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この世界、モノづくりも名前もお風呂もありません。だから後輩といっしょに、魔術開発と現代知識で雑貨から兵器まで作り放題の3年間をのんびり送ります【連載改稿版】  作者: 事業開発室長
異世界道中の、はじまりはじまり

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第39話「おっさんと、牛」

「とりあえず、この中でまとめ役としていろいろやっている

ケイ、だ」

自己紹介を試みる


「ケイってなんだ?

おまえを呼ぶときにそう呼べっていうことか?」


「そうだな、私らはそれぞれ

【名前】というのがあって呼び合ってるよ」


まあ、名前がないから、「呼ぶ」という慣習は理解し辛いか


「ほう、ではケイ

お前さんたちが魔牛を捕まえたってのは本当みたいだな

目の前にいる4頭、どうやって捕まえたんだ?」


倒れているとは言え、山のような魔牛を見ても動じやしない

胆力が強いのか、慣れているのか


「まあ、いろいろとね

捕まえ方は秘密だね」


魔術はともかく、各種装備の説明なんざ

やってられないからね


しかもフレイア達が交渉に行っている間に気が付いたので

再度気絶させるのにあれこれ試している

そのおかげでそれぞれ違う負傷を負っているが

それは言わないでおこう


「で、あんたたちが魔牛を飼う、って言ってるんだって?」


呆れたように私らを見て


「はっきり言うが、俺たちの町はこの魔牛に襲われて

家も壊され何人も怪我をさせられた


せめて1頭でも倒して食料にでもしないと

つらい思いしただけで終わっちまう

だから、捕まえたあんたたちに頼みたいんだが

1頭だけでも分けて貰えないか?」


結構、深刻な顔をして伝えてくる


こっちも正直に話をしておこう


「気持ちは解かるけど

殺して食べてしまっても町の規模からして

全部食えるわけじゃないんだろ?


余らせて腐ってしまうのでは意味ないし

結局一度限りでまた魔牛が

来ない限り食べることができない」


「・・・・・確かにな

魔牛が町に来るなんざそうそうはないからな」


同意を得たので続ける


「思い切って魔牛を飼い馴らして繁殖させて

そこで定期的に食用とするように出来れば

少なくとも肉に困ることはなくなるだろう


他にもとれるかもしれないし

昔は魔牛を飼っていたって話だぞ

出来ない話ではなさそうだ」


一息ついてまくしたてる


「そこでだ、捕まえたこの魔牛を

ちゃんと飼えるようにしてから渡す

その後に、お前さんたちの町総出で飼ってくれないか?


私らなら、肉が余っても腐らせないで

長く保存できるる方法を教えられるぞぞ?


魔牛を肉にするにも人手がいる

手伝ってくれるなら多めに肉を分けるぞ?」


「わかった」


即答だった


「ただし、魔牛どころか生き物を飼うって

実際にやったことはないぞ?

じいさんばあさんの言い伝えで聞いたことはあるけど

普通の猪とかだったはずだ」


どこかで技術が途切れたんだな


「飼い方はこっちで考える

とにかく魔牛が逃げられないようにして

あんたたちが世話しやすくしておくよ

準備が出来たら、改めて話を聞いてくれるかな?」


頷いたと思ったら手を差し出してきた

「わかった

それじゃあ、これからよろしく頼む」


あ、握手か

こっちの【世界】でも握手の文化、あるんだ


でっかい手とでっかい体だ

握手したら握りつぶされそう


そう思いながら軽く握り返す


「痛ってぇ~~~!!!!!」


おっさんの怒号交じりの悲鳴が聞こえた


そういえば負荷がどうとかで

こっちでは力がめっちゃ強くなってるんだった

現地の人と握手なんか初めてで、全く忘れていたよ


おっさんの痛みが引くのを待ち

砂地ではない地面で大穴を開けても問題ない

町人が来やすい場所を相談してイレースで土を消す


消した土はどこに行ったのか?と思ったりもしたが

魔法と魔術は理不尽の塊だから、考えないようにした


壁面が垂直やなだらかな傾斜だと万が一があるので

脱走防止に逆傾斜をつける為と、ある程度の高さを

地面からはみ出させた円錐をイメージして消したわけだが

初めて見たおっさんは顎が落ちかけていた


魔牛のサイズがサイズだ


1周2kmをイメージした深くて巨大な穴と

それに続く、作業用用の坑道を斜めに作る


給排気だ上下水だは、もはやルーチンワーク


餌に関しては、普通の牛だとやはり飼葉だということだが

魔牛はどうかわからんので弥生さんに聞いてみる


『魔素が充填された飼葉を普段は食べています

飼葉そのままだと魔素が切れれば普通の牛に戻ります』


ん?魔牛は元は普通の牛?

魔素を取り込んで魔牛になってる、ってこと?


『端的に言えばそうなりますが

実際には食料で魔素を取り込んだだけでは

魔牛にはなりません』


条件付きってことね

とりあえず今は飼うほうが先


しかし、魔素が充填された飼葉、って自然に出来るのかね?


『ある条件が揃った場所であれば育ちます』


成程

では、逆に人為的に飼葉に魔素を充填できるってことかな?


『はい、可能です』


そうすれば飼葉だけ用意すれば

あとは魔素と充填方法だけでいいんだね


さて、そこで問題


どうやって魔牛4頭を中に入れるか

それ以前に言うこと聞かせないで

暴れ牛だと、飼うのも困難だろう


腕を組んで悩んでいたら

アウラムとフレイアが二人でやってきた


「ケイ殿、魔牛のボスになってください」

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