演じ屋7
シオンは素ではない状態の姿のまま振り返った。
「全く、突然フリズム反応がするからと思えば・・・まぁ、暴走しなくてよかった。」
「シオン、俺には何が何だか・・・」
「とりあえず、後でいいかい?ここで話したくはない。ところで・・・そこのお嬢さん。」
シオンの言うお嬢さんとは小学生くらいの少女のことを指しているのだろう。
視線は少女へと向けられていた。
少女は少々怯えているようにも見えたけれど、頭を下げてさっさと立ち去ってしまった。
それからすぐにシオンに連れられてとあるビルへ連れられていった。
ちなみにその間にシオンの治癒能力みたいなもので下腹部の銃弾の貫通した傷跡は癒されてなんとか生きている。
ビルは下から見上げるだけでも首が痛くなりそうなくらい高くて、俺たちはその中へ入ると外が見渡せるエレベーターに入って一気に上まで上った。
そして、エレベーターから出るとめちゃくちゃ長い白い廊下に白いドア。
だけど、見渡しても社員っぽい人は人っ子一人いない。
「ここってその・・・誰かと一緒に仕事してる場所なんだろ?」
「はい。そうですよ。」
「他に人は?やけに静かじゃないか。」
「社員はほんの数名ですよ。メインが3名、治療班が2名、開発班が2名、研究班が2名、調査班が2名。計11名の社員だけです。」
「じゅ・・・11名!?」
少なッ!!そんなんで成り立つのかこの会社!
てか待てよ・・・この会社かなりでかいビルだけど、11名で全体使ってるのか?
無駄金じゃねぇのか?これこそ。
「さぁ、この先で僕らのリーダーがお待ちだよ。後は詳しい話は彼から聞くといい。僕は任務に戻るから。」
そう言い、シオンはドアをノックした。
同時に俺に掛かる緊張感。
「社長ー、新しい子ですよ。」
「はいはい、入りなさい。」
社長の声が返ってくると、シオンはそっとドアを開いて俺を中へ進め、ゆっくりとドアを閉めて部屋から立ち去った。
中を見渡すと、デスクの向こう側で一人の男性が街を窓から見下ろしていた。
結構背は高く、若い人だと思われる。
「君が宮崎歩くんだよね。」
「えぇ・・・はい。」
「そっかー・・・いらっしゃい。僕はハロルド。これからよろしくね。」
そして彼は振り返った。
俺は彼の顔を見た瞬間、何処か違和感を覚えた。
(この人・・・何処かで見たことがあるような・・・)
「僕の顔に・・・何かついてるかな?」
「いや、なんでもないです。」
「さっき食べ損ねた昼飯食べてたんだよねー・・・あ、もう夕食でもいいか。」
「あはは・・・」
「さて、歩くん。何故君はここへ呼ばれたと思う?」
「えと・・・何か能力が開花したからとかなんとか・・・」
「ふふふ、ちょっと難しかったかな?」
ハロルドは何処からかお茶とお菓子を出して俺を近くのテーブルに座るように言った。
俺が座るとハロルドは俺の前にお茶とお菓子を並べて、俺の前に向かい合うように座った。
つか・・・社長に用意させちゃった・・・。
「な・・・なんかすみません。」
「いえいえ。で、早速話しに入りますが・・・あの・・・とても悲しいというか・・・何と言うか・・・僕もとても言いにくいんですけど・・・」
話そうとするハロルドの顔がだんだん曇ってきた。
「君もシオンも・・・そして僕も・・・AIなんです。」
「・・・えー・・・あい?」
「AI・・・人工知能ですよ。僕たち3人は、人の手によって人工的に作られた人間です。」
それを聞いた瞬間俺の思考回路は停止した。
いや・・・でもまさか、冗談だろ?
「あは・・・あははは。ハロルドさん、冗談はよしてくださ・・・――」
「冗談じゃありません。私は真実を言っているのです。」
ハロルドは真っ直ぐに俺を見てきた。
俺はその視線から目を話すことが出来なかった。




