第59話「強者の矜持」
再度気を失ったドラゴン娘の目が覚めるまで
おっさんドラゴンに話を聞く
次代のドラゴンの長となるはずの一人娘だが
あまりにもヤンチャで問題が多い
そこで長は、叔父にあたるおっさんドラゴンに
執事という形でお目付け役になってもらい
いろいろなことを身につけさせて矯正したかったんだそうだ
社交性などはある程度はよくなったと思っていたが
食欲だけはどうしようもなくて
我慢させてても時折暴走していたとか
今まではドラゴンの行いだということで
襲われたほうが我慢していたのだろうが
今回初めて反撃され、あまつさえ逆に捕まる羽目になったと
今回の出来事はいい薬だということ
これ以上問題を起こせばドラゴンそのものの
品位・品格に欠けると判断したこと
一人娘を矯正できなかった自分にも責があるが
そもそもドラゴンも弱肉強食
強いものに従うのが習性ということ
これらを持って、勝者である私達の判断に従う
と言うのが言い分だった
念の為、アウラムと阿部ちゃんにおっさんへの牽制を頼んで
ヴェルーリアと話をする
大豚の持ち主であるヴェルーリアに
奪われた大豚の補償を求めるか
求めるとしたらどんな形なのか
今後、同じ事を繰り返されると面倒なので
きちんと決めた方がいい旨を伝える
少し考えた後、答えが返ってきた
彼女としては大豚は繁殖させられるのだから
弱肉強食のこの【世界】
直接的に返せ、というつもりはない
代わりに、何かの食料や物品、
労働力等の提供があればいいと考えている
ただし、ご主人様の僕なのだから
決定権はご主人様にある
要約するとこんな感じだった
任せるということなら簡単
おっさんに話を付けに行く
「大豚の飼い主と話を付けた
私に任せるということで、代償としてあんたらに求めるのは
ドラゴンの【労働力】と【抑止力】だ」
魔牛なり大豚を捌くのは大型魔物なので
人手だけでは結構大変なこともあるだろう
その際、ドラゴンに移動や解体時の手伝いをして貰えれば
クリエイトで機械を作るより余程この世界向きであろう
ということ
ドラゴンが私らに協力するなら
外敵などが襲ってくる以前の抑止になるはず
という判断だ
そういったことをおっさん執事に伝える
「では、あ奴と私が貴方様方に帯同させて頂き
必要に応じて部下を招集して諸々の対応をさせて頂ければと
存じますが、それでよろしいでしょうか?」
私はまだ気絶しているドラゴン娘を親指で指し
「あの娘が私らにおとなしく従うと思う?」
そう聞くと、女性陣全員が首を横に振る
おっさんは腕組をするが、少しの沈黙の後
「わかりました
それでは私とあ奴が、あなた様方との〈契約〉をさせて頂く
と言うのではどうでしょうか?」
「契約?」
全員が聞き返す
「我らドラゴンが女神様との〈古の魔術〉により
行使できる奇蹟の事です
〈契約〉を違えた場合
女神様により罰が与えられることになり
その罰については〈契約〉時に契約する者が
罰として宣言することで取り決めることができます」
女神ってあのJC女神かね?
あの子が罰与えるって?
効力あるのかなぁ、その〈契約〉
言われてみればこっちの【世界】に来る前
JC女神が契約魔法がある、とは言っていたな
ただ、嘘を混ぜてもわからないとか
物騒なことも呟いてた気がするけど
「そこまでして〈契約〉するなら
罰云々ではなくおとなしく真面目に履行する・・・よな?」
少し間を置いて、おっさんは汗をかいて
「そう願いたい、いや必ず履行させます
私の責任に於いて」
そういって頭を下げられる
多分このおっさん、唯我独尊な姪っ子を預けられ
エライ目に遭いまくったのだろう
同情したくなるよ
ドラゴン娘が再度目を覚ましたので
まずはおっさん執事に説得してもらう
まだ不服そうではあったが
最後にはおっさんに再度雷を落とされて
強引に同意させられていた
私らは見ないふりをしておく
ドラゴン娘を連れ立ち、戻ってくる
ちなみに後ろには抜身のまま、刀を肩に乗せて
いつでも叩き切るつもりのフレイアが
油断なく付いてきている
「お待たせいたしました
二人とも貴方様方への忠誠を〈契約〉を持って誓い
それをもって無礼と損害への賠償とさせていただきたいと
思いますが、よろしいでしょうか?」
全員の顔を見遣るが、どうも
”どうぞどうぞ、お任せします”
みたいに見える
「〈契約〉をする相手は複数でも可能なのか?」
少し考えがあり、確認をしてみる
「可能ですが、その場合には〈契約〉を違えた罰が
契約時の宣言よりも軽くなってしまいます
それも人数が多くなればなるほど、です」
それって契約不履行の抑止力が弱くなる、ってことだよね
「では、カホルとヴェルーリア
この2名を契約者として欲しい」
カホルはともかく
ヴェルーリアとドラゴン娘、それぞれが私を見つめてる
前者はびっくりしたような顔でだが
後者は非常にキツイ目で、だ




