第60話「ドラゴン娘を解らせよう」
「貴様、この娘に〈契約〉を盾にして
我に仕返しさせようとしてるのであろう!」
ドラゴン娘がむくれた声を上げる
即座におっさん執事にどつかれるまで
一連のコントのような流れだった
「まだ〈契約〉前とはいえ
許していただく為に〈契約〉をさせて頂くのだぞ?
あれだけの力量差を見ても、まだそのような口を利くのか?
お前を倒した皆様への、口の利き方がなっていないのではないか?
それでもお前は、恥ずかしげもなくドラゴン族の次期長と
胸を張って言えるのか?」
おっさんが凄む
叔父としても姪っ子を矯正できなかった
後ろめたさとすまなさが同居しているのだろうか
「お前の叔父さんには伝えたが
お前を生かす条件は私らへの労働力提供と
我々に対する悪意ある攻撃への抑止力提供が条件だ」
まだむくれたままの顔と声で聴いてきた
「労働力と抑止力、とはなんじゃ?」
「ドラゴンの姿で力仕事して貰ったり、手伝って貰うのが労働力提供
外敵が襲ってきそうな時にドラゴンの姿で脅すなり
後ろ盾にドラゴンが居るぞって脅して手を出させなくするのが抑止力
だな
常に私らの手の届くところに居て
これらの提供をするのが今回の出来事を許す条件だ」
「ふん!
その程度どうということはないわ!」
思わずおっさんと顔を見合わせてしまった
同じ考えのようでなにより
「おっさん共々、お前自身がずっとカホルとヴェルーリアに
〈契約〉で縛られて、命令されたら仕事しなきゃいけないんだぞ?
それも契約期間なしのつもりだが?」
「ぬ?」
「たとえメシ食ってようが寝てようが命令されたら従う
できなければ〈契約〉で罰が下るってわけだが、それが温いと?」
「そ、それは・・・・・酷いのではないか?」
先程までの威勢はどこへやら
少々顔が曇る
「「その程度どうということはないわ!」とか言ってたろ?
浅慮すぎるだろ
そんなだからおっさん、ひいては他のドラゴンにも
迷惑かけてるんじゃないか?」
うつむいて唇を噛む様子が見える
実際、おねえさんにもJC女神にも3年、
という期限を確約して貰ってる
仮に私か阿部ちゃんを契約者にした場合
元の世界に戻ったら〈契約〉がどうなるかというのが
懸念だったのだ
そこで元々この【世界】の住人である二人を契約者にすれば
少なくとも二人が生きていて〈契約〉が有効な間は
力仕事や防衛で困ることはそうそうないだろう
流石にあのサイズの生物が
人より非力ってことはないだろうからね
ところが、だ
「我より強くなければ約定は誓うが〈契約〉まではせん!」
ドラゴン娘、やっぱりゴネ出したか
予想してたとはいえ、契約者は力を示せ、ってか?
今朝逢って仲間になったばかりのヴェルーリアについては
素手であのレベルとは言えドラゴンにはどうだろう?
カホルは・・・よく考えたら実戦にぶち当たってなかったな
「二人がお前に力を認めさせればいいんだな?」
よし、二人を何とかして、あいつの鼻っ柱を折ってやろうじゃないか




