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大切な人

ミーンミンミンミン…

「暑い…」

蝉の声とムシムシした暑さとカレーうどんの匂いで目が覚めた。

………カレーうどん?


ガバッ

「あ、おはよう。裕吾」

「………何やってんすか雪未さん」

「朝ご飯の準備をしてるんですよ」

「なんで俺の部屋で作ってんの!?」

雪未は俺の部屋にカセットコンロを持ってきて、グツグツとカレーうどんを煮ていた。

「もうすぐ出来ますよー」

「出来ますよ…じゃねぇ!!嫌がらせか!!」

「だって…最近、構ってくれないし…」

「え?構うって…」

「なにさ…沙紀ちゃんにばっかり…(ごにょごにょ)」


やっぱり最近、雪未怒ってるよな?

俺、何かしたのか?

「な、なぁ…雪未。何を怒って…」

「と、とにかく!!カレーうどん食べてください!」

「え?ヤダよ!なんでこのクソ暑いなか…」

「食べないなら、私が食べさせてあげます!!」

「え……………熱ぅうあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


~~~~~~~~~~~

ヒリヒリ…

「いてて…」

あの後、ダ●ョウ倶楽部の上島●兵のアツアツ大根並の物を食わされた俺は、朝から絶叫してしまった。

「雪未。お前、何をすんだよ?」

「プイッ」

雪未はそっぽを向いた。

雪未は何に対して怒ってるんだろう?セクハラは…してないよな。むしろ逆か

…それにしても口が痛いな


すると

「あ…」

「あ…おはよう…。尾久」

「お、おはよう小岩///」

ちょうど角で尾久に会った

「今日はずいぶん早いな」

「う、うん。今日は朝早く起きちゃって…///」

「そ、そうか…」

前の化学室での出来事以来、お互いに少し気まずくなった。

何か恥ずかしくて尾久とあんまり目が合わせられない


「あれ?」

「どうした?」

「小岩。口の周り赤くない?」

「あ、これはだな…」

「い、痛そうだから拭いてあげる///」

「え」

するといきなり尾久がハンカチを取り出して俺の口を拭き始めた

「え…お、尾久…?///」

「喋らないで。拭けないよ///」

と言われてもこの状況はマズすぎる

う…女の子特有のイイ香りが…

そして、ふくよかな胸が目の前に…///

「はい…終わり///」

「お、おう。ありがとうな///」


「……………」


~~~~~~~~~~~

キーンコーンカーンコーン

3時間目の授業が終わって、次は教室移動になった。

「雪未。次、化学室に移動だって」

「………知ってます。」

ぶっきらぼうに答えた雪未は他のクラスメイトと先に行ってしまった。

「う~ん…(困)」

やっぱり何で怒ってんのか分からないなぁ…

そんな怒らせる事をしてきた覚えがないし、そもそも怒る理由が見あたらない


テクテク…

「あ、小月。と高井戸さん」

「こんにちは小岩さん」

廊下で仲良く話している小月と高井戸さんに会った

「小月。次、教室移動じゃないか」

「まだ時間あるから大丈夫だって、ところでさっき城崎っちゃんが機嫌悪そうに歩いてたけど…」

「あ、あぁ…それなんだが…(汗)」


「なんだ?修羅場なのか?」

「修羅場じゃねぇよ。ちょっと雰囲気が悪いだけだ…」

「何かあったのか?」

「いや、別にケンカしたとかじゃないんだけど、態度がそっけなくなっているというか…」

「それはいつからなんですか?」

高井戸さんが聞いてきた

「えっと…確か、高井戸さんが『小岩さんと尾久さんて付き合ってるんですか?』って言ってからかな?」

「ふぇっ!?やっぱり私のせいですか!?」

「高井戸さんのせいじゃないって…でもそれがどうかした?」


「小岩よ…君はやっぱりエロゲの主人公だなw」

「またそんなことを…」

「いや、でも城崎っちゃんの気持ちに気付かないってのもどうかと思うぜ」

「雪未の気持ち…?」

「まだ分からんか?城崎っちゃんはお前が尾久と一緒にいるのが嫌なのさ」

「嫌…」

「ま、尾久のこともそうだが、城崎っちゃんの事も大切にしてやりな」


~~~~~~~~~~~

「ぼーーーーー」

「雪未?」

「ぼーーーーー」

「ゆーきーみー!!」

「ふひゃ!?ど、どうしたの?」

私は顔を上げると親友の黒磯亜紀くろいそあきちゃんがそばにいた

「どうしたはこっちよ。どうしたの?ぼっとして」

「あ…うぅん…別に…」

「もしかして、小岩について悩んでる?」

「そんな事は………」

「最近、小岩と沙紀ちゃんが仲良いのは結構有名らしいわね」

「う……………」

「噂じゃ、沙紀ちゃんが小岩によくスキンシップしてるとか…」

「うぅ…亜紀ちゃんのいじわる…」

「あはは(汗)ごめんね。でも小岩のことなんだね?」

「………うん」

私は朝にあった出来事を話した


「そんなことが…」

「うん…だからつい裕吾に強く当たっちゃって、もしかして私の事、大切じゃないのかって」

「それはもしかしたら小岩も気にしてるんじゃないの?」

「裕吾が…」

「今日、小岩ずっと悩んでた顔してて、さっきも小月に相談してたし」

「裕吾もなんだ…。でも、どうしたらいいんだろう?」

「そこで私の出番だよ!!」

「ふぇ?」


~~~~~~~~~~~

テクテク…

「はぁ…」

尾久といるのが嫌か…雪未はそう思ってたのか。でもそれって…


バシッ!!!

「痛っ!?」

「おっす。小岩!」

背中を思いっきり叩いたのはクラスメイトの黒磯だった

「何すんだいきなり」

「え~?だって小岩がシケた顔してるから」

「なんだそれ?」

「それよりさ。小岩は放課後暇?」

「は?まぁ…暇だけど?」

「暇なら、私の買い物に付き合ってくれないかな?」

「パシリかよ」

「いいじゃんいいじゃん。どうせ暇でしょ?」

まぁ確かに暇だ………というか家に帰って雪未と会うと険悪な雰囲気になりそうだしな


「…不服だけど、いいぞ」

「本当!?ありがとー(嬉)」


~~~~~~~~~~~

放課後

「で、どこに行くんだ?」

「えっと…ここの店だよ」

黒磯が指さしたのは…

『コスプレショップ 変態堂』

「コスプレショップ…?」

「あれ?小岩ってコスプレ興味ない?」

「コスプレに興味ないと言ったら嘘になるけど…」

「じゃあ店に入ろうよ」

「え?ちょっと…」

俺は黒磯に手を取られて店に入った。


店に入るとコスプレ(制服とかゴスロリとか某アニメの服)が並んでいた

「これはスゴいな…というか、黒磯ってコスプレ興味あんの?」

「う~ん、最近興味持ち始めたんだよね。雪未に勧められてね」

「……………」

「小岩。最近、雪未とケンカしてるでしょ?」

「う………なんで知ってんだよ?」

「だって2人の様子がおかしいんだもん。仲良いのに」

「それは…」

「私としては2人に仲直りして欲しいんだよね。小岩もそう思うでしょ?」

「それは…そうだよ。雪未にはその…正直助けてもらってるし、アイツ、ちょっと変だけど俺のこと分かってくれるし…大切なんだ」

そうだ。尾久の事も大切に思うけど、雪未だけは別の大切なんだ


「小岩はかなり恥ずかしい事言うんだねww」

「ほ、ほっとけ!!///」

「でも、これで分かったでしょ?雪未」

「え」

そう言うと、奥の更衣室からメイド服の雪未が出てきた

「え…?雪未…?」

「あ、あの…裕吾///私の事大切って…」

あ、もしかして…

「黒磯、お前…」

「えへへ…じゃあ、私は外で待ってるねww」

黒磯は笑いながら、店の外に出た

「……………///」

「……………///」

俺達だけになった店は恥ずかしい沈黙に包まれた。


「その…すまない…」

「裕吾?どうして謝るの?」

「いや…俺は尾久にばっか構って、雪未をおざなりにしてた。すまん…」

俺は頭を下げた

「私もごめん…私も強く当たって…朝のカレーうどんの事怒ってる?」

「いや、それはもう平気。とにかく…ごめん」

「大丈夫だよ。」

雪未は俺に微笑みかけた

良かった良かったな…


「それで…雪未はどうしてメイド服を着てんの?」

「あのね。夏服のメイドが欲しくて…どう?///」

雪未は服の裾を持ち上げた

「っ……………///に、似合うんじゃないか?」

「えへへ…ありがと///」

私と裕吾は笑った。やっぱり私は裕吾が好き

だから…沙紀ちゃんには…


「負けないんだから」


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