真実の幸せ
タッタッタッタッ…
「はぁ、はぁ…」
俺は自分の教室めがけて必死に走っていた
俺は決めたんだ。俺は…俺は…
ガラッ!!
「雪未!!」
俺は勢いよく教室のドアを開けると
「え………こ、小岩!?」
「尾久!?」
教室には雪未と尾久がいた。
「裕吾、どうしたの?」
「いや…俺は」
だめだ。こんな状況じゃやりずらい…
………いや、こんな状況だからこそやるべきなのか
そして俺は
ガバッ!!
「きゃ!?///」
俺は雪未を抱きしめた
「え…」
「雪未、君の事が好きだ!大好きだ!!」
俺は自分の想いをぶつけるように叫んだ
こんなの俺のガラではないのに、でも我慢が出来なかった
「え…えと…ゆ、裕吾///」
「悪い…いきなりこんな事して…でも、俺申し訳なくて」
「どういうこと…?」
「俺…意識しないで2人を苦しめてた。俺が優柔不断なせいで2人の好意を無駄にしてたんだ」
「………気にしてないよ。」
「え…」
「気にしてないよ…私も裕吾を苦しめてたし」
「俺を…?」
「裕吾が苦しんでるのなら、私も沙紀ちゃんも同じだよ。」
「…そうか」
と、ここで俺は雪未から離れて…
「尾久」
「っ……………」
俺は尾久の前に立った
「ごめん…俺、雪未を選ぶことにしたよ」
「……………」
「小月から聞いたよ。尾久が俺を好きって」
「うん。私、小岩が好きだよ、友達として」
「へ?」
友達として?
「ふふっ…もしかして小岩勘違いしてない?」
「え?」
「私は試したんだよ。小岩が本当に大切にしていた人は誰かなぁって…」
「大切な…人?」
「この前、卒業アルバム見て思ったんだ。雪未ちゃんに似合う人は小岩しかいないって」
「尾久…お前」
「だから、私と雪未ちゃん。どっちを選ぶと思ったけど、私の思った通りだね」
そう言って、尾久は俺の手を取った
「雪未を…幸せにしてあげて」
~~~~~~~~~~~
「なんであんな嘘ついたの?」
放課後の教室、私と亜紀ちゃんでいた
「なんのこと?」
「どうして本当は小岩が好きなのに、試したとか言ったの?」
「友達として好きだからこそだよ」
「恋愛対象としてじゃなくて?」
「……………しょうがないじゃない。あんな仲良さそうな卒業アルバム見せられたら…」
私が見た卒業アルバムには小岩と雪未ちゃんが仲良く授業中、休み時間、学校行事…まるで彼氏彼女みたいに写っていた。
「あれを見せられて入り込めるわけないじゃない」
「沙紀…」
「だからね、小岩には幸せになってほしかった。だって好きな人には幸せになってほしいよね?」
「それは…」
「でも、それは私の器じゃないもの。これでよかったんだよ」
「………じゃあ諦めたのね?」
「うん。だってこれが私の最初で最後の恋だから」
私はそう言うと
「はぁ…素直じゃないのね」
「え?」
コシッ
「あ…」
「あんな事言っといて泣くなんて、未練タラタラじゃない」
亜紀ちゃんは溢れ出した涙を指ですくった
私、いつの間にか泣いてたんだ…私…わた、し…
「ふ…うぇ…うええぇ…」
「もう、指ですくえないじゃない」
「あ…亜紀ぃぃぃぃぃ!!」
がばっ!
私は耐えきれずに亜紀にすがりついた
「はいはい。泣くのは今日だけだからね」
「ふぇ…うぇえええええぇぇぇぇぇ…」
~~~~~~~~~~~
次の日
「……………」
俺は考えていた。昨日の言葉、ちょっと冷たかったかな…
『雪未を…幸せにしてあげて』
あの時の言葉の尾久の表情が少しばかり気になっていた
「あれは…泣いてたな」
いずれは2人のどっちかを選ばないのは分かってたけど、これがはたして正しいのか分かんなくなってきている。
「俺を試したか…」
たぶんそれは嘘だと表情を見て思っていた
じゃあ…何が本当なんだ?
「うぅ…なんか気まずい…(汗)」
俺は教室のドアに手を掛けたが開けられなかった。
こういう時って…どんな顔して入ればいいんだ?
笑顔?いや、嫌味に見えるな
じゃあ怒った顔か?………て、俺は何に怒ってんだ?
「あ~…どうすりゃ…」
ガラッ
「あ」
「え?」
俺が百面相してるとドアが開いて…
「うぎゃあ!!尾久!!」
「えっ!?ど、どうしたの?」
目の前に尾久が立っていた
「い、いや…」
「……………」
「……………」
な、なんて気まずい状況なんでしょう…
と、とりあえず何か喋んないと…
「午前8時20分、小岩裕吾(仮)教室の前で百面相の顔で悩み顔。どんな妄想を繰り広げてるのか…」
「へ?」
いきなりメモ帳を取り出した尾久はそんな事を書いた
「またネタをゲットしたよww」
「え?………これはどういう?」
「何って…いつもの小岩イジリww」
「イジリって…」
なんだかいつもの尾久じゃ…いや、いつもの尾久だ
「あ、そういえば」
「なに?」
「もう一つネタ思いついたよw」
そう言ってメモ帳に書いた
「小岩裕吾、クラスの城崎雪未と正式に交際を発表。少子高齢化を防いでくれるか?」
「!?」
俺は内容に驚いた
「尾久…」
「おめでと、小岩。雪未ちゃんの事、幸せにしないとネタをでっち上げるんだからww」
「止めんか!!」
あぁ…そうか。尾久は俺に『幸せになってほしい』のか…
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放課後
テクテク…
「何か…俺って振り回された気がすんな」
「どういうこと?」
雪未は不思議そうに聞いてきた
「今回の件は尾久の策略にまんまとハマっちゃたみたいで、適わないなぁ…って」
「そうかもね…」
「でも、これでいいんだよな?」
「………そうだね。でも…」
「でも?」
そう聞くと、俺の方へ振り返って
「今度は私が裕吾を振り回す番だよ♪」
笑顔で雪未はそう言った残暑の放課後だった。
Fin
さて、この話はこれにて一旦終了です。
別に終わるわけじゃないけどねww
これからは活動報告にもあったとおり、続きは『俺はメイドとイチャイチャなんです』(15禁だけど)を見てね(`・ω・´)




