第37話「牧畜ってどうやるの?」
アウラムを残して、ATVで3人の元に戻る
あらましを話し、食事の片付けをして移動の準備をする
「アウラムは流石ですね」
作業をしながら、フレイアが感心したように言う
「普通、魔牛を飼うという発想にはなりません
町が襲われれば魔牛を倒すどころか
逃げるのすらままならないものですが
彼女は実際に倒したことがあるのでしょうね
そうでもなければ恐ろしくて、飼うなんて考えもしません」
「二人は倒したことあるの?」
「倒すところは見たことがあります」
カホルが答える
「私は修行中に襲われて戦ったことはありますが
逃げられてしまいました
食べたかったのに・・・」
フレイア?
君、すっかり食いしん坊になっちゃってるけど?
阿部ちゃんがつぶやく
「ところで魔牛って、餌とかどうするんでしょう?」
おっと・・・・・
飼葉ならまだしも、生物だったりしたらまずいかも
「水と草とは言いますが
町を襲ったことから他にもあるかもしれません」
残念美女賢者フレイアが言うのであれば
イレギュラーが生じてるのかもしれない
とりあえず戻って町人に確認できればいいのだけれど
装甲車に乗りこみ移動すること少々
黒山が見えてきた
もちろん山ではなく、魔牛の巨体だ
ちなみにATVは車両上部に載せているが
それでも魔牛の高さの半分にも満たない
その黒山の前で
一生懸命手を振ってるアウラム
近くで止めて降りる
「まだ気絶したままですわ―」
まだ遠いのに、大声で報告してくれる
1時間近く経っても気絶したままか
爆音、余程刺激が強かったのかね
「凄く良い匂いがするのですけど?」
食いしん坊フレイア
ここから反応するってどんだけ嗅覚凄いんだよ
至近距離になり
傍らのポットとカップに目を奪われる
あ、テーブルくらい用意してあげればよかった
「これですね?
アウラム、なんですかこのいい香りは??」
アウラムは改めてカップへポットから紅茶を注いで
フレイアに差し出す
「先程、ケイ殿に作って頂いた
白桃フレーバーの紅茶、ですわ
どうぞ」
受け取って香りを吸い込み
口に含んで一言
「ずるいですよ、一人で楽しんでるなんて!」
「仕事後の留守番で手持無沙汰だろうから
お茶くらい、無いと可哀そうでしょ
君らは3人だったけど
アウラムは一人で魔牛4頭見張るんだから
気も使うでしょ?」
そう言うと、ようやく不貞腐れが収まった
―この残念美女、本当に賢者なのか?
「魔牛を飼うということでしたが
アウラムは経験がおありで?」
カホルがストレートに確認する
「わたくしはありませんが
飼っていたという言い伝えはありますわ
なんでも大穴を作って、出られないようにしてたと」
牛小屋というより、放し飼いの牧場の穴版、かな?
「ところで、どうやって肉を取ってたの?
でかい分、倒しても解体だって一苦労だろうに
それに倒すのだって
他の魔牛もいる中で1頭だけ倒したりできるの?」
「先ほども言いましたが魔法、ですわ」
アウラムが説明する
「地面に穴を開けるのも
土の精霊と一緒に土魔法で開けるのですわ
魔牛を倒すときには
倒したい魔牛を囲う壁を土魔法で作って
他の魔牛が来られないようにするんですわ
倒すのは風魔法で
そのあと土魔法で地面と同じ高さまで土を持ち上げて
処理したんだそうですわ」
手間だけど、そもそも倒すのが大変だから仕方ないのか
「それって、妖精族一人で出来たものなの?」
「とんでもないですわ!
妖精族の村総出での作業だったと聞いていますわ
土魔法で魔牛を数頭飼う穴を開けるのなんか
村人だけでは足りなくて応援を頼んで作業したらしいですわ」
土魔法、ね
その方法なら、メスだったら
倒さなくても利用価値あるんじゃないか?
「阿部ちゃん?
牛の乳しぼりって、やったことある?」
唐突に聞いてみた
「観光牧場でならありますけど
しぼりたての牛乳は美味しかったですよ」
取れたての牛乳、いいよね
「アウラム、メスの牛から母乳取れないかな?」
「「「どうやって、ですか(ですわ)?」」」
3人娘の声が重なる
「まあ、考えるよ
私らの【世界】だと母乳、一般的には牛乳と言うんだけど
いろんなものが作れるんだ」
阿部ちゃんと頷く
チーズにバター
遠心分離機が出来れば生クリームも作れるはず
JC女神がケーキセット!ってリクエストしてたし
丁度いいんじゃないか?
『それらはクリエイトでも出来ますよ』
弥生さんが補足する
一応JC女神にはモノづくり広めてくれ
って言われてるからね
魔術で作るより、現地の人が作れそうなものは
自分たちの手でやってもらうのがいいと思うんだよ
足りないところは魔術で補えばいいだろうけどね
『なるほど、理解しました
私も覚えておきます』




