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けんぽう部  作者: 九重 遥
春から夏へ
18/129

18話 神代千歳

 場所は物理実験室。

 机を細かく分断し、それをゴミ出しした後。

 彼女達は椅子に座ってお茶を飲んでいた。

 本日のお茶はほうじ茶。

 ほのかな甘みが彼女達を落ち着かせる。

「さ、ささささぁ、お、おおちついた所で説明をもともとぺようじゃにゃいか?」

「みー、全然落ち着いてないぞ」

 御影の手に持つ湯のみは震えていた。

 ほうじ茶はそこまで万能ではなかったのだ。

「緋毬。御影が混乱するのも当然ですわ。千歳は人外なの?人外なのですね?あのようなことを人間に出来ることではありませんもの!」

 緋毬を窘めるセルミナ。

 セルミナは御影よりは落ち着いていたが、緋毬からすれば五十歩百歩だった。

 千歳が人間扱いされてないからだ。

 セルミナにとっては自分が吸血鬼なのだから自分と同じ特別なカテゴリーに分けられるという話だけなのだが、吸血鬼の存在を知らない者にすれば自分とは違う異物として区分しているだけだ。

「まぁ、千歳様はちょっとアレですからねぇ。セルミナ様のお気持ちもわかります」

 ウンウンとアリアは頷く。

「普通の人間だよ!」

「さて、話が進みませんから千歳様は説明を」

「無視するの!?」

 アリアは千歳の苦情を無視し、ほらほらと千歳に説明を求める。

 アリアの態度に千歳は諦めのため息をつきながら話始める。

「ええと。神代流って言うのは僕が修めた武術でね。その発祥は飛鳥時代とも戦国時代とも言われるほど昔からある武術なんだ」 

「飛鳥時代? 戦国時代?」

 日本の歴史に馴染みが薄いセルミナが首をかしげる。

「飛鳥時代は大体6世紀から7世紀。戦国時代は15世紀から16世紀末までと言われているね」

「時代が千年ほど飛んでますわ!」

 真っ当なツッコミをあげるセルミナ。

 千歳は目をそらして、批難を逃れようとする。

「ほら、それは千歳が修める武術だからな」

「納得の解答です。緋毬様」

「ひ、ひどい……」

「で、その胡散臭い武術の三代目正統後継者が千歳なんだ」

 神代流を理解している千歳の幼なじみの緋毬が説明の補助をする。

「胡散臭いってひどいよ、緋毬」

「あん?胡散臭い以外何物なんだ神代流は。初代が決めた神代流の掟を言ってみろ」

「ええと……」

 千歳の頬に一筋の汗が流れる。

「『神代流を縛るのは法律でも国でもない。ただ、自分の良心のみ。邪魔するものはデストローイ!』」

 場に沈黙が流れる。千歳の頬に無数の汗が。

「な?胡散臭いだろ」

 千歳を見ながら、緋毬が言う。

「しょ、初代がハイカラなだけだよ!僕もこの掟は変だと思っているよ!」

 発祥が飛鳥時代、戦国時代なのにデストロイと英語が混じっているのが問題なのには気がついていない。

 千歳が周りに助けを求めるが、皆は顔をそむける。

「で、その胡散臭い武術を使いこなせるのが胡散臭い千歳なんだ」

「ええ。気の力という現代科学を真っ向から敵にまわす物を使いこなすのが胡散臭い千歳様なのです。気の力で攻撃力アップ。ほら、胡散臭いでしょう千歳様は」

「胡散臭いが枕詞になってるよ!胡散臭いのは神代流であって僕じゃないよね!?」

 神代流の正統後継者が何を言ってるのだろうと緋毬とアリアは冷ややかな目で千歳を見るが、本人は気づいていない。

「で、その気を使いこなせばあのような芸当が出来ますの?」

「うん。使いこなすのは大変だけどね。熟練者なら鉄すらも寸断出来るよ」

「というか、漫画の技なら大抵できるだろう」

「そうですね。びっくり箱ですからね千歳様は」

「否定出来ないのが辛い……」

「り、理解出来ないが、そういうことだと思っておくよ」

 諦めたように首を振る御影。漫画の世界が現実になったということで納得したようだ。

「つまり、千歳は人間ですけど人外なのですね!」

そして、間違っているが、間違っていない認識をするセルミナ。彼女にとって人外の動きをするものは人外なのである。同カテゴリー万歳だ。

 そして、その場は解散となった。

なろうっぽくチートです。

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