18話 ラジオ
シュウさん(以下、し)「ちょっとさ、気になることがあるんだけどさ」
山田さん(以下、山)「露骨にパクっていくスタイル?」
し「ばれへんばれへん」
山「バレるからやめなさい」
し「ぶー。僕、26になりました」
山「おー、おめでとー」
し「ありがじゅう」
山|(古いな)
し「でね、ちょっと気づいたことがあるのですよ」
山「その心は!」
し「まだ締めじゃないって! よくさ、25歳児とか30歳児とかって言うじゃん。あれってさ、いつまでたっても子供心が抜けきらなくて、若いまんまの精神状態を保ったままで『大人になりきれてねぇんじゃねぇの?』っていうことじゃん」
山「そこまで思ってるかどうかはともかくとして、そんなニュアンスだよね。子供っぽいというか」
し「僕ってば、まさにそれじゃん」
山「シュークリーム一つで歓喜し、夜道を歌いながら帰り、未だに趣味は漫画アニメゲーム。まさにそうだね」
し「例えはいらなかったよね?」
山「とにもかくにも、それがどうかしたの?」
し「いや、このままでいいのかなーって思うわけですよ。もう四捨五入したら30になるんだし、そろそろ人生設計というものをどげんかせんといかんと思うんですよ」
山|(古いな)
し「だからこの世の中にあるそーゆー言葉をまず駆逐するところから始めないといけなくない?」
山「誰が考えてるんだろうね。草食系男子とか」
し「草食系男子はあの人でしょ。ホンマでっかに出てる女の人」
山「そーゆー細かいことはちゃんと覚えてるのな」
し「どうでもいいことを覚えているのが人間なのだよ」
山「じゃあその25歳児とかっていうのを何とかして欲しいの?」
し「何とかして欲しい!」
山「じゃあ25歳男性」
し「……普通やね」
山「えっ……普通でいいって言ったじゃん。めんどくさいやつだな」
し「もっとこうなんていうの。めんどくさがらずに面白いんだけど、誇って言えるようなネーミングセンスを発揮してよ!」
山「ねぇよ」
し「拍子抜けだよ」
山「なんなんだよ」
し「ところでさ、とあるうろな町参加者の活動報告での勘違いなんだけどさ、うろなラジオみたいのって面白そうだよね」
山「シュウさんがメインパーソナリティ?」
し「イエスッ!」
山「……喋れんの?」
し「バカにすんなし。超しゃべれるし。ディライトさんとなら1時間以上はしゃべれる自信あるし」
山「意外と短いな。いや、この際しゃべれるかどうかは別として、面白くないと番組としてはただのクソ枠でしかないから打ち切りも検討せざるを得ないんですけど」
し「なんでプロデューサー気分やねん。なんなら台本書くし。脚本も余裕するし」
山「台本も脚本もほとんど一緒じゃ。シュウさんがしゃべるなら、私は裏方のトップに君臨してないといけないでしょ。霊夢とレミリア的な」
し「裏のカリスマになりたいわけ?」
山「なんなら私が台本書く」
し「や め ろ」
山「だってシュウさん書いたら遊戯王ネタ挟んでくるでしょ。それなら万人受けするほうがいいに決まってるじゃん。ピンポイントよりもMAP兵器の方が数は取れる」
し「そんなことないですー。この時代、ピンポイントの方がピンポイントの層に受けるんですー。量より質ですー」
山「貴様とは話し合う必要がありそうだな」
し「望むところだ」
山「でもさ、シュウさんって意外と気遣いできないよね」
し「おい」
山「ぼっちは気遣いというか心配りができないとダメなのにイタイイタイ病だよね」
し「めっちゃ出来てるじゃん。お世辞から殺し文句までなんでもござれですわー」
山「思ったことを言うのがダメだと言っているのだよ。26にもなったんだから、そろそろ耐えることを学ばないとダメだと思うのだよ」
し「まずはコンビニでの買い物を耐えて、小説書く前にマイクラとかポケモンとかゴーストやるのを耐えて、職場でのストレスに耐えて……あとは?」
山「知らん。聞いていれば、充分わがまま人生じゃないか」
し「わがままボディのほうが人気出るでしょ?」
山「こいつ何言ってんだ?」
し「あーそうだ。最後に例の『公開する予定のない連載』の話しないと」
山「忘れてた。それが今日の重要なことだったのにね」
し「や、一番重要だったのは、僕の誕生日だからね? で、その未公開連載なんだけど、ぶっちゃけ公開自体はしてもいいと思ってるのよ。ただ内容がぼっちくんを彷彿とさせるような内容だし、小ネタ満載過ぎてわかんない人の方が多いんじゃないかなーって思うし、なにより連載始めたところでまた書く気なくなって書かなくなりそう的な」
山「ただでさえ放置連載貯まってきてるのにね。『女の子、娘にしました』も催促のお便りがちらほらと」
し「新連載も放置しまくりだし、秋くんもぶん投げたし、引き継いだやつも心情が書けないし。結局のところね、会話文を書くのが楽しいと思ってるフシがあるんだよね」
山「それでもいいんじゃない? それの方が楽しいならまおゆうみたいに会話分だけで構成してしまえば良いではないか」
し「……やってみよか?」
山「やってみんしゃい。ただの掛け合いだけで楽しい小説が書けるなら万々歳じゃないか」
し「まぁ短編では何回もやってるんだけどね。地の文排除系男子の底力を見せてやろうかねぇ」
山「よくさ、『会話文だけだと誰が何喋ってるかわかんねぇから書くのむずいわー』っていうけど、そこらへんは大丈夫なの?」
し「そんなん余裕でしょ。ちょっとだけ口調変えたり、名指しで喋らせればいいんだから。あとは流れで誰が誰に喋ってるかわかるだろうし。その代わり、誰と誰が喋ってるかっていうのがキチンと伝わらないと、『これ、誰と誰の会話だ?』って思われて自己満足小説になりかねないから、そこのところは注意が必要かな」
山「意外と考えてんのね」
し「一応小説家になりたいとは心の片隅で思ってるからね」
山「じゃあ出版社に投稿しろ」
し「山田さんに投降します」
おしまい
オチが微妙




