44話 2016年G7科学技術大臣会合は茨城つくば!
茨城県の方を不快にさせる可能性が無きにしもあらずです。
今日も今日とて部活の日。
場所は物理実験室。
前話の続き。
「さて、一回やってみるか。変なの出たら無効ってことで」
緋毬はお題箱を見ながら言った。
「うぅ、汚されてしまった」
そう言って泣いてるのは千歳。シャツのボタンは第二の位置まで外れている。胸元が少しはだけてセクシーだ。
「いや、途中で止めただろうが」
「そうだね。私達を何だと思ってるんだろう。痴女じゃあるまいし、本当にしないよ」
「千歳様の慌てっぷり堪能しました」
「ハレンチですわ!」
対して、やれやれといった表情でいるのは緋毬と御影、アリアだった。尚、セルミナは顔を赤くして千歳をガン見している。
「僕、初めて人間が怖いって思ったよ」
「はいはい、いいから引くぞ」
千歳の嘆きを切り捨てながら、緋毬はお題箱から一枚の紙を取り出した。
「ええと、なになに………『47都道府県、茨城』」
「…………」
場に沈黙の空気が流れる。
「いきなり無理難題きたな、これ」
「そうだね。知的キャラの私でも匙を投げるよ」
沈痛な表情をして、嘆くは緋毬と御影。
才女だ何だと言われても出来ないことがあるのだ。
「無効ってことにするか」
「妥当だね、ひーちゃん。無理難題は無効だよ」
「いやいや、普通のお題だからね。無理難題ではないからね!」
千歳がツッコミを入れる。
「いや、わたし達に茨城の何を語れって言うんだよ、千歳」
「そうだぞ、千歳君。女子校生はそんな会話しないのだぞ」
「語ること一杯あるよ、多分! それから女子校生関係ないですからね」
「千歳。茨城って何ですの?」
「ほら、セルミナなんてこのレベルだぞ」
「先行き不安すぎる!」
セルミナは本当にわからず、首を捻っている。
アリアが日本地図を書き、茨城県はここだと説明する。
「なるほど。茨城県はわかりましたわ。日本の県の一味というわけですわね」
「何かおかしいが、そういうことだ」
「で、茨城県は何があるのですの?」
「…………それを今から話あうらしいよ、セルミナ君」
「無理ですわ、そんなの!?」
「ほら、千歳。セルミナもそう言ってるぞ」
「うう………企画倒れだよね、このお題」
孤軍奮闘するは千歳。そこに、アリアが手をあげた。
援軍の到着に千歳は歓喜する。
「アリアは給仕の仕事を思い出しました。では、お茶を御用意します」
そして、アリアはいそいそと場を離れた。
「逃げた!?」
「いいことを思いついたよ。携帯で調べたらいいのではないかな!?」
御影は自称知的キャラの称号を投げ捨て、ネットに頼ろうとする。
「あ、研究所からの伝言です。通信機器の使用は駄目だとのことです」
アリアはお茶を用意しながら御影の提案を否定した。
その言葉に絶望するけんぽう部の面々。
「無理ゲーすぎるだろ、それ…………」
「ひーちゃん、きっと次回からは規制緩和されるよ。だから頑張ろう」
「茨城県って何だよ、字から判断するに茨でおおわれてるんじゃね? そして、城」
「そういえば、そのような童話がありましたわよね?」
「お、セルミナ君良い事言ったね! 近づいてきたよ、茨城県の真実に」
「いやいや、全然茨城県に近づいて来てないからね!? 普通の県だからね、茨城県は」
ツッコミを入れるのはやはり千歳。
「ほら、茨城県って言ったら水戸納豆とか、レンコンとかあるじゃない! 日本の約50%以上のレンコンを生産してるんだよ!」
「お……おう。むしろ、それがとかしか言いようがないし、レンコンの生産量知ってる千歳に引くんだが」
「ひどい!?」
「納豆!? 納豆ですの!?」
「うわ、何かセルミナが暴れだしたぞ!?」
こうして茨城県に全然触れず、お題の話し合いは終わった。
なぜ茨城県を選んだか、それは『都道府県 魅力度ランキング2014』で茨城県は最下位だったから。特に茨城県に恨みはありません。47都道府県は各県ネタにするつもり(予定)なので、生暖かい感じで見てくれるといいなぁと思います。




