ゲーム開始
私は日記帳を閉じた。
小さな手のひらにじんわり汗が滲んでいる。
まずは勉強だ。
幼児の脳は柔らかい。
今の私には前世の知識がある。
ならば吸収速度は桁違いになるはずだ。
本気でやれば、 同年代なんて相手にならない。
……いや違うな
“目立ちすぎるのは危険”だ。
幼児で異常な知能。
それは研究対象コースだ。
却下。
私は冷静に戦略を練る。
・学力は常にトップクラス ・だが天才扱いはされないレベル ・運動もそこそこ ・コミュ力は前世より向上
完璧な“優等生”。
これが第一段階。
第二段階。
沙涼幽鬼と雨宮透。
本名は確か氷霧瑠那と神内飛鳥だったかな。
二人が通う中学・高校は覚えている。
偏差値も、入試形式も。
なら受かるのは余裕か……?
いや違うな。
2人が通っていたところはレベルが高すぎる。
たとえ受かったとしてどうやって自然に距離を縮める?
ただの同級生じゃ意味がない。
友達以上。
でも重すぎない。
推し活目線は絶対に出さない。
……難易度SSランク。
私は布団に転がりながら天井を見つめる。
(あの日まであと14年。)
長いようで短い。
だが事故の日を回避できたとしてその先はどうする?
未来はわからない。
株も、芸能界も、流行も。
私の行動一つで全部ズレる可能性がある。
つまり、未来は“確定”じゃない。
少しだけ怖くなった。
でも面白いと思った。
それだけの余裕が今私にはある。
運命を知っている側が、 運命を壊しにいく。
最高に私向きのゲームだ。
二周目の人生。
今回の主役はちゃんと私だ。
だから大丈夫なんだ。
きっと上手くやれるはずなんだ。
だから
「このまま終わらせるわけにはいかねえんだよ」
こんなチャンスは二度とない。
親も家柄も自分自身もSSRいやURだ。
そう思い私は日記帳をまた開いて様々な公式をメモし始めた。




