第61話「ドラゴン娘 VS カホルとヴェルーリアの変則タッグマッチ」
「そこの二人で、我に勝てるとでも思っているのか?
笑わせるわ」
腕を組み、仁王立ちでふんぞり返ってドラゴン娘が声を張る
全裸で
もうさ、おっさんと姪っ子の羞恥心皆無で
こっちまで感覚が麻痺しそうだよ
おっさんはまだしも
ドラゴン娘はいろいろ見えてて
刺激が強すぎる
そんなことはおくびにも出さずに言葉を返す
「準備をするから少し待ってもらおうか
それとお前はその姿で戦うつもりか?」
偉そうにふんぞり返って言い返してきた
「我は人化したままでも問題ないぞ?
それともドラゴンの姿のほうがよいのか?」
いや、おっさんと話したときに聞いちゃったのだよ
君、自力で人化できる能力持ってないって
炸裂弾でびっくりして体内の魔素が暴走したのかも
って言ってたよ
つまり君、自力で戻れないでしょ?
ちなみにおっさん曰く
能力的には変わりはないものの、肉体的な攻撃の内
質量を伴うものや鱗の物理特性は発現しないらしい
力はともかくラリアットとか体当たりは
慣性だけみれば普通の女の子レベルだということか
パワーや速度は別物だろうけど
カホルとヴェルーリアを呼んでクリエイトを実行
ヴェルーリアは初めてクリエイトを見たからか
武装が目の前に出てきたのを見て目を丸くしていた
カホルの武装はオートマチック拳銃型のレールガン
昨日からの戦いを踏まえて
属性付与が3種類使い分けられるよう
切替機構を追加する
小型タッチパネル画面を設け
表示中の属性に切り替えるように仕様追加
ヴェルーリアは実際に戦った時は
足技中心の攻撃だったが
本人もそのスタイルが合っているらしいので
足の保護と攻撃性を兼ね備えた
特殊レガースをクリエイトする
鎧の脚部なので、当たったら痛そうな形状だ
パーツは細分化して
足首や足自体の動きを阻害しないように
可動部を作る
全てのパーツが単結晶構造で作られ
内側にはアンダーウェア同様の
極薄多重衝撃吸収装甲と断熱材を仕込んである
アンダーウェアと併せ
これで足自体へのダメージはほぼゼロになるだろう
二人用に防護装備もクリエイト
阿部ちゃんを伴って管理棟に戻り
作ったばかりの1階会議室で着替えてもらう
管理エリアには部外者は居ないから
私とドラゴンのおっさんが見てなければ男の目はないが
あとで更衣室を作るという約束はさせられた
阿部ちゃんの冷ややかな視線回避の為
今回は最初からジャケットとゴーグル、パンツも渡しておく
ただしヴェルーリアはパンツではなく
ロングのフレアスカートにした
「先輩?
足技使うヴェルーリアの下がスカートってのはどうなんですか?
私が普段着作った時、ダメ出ししましたよね?」
ジト目が飛んできた
「パンツだと足の動きが丸見えでしょ?
足元が見えないほうが、どこから攻撃が来るか
解かり辛い利点があるのだよ」
「へぇー」
君、疑ってるでしょ?
「ついでに言えば、回転してフレアスカートが広がると
それこそ足元の幻惑を誘うし、目を奪う効果もあるし」
「それって人間のすけべな男限定では?」
そんなことないよ、と指を振っておく
着替えに入り、数分後出てきた3人
流石の阿部ちゃんも着け方がわからないらしく
ヴェルーリアにレガースを装着してやってから
ドラゴンが待つ表に出る
「遅かったではないか」
ふんぞり返るドラゴン娘
彼女の格好は眼福ですが
流石にそうは言ってられないんだよね
戦闘力不明なカホルと
装備を初めて着けたヴェルーリア
おまけに相手は人化したとはいえドラゴン
フル装備してはいるが、二人のことが心配ではある
「もしヤバそうだったら降参してもいいからね
絶対無理しないように」
念を押す
「わかりました」
二人が答え、ドラゴン娘に向かっていく
「ところで貴女、一匹でよろしいのですか?」
カホルがドラゴン娘に尋ねる
「我一人で問題があるか?」
肩を竦めて鼻で笑ったカホルはこう言った
「ドラゴンごときが一匹で勝てるとでも?」
あからさまな挑発
まあ、言った本人は本当に余裕そうなんですが?
ドラゴン娘が口を開けると同時に
空中に極小の光の玉が現れる
それは急速に圧縮され更に強い光を放ち
咆哮と共に前方に曝射される
狙いは当然、二人だ
まずくないか?
防御装備は大丈夫でも
熱光線で生身の部位がやられないか?
固唾を呑んで二人が居た場所を見つめる
曝射が終わり人影が見えた
二人とも立っていて
前腕と肩に盾が自動展開している
しかし、その前に更に光る魔法陣のようなものが見えた
手を伸ばしたカホルの掌が、陣の中央にあった
「せっかくケイ殿に作って頂いた装備
傷つけないよう防御魔術を展開しましたが
不要だったようですね」
ほんとにあの曝射受けて大丈夫かね?
「では、こちらもお返しをさせていただきましょう」
そういって拳銃を構え、撃つ
第2射を放とうと口を開けたドラゴン娘の右足に着弾し
丸い穴が貫通している
拳銃サイズとは言え、イレース弾を容赦なく撃ったのか
見た目通り、人だったら多分足が吹き飛んでいるだろう
ドラゴンの強度があるから穴が開くだけだろうが
それでも効果は絶大
ドラゴン娘がぐらつき、踏ん張ろうとするが
今度は左足に穴が開いた
溜まらず膝をついたがそこに右、左と膝を撃つ
前のめりに倒れそうになるが、腕をついて再度口を開き
曝射しようとしたところを今度は両肘を連射
地面に伏してまだ口を開け
攻撃の意思を見せたドラゴン娘
その口内に銃口が突っ込まれた
一体いつ移動したのか
30mは離れていたはずで
現に最初に曝射喰らった場所には
焼けた地面とヴェルーリアが残っている
「さて、この位置ならブレスを撃つより早く
あなたの脳に穴を開けられますよ?
まだ攻撃してきますか?」
淡々としゃべるカホル、怖っ
流石にドラゴン娘は目を閉じた
覚悟なのか、降参なのか
いずれにしてもカホルが勝ったということだろう
そしてヴェルーリア
何が起こったのか理解できてないみたい
呆然としているよ
大丈夫
私も何が起きたかわかってないし
多分みんな見えてないよ




