明してくれた。

 それはいいけど、この人、全身黄金の金ピカだけど金が好きなんだろうか? すごく派手だ……。


「それ以外で何処か俺に悪い所は?」


「無いわね」


「それって、八つ当たりのような気が……」


「そうとも言うわね」


 俺は溜息を吐く。

 八つ当たりで追い出されたなんて、たまったもんじゃあ無いぞ!

 器が小さいよ、アフラ・マズター……。


「でも、とんでも無い美貌の持ち主ってのは言いすぎですよー。 例え以前はそうだとしても、今の俺はパンピー顔なんですもん。 今は関係ないですね」


 少し残念。

 その美貌ってやつを一度でいいから拝んで見たかったな。


「何を言ってるんです、グンディール様。 今もその美貌にはいささかの衰えもありませんよ。 むしろ、以前にも増して洗練されてますよ?」


「お世辞はよして下さいよ~」


「お世辞じゃなくて~本当の事よ~? それに~魅力も相当上がっているわよ~」


「はは、からかわないで下さい。 俺、本気にしちゃいますよ?」


 俺は微苦笑しながら答える。

 だって俺の顔、パンピー顔は確かだし、今まで一度もモテた事無いもん。

 いくら俺だって、世辞だって直ぐにわかるよ。


 アナーヒターは頭が痛いのか片手で頭を押さえて、溜息を付く。


「あんたには言葉よりも実際に見せたほうが早いわね……。 ヴァルスロットを槍にしなさい。 そして、其処の姿見の鏡に立って自分を見なさい。 それで本当だってわかるから」


「えっ! でも、それしたら命の危険があるんじゃ……」


「ただ槍にするだけよ! それだけなら体に負担なんて無いわよ!」


 俺はアナーヒターの迫力に押され言われた通りにヴァルスロットを槍りにして、姿見の鏡の前に立つ。

 其処にはこの世の者とは思えない絶世の美男子が立っていた。

 俺は驚愕の声を上げる。


「うおっ! これ誰っ!!」


「どう? これであたしの言ってる事が本当だってわかったでしょ?」


 アナーヒターは勝ち誇ったような顔で俺を見る。


「でも、何で急に顔が変わったんですか……」


 アナーヒターは呆れ顔で俺に言う。


「剣術の稽古の時、女が寄って来て邪魔になるからって、普段は槍の力で封印してあるのよ。 あんた、槍使いの軍神の癖に……」


「えっ、でも軍神なら剣も使えるんじゃ……」


 俺は嫌な予感がした。

 頼む! 俺の杞憂であってくれ!


「短剣ならね。 だけど、長剣や大剣は適正無いから無理だけど」


「無理? 少しも? ちょっとでも?」


「適正全く無し! いい加減諦めなさい! グンディール!!」


 ノオォォォーーーーーーーーーーーーッ!!

 俺の夢がっ!!

 剣や刀で無双するって俺の夢がーーーーーーーーーーーーっ!!


「あんた、その所為で幼い頃、『無能な軍神』のレッテル張られて、皆から馬鹿にされてたのよ。 かく言う私もあんたを馬鹿にしてた一人だけどね。 そう言えば、チシュターやラームはグンディールの事、馬鹿にしてなかたわよね? 何で?」


「一生懸命努力するものを、教育を司る私が馬鹿にするはずが無いでしょう」


「ワタクシは~、グンディールが軍神だけど優しくて慈悲深い子だったから好きだったのよね~。 だから~馬鹿になんてしなかったわ~」


 と、チシュター、ラームが答える。


「そうだったの? ……でもまあ、その後、あんたの評価が一転する出来事があったんだけどね」


「出来事?」


 俺はアナーヒターに質問する。


「それって、何ですか」


「私達、ペルシアの神々に敵対する魔族の軍の不意打ちによる襲撃よ」


「あれですね」


「あれね~」


「皆が逃げ惑い動揺する中、あんたはたった一人でヴァルスロット片手に十万の魔族に立ち向かい、一瞬で魔族の軍を殲滅したのよ」


 そんなに強かったのか! すげーなグンディール! 

 ん? アナーヒターの瞳、熱のこもってる気がするけど……。 うおっ! よく見れば、チシュターやラームもおんなじ様な感じになってるぞ!


「それで初めてあんたが槍使いの軍神だってわかったのよ。 其処からね。 あんたの人気が鰻登りになったのは」


「それも軍神の権能だけでなく、狩猟、果ては天、地、海の権能も持っていて、ちょっとした天地創造も出来たんですから。 凄いですよ、グンディール様は」


「まあ~、その所為でアフラ・マズターに目を付けられたんだけどね~」


 三人の言葉を聞いたアシは、申し訳無さそうに俺に謝ってくる。


「すみません。 グンディール兄様。 御父様の所為で……」


「いいって、あやまんなくても。 アシの所為じゃないから」


 俺はアシを宥める。

 実際にアシが悪いわけじゃ無い。

 全部、アフラ・マズターの所為なんだから。


 そうしているとアシの顔が一転して険しくなる。


「それより兄様! 転生などこれ一度きりにして下さいね! ちゃんと不老不死の薬を飲んで下さいよ!」


 そう言えば以前から疑問に思ってたんだけど、俺、何で転生したんだ?


「……何で俺、転生なんかしたの?」


 四人は顔を見合わせ、困惑した顔で溜息を同時に吐く。


「あのね~、ワタクシ達が理由を聞いてみたら、『一度、転生を体験してみたかったんだ!』ですって~」


 苦笑いしながら答えるラーム。


「えっ! 理由それだけ!?」


「それと~、『転生したら剣の権能が手に入るかも知れないから!』て言って聞かないから~。 だからグンディール~、周りが何と言おうと頑として不老不死の薬を飲まなかったんですもの~」


「それで寿命で死んじゃって、転生したってわけよ」


 えーと、俺、なんて言えばいいんだろう……。 グンディールの自分勝手な行動で皆、迷惑掛けられたんだろうな~……て、俺の事だよ!

 

「……何ていうか、 御心配と御迷惑をお掛けしました?」


 俺は首を傾げながら疑問形で聞いてみた。


「「「「そうよ! 反省なさい!!」」」」


「ヒィィィーーー! すんませんでしたーーーっ!!」


 その後、俺は只ひたすら謝る事しか出来なかった……。

 これも自業自得と言うやつか?


 9/17 プロローグの修正


 話の冒頭で『船外に…』を『船内の通路…』に変更しました。


 9/18 第十一話 修正


 女神の名前を間違えていました。


 テシュター ⇒ チシュター


大変申し訳ありませんでした。

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