第47話「牛の次は猪?」
疑問はすぐに答えが出た
昼夜の区別はあった
まるで部屋の電灯をオンオフした位
きっぱりと切り替わった
夜空に星はなく
なんとなく薄明りがあるだけ
私らの世界とは違うのだ
と改めて認識することになった
夜になったら寝る
全く見えないわけじゃないが
動き回るにはどうかと思う視界の暗さ
とりあえず今日は安全を考えて、車中泊にする
適当な家をでっち上げてもよかったのだが
なにせここは魔牛が襲ってきた場所
いくら防壁を作ったって
もし上空を飛んでくるようなのが居ればアウトなのだ
できれば魔牛以上に大きなのが居ないことを願うのだが
とりあえず防壁内に装甲車ごと乗り込んで
おっさん達用に作った家のすぐ近くに止める
こういう時のために少々仕込みをしてある
装甲車のカーゴスペースは二重シェルにしてあって
中はキャンピングカー並みの装備
キャビンも同様
10人は余裕で寝られるスペースが現れる
私はキャビンに、3人娘+後輩はカーゴスペースで寝ることに
ん?
4人ならロングモード展開しなくても
よかったんじゃないかって?
作った以上
変形させたくなるのは男の性、みたいなものなんだよ
で、翌朝
早速トラブルがやってきた
明るくはなっていたが何時かはわからない
少々遠くで鈍く、ぶつかるような音が繰り返していて
更に甲高い鳴き声が聞こえるように思う
高級車以上に防音しっかりさせてる装甲車で
この音、ってのは余程でかい音源のはず
とりあえず車外に出ると女性陣も何事かと起きてきたし
先におっさん家族も飛び起きていた
余りの喧しさに魔牛も少々お怒りなのか
モーモー文句を言ってらっしゃる
「おい、俺には猪の鳴き声が聞こえるんだけどよ」
おっさんがそう言った
猪?
もしかして魔牛のようにでっかいのか?と確認すると
やっぱりサイズはでかいらしい
ってことは、魔猪、って感じなのか?
ただ、通常は走りすぎて行くだけだが、やっかいなのは
「どこまでも真っすぐ」なんだそうだ
つまり、障害物は全てぶち壊す
町も時々被害に遭うんだとか
しかし今回は勝手が違う
例え魔牛が突進したとて、防護壁は壊せるわけがない
それでも直進しようとするのか
流体のように壁沿いに流れていくのか
興味が湧いたので見に行くことにした
防護壁の上は柵など用意してない
、外敵への対抗武力も用意するつもりがなかった
見張り台くらい、と想定していたがまだ設置はしていない
そこで、音と振動元と思われる場所まで装甲車で向かい
階段と安全な観覧席をクリエイト
みんなで登って見学することに
大量の魔猪?が壁に向かって突進している
頭から突っ込んで行ってるが
あの速度でよく気絶しないものだ
そう言えば、いのしし村とかに昔行って
猪レースってのを見た記憶があるな
ああいうのを、ここで出来れば娯楽にもなるのか?
そんなことをお気楽に考えていたら
「あれ、人じゃないですか?」
そう言った阿部ちゃんの指す方向
確かに直立している人らしきものが見える
魔猪が走り抜けるそばでなにやってるんだ?
急いで装甲車に戻り作っておいた防護服を装備し
竹刀を持って観覧席に戻ると
入れ違いにフレイアとアウラムも装備をしに降りて行った
「取り急ぎ行ってくるわ」
高さ5m位なので、そのまま飛び降りる
「せんぱーい!大丈夫ですか?」
すぐさま声が飛んでくる
普通はちょっと不安な高さだけど
風魔法で速度落として
多重衝撃吸収もばっちりの半長靴で
一切着地の衝撃なく地上に降りられた
そのまま人影のところに走って向かう
が
近づいて声をかけようとした刹那
その影が飛んできてカウンターで蹴りを入れられる
防護服のおかげで痛みはなかったが
走り寄った速度は相殺され立ち止まることに
「今のでなんで倒れないのよっ!!!」
理不尽なことを言う声と
地団駄踏んだ姿はスレンダーな女の子
ただ、殺気を感じたのは気のせいだろうか?




