第44話「どうするどうする、どうする?」
3人娘の反応から
基本的にものづくりをしないこの【世界】では
畜産だけでなく農業すらもないようだ
それはそうだろう
肥料を作るとか畝を作るとか
なんだかんだと知識も資機材も必要
初めての町があの有様では
肥料の為にと肥溜めすら作れてないだろうからね
「野菜を自分たちで育てて
収穫するのが農業、だよね
大変だけどある程度採れる量が分かるし
努力次第では量を増やすこともできる
そうなれば、魔牛を育てて食べるのと同じく
食べ物に困ることは少なくなってくるだろう」
ざっくりと説明をしたあと見廻すと、みんなが頷いてる
「魔牛に出会って倒して肉にする
森に入って山野草を探して採る
と言うのは、運や天候なんかの要因で
計画的に用意することって難しい
食べ物の安定供給って大事だからね」
特にフレイアがぐいぐいと食いついてる
やっぱ食べ物優先、か?
「町長次第だけど、
人数を分けてそれぞれを
1つの町で管理できれば
やりやすいこともあるから
その辺も含めて進めていきたい
と考えてる」
そう締めくくった
質問が来た
「ところで先輩?
牛育てたり野菜育てたりってやったことあります?」
後輩君はズバッと聞いてくる
「いや?少なくとも畜産系は実地では全く知らん
野菜は家庭菜園レベルなら少々、かな
資機材も、基本的なものなら判ると思うけどね」
―ノウハウについては弥生さんに全面的に頼るつもり
こればっかりはどうしようもない
『おまかせください』
頼りにさせていただきます
模型を使った説明には反論意見もなく
そのまま採用することにした
とりあえず魔牛が居る穴の周囲に、防護壁をクリエイトする
直径1kmあれば十分、と見立てて作ったが
高さも5mにしたせいで結構でかい
開けた穴の直径をおよそで計算しただけだったから
実寸を測る機材を作っておけばよかった
方角とか考えず、ただ穴を作って
牛がいる方向に斜路を作ったものだから
それをベースにして全部作っていくわけで
結果として都市計画ではなく、一部は
場当たり的なものになってしまったのは反省点だな
斜路出口から少々離して、先に作った防護壁と
同じサイズのものを作る
それらを斜路に沿って防護壁で繋ぐと
通路と外構は完成
円形と直線の交点をイレースで消せば
上から見れば鉄アレイのような
防護壁で囲まれたエリアが完成した
「おっきいですねー
これ、うちの工場建屋2つ分くらいないですか?」
確実にそれより大きいよ、阿部ちゃん
さて
次は防護壁の中へ
町としての機能を追加する作業へ移行する
まずは通路の中点に門を作って
外部との出入りにしておく
円形都市に直接入れないが
万が一攻撃された際には防御しやすい利点がある
逆に都市から直接外に出入りが出来ない不便さはあるが
あとあと不便だと思ったら、自分らで移動手段を作るように
教え込んでいくべきだし、不便を知るのも
ものづくりの意欲向上に繋がるだろう
魔牛の牛舎の上に蓋となる都市
―こちらを居住区と呼ぶか
と、地下を繋ぐ心柱ならぬ
階段及びスロープを内蔵した
巨大な円柱のシャフトを作った
大物は斜路
日用品などはスロープで落とす等
使い分けをして貰おう
もう一つの都市
―こっちは農業区か
こちらはまだ地下を使う予定はないので
本当に円形に囲まれた地面があるだけ
将来的に地下を使ったら、勉強がてら
人力エレベーターでも作って貰うかね
都市部中心の建物は5階建てくらいを想定
これだけは最悪、住民の逃げ込み場所となるように
がっちりクリエイトで作っておきたい
まあ、小規模の企業ビル程度になるけどね
防護壁内の余剰スペースには
共同浴場とキッチン付きの集会場を別途用意予定だ
労働するには、食事と衛生面でも入浴は必須だろう
まだまだ余裕はあるのだけれど
最初から全部作っておくのでは
住民が考えることをしなくなるだろう
風呂や集会場などはあくまで
「この世界にない技術や考え方の見本」だ
かといって1から全部、知識もないのに
技術伝承なんかできるはずない
その第一歩として造る予定の住宅全てを
プラモデルの様にキット化して用意しよう
自分たちで組み立てて貰い
作った家は個人のものにしようと考えている
これで勤労意欲と作ったモノの所有
メンテナンスなども教育出来ればと考えている
これでも「1から全部作らせないのかよ!」って言う奴は
自分でモノを作ったことが無い奴だ
ゼロからモノを作るのは並大抵の困難度じゃないし
この【世界】は基礎技術すら欠如してるって
JC女神が断言してるんだからさ
で、問題なのは上下水道などのインフラ、だ
キングキャッスルと同じスタンドアローン形式が
手っ取り早いがやはりそれでは作り手が育たないだろう
定期メンテナンスだって必要だし
そうなるとインフラとしてきちんと
整備しておくのが良いと考えるけど、どうだろう
人の問題もでるし
これはおっさんが戻ってくるまで保留にしておくか
そう思ってたら丁度
土ぼこりを上げながらモートラが帰ってきた




