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 エミリお元気ですか?

 お城の皆さんは、優しくしてくれる?

 貴方が笑顔で過ごせることを毎日祈っています。



 姉からの手紙を抱きしめ、エミリは椅子に座り込んだ。

 家族は皆元気だろうか。今の自分を見て悲しまないだろうか。


 エミリの父と母は驚くほど仲が良かった。姉と自分と弟と。皆仲良く慎ましやかに暮らしていた。

 ただ侯爵家とは名ばかりのとても貧乏な家で、王妃の話をお受けしないと爵位どころか家そのものが無くなりそうだった。

 そんな実家を助けてくれたのが、今回のエミリの結婚話だ。

 エミリが嫁ぐことで、国から沢山の保証を貰えたのだ。


 けれど、エミリはお金のために自分を犠牲にしたのだとは思っていなかった。

 国王が就任してから、この国は健やかになったと思う。若く指導力のある国王は人気があったしエミリ自身も彼の事を尊敬していた。そんな国王の元へ行けるのが純粋に嬉しかったのだから。


 ただ、国王には既に思い人がいると噂があった。


 他の女性に気持ちのある国王はエミリに心を向けてはくださらないかもしれない。けれど、尊敬する国王と穏やかな家族になれないだろうか。例えば、兄弟に向けるような優しい関係を築けないだろうか。


 エミリは挙式してからずっと国王との関係を上手く築くけないか模索してきたつもりだった。


「エミリ様、おはようございます」

 侍女のリリーの言葉を聞いて立ち上がる。


「おはようリリー。今日もお天気ね。今日こそはギルバート様はお誘いにのってくださるかしら」

「きっと、そうだと良いですね」


 エミリがことさらおどけてウインクすると、エミリを励ますようにリリーは拳を握りしめた。


 リリーに微笑みを向けながら、エミリは今からどういう会話があるのか想像して……、心が沈む。

 本当のところ、毎日ギルバートに冷たく断られ続けて、今にも心が折れそうだった。

 しかし、ここで諦めたら父や母の生活はどうなるのか。国から頂いた保証は、おいそれとお返しできるものではない。

 それに、最近は数回に一度くらいはギルバートも付き合ってくれるようになった。


 頑張らなくてはいけない。


 エミリは自分を励まし、ギルバートの元へ向かった。


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