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王と王妃の結婚の話  作者: さなみさぎめか
エミリの日々
4/17

 昼の休憩を終えて、ギルバートは城内の視察に出た。

 トマスに指摘されたように、要はただの散歩だ。

 後ろにしかめっ面のトマスがひかえて居ることを除けば、一時息抜きの時間になる。


 しかし、ギルバートは散歩に出たことを後悔した。


「ギルバート様っ」


 食堂へ続く廊下の奥から、大きく手を振ってエミリが走り寄って来たのだ。

 使用人の手前、冷たくあしらうわけにはいかない。

 ギルバートはぼんやり王妃が近づいて来るのを見ていた。


 朝は下ろしていた髪を後ろで束ねている。

 服装はドレスではなく、簡素なものだ。しかも、使用人と同じエプロンまでつけているではないか。

 ギルバートは思わず、目の前で切れた息を整えるエミリに声をかけた。


「茶会だと聞いていたが……」

「まあ、来てくださったのですね! すぐにお席をご用意しますね」


 弾む息のせいか、エミリは顔を真っ赤にして小ホールへ向かった。


「いや、違っ……!」


 言葉の行き違いに気づいてギルバートは声をあげたのだが、すでに駆け出したエミリには聞こえなかったようだ。

 ただ彼女の服装について聞きたかっただけなのに……。

 ギルバートは呆然とその場に立ち尽くした。


 ギルバートが振り向くと、先程までしかめっ面をしていたトマスが表情を崩しかけていた。


「……何が言いたい?」

「いいえ、別に」


 しばらくするとエミリの侍女が恭しくギルバートの案内にやって来た。

 もう逃げるわけにはいかない。


 ギルバートはおかしそうに肩を震わすトマスを伴い、小ホールへ移動した。


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