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この世界、モノづくりも名前もお風呂もありません。だから後輩といっしょに、魔術開発と現代知識で雑貨から兵器まで作り放題の3年間をのんびり送ります【連載改稿版】  作者: 事業開発室長
異世界道中の、はじまりはじまり

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第30話「町、発見」

『動画編集が終わりました

車内モニターで再生可能ですが、移動時間に見せますか?』


このタイミングで弥生さんからお声がけだよ

作った動画、どうやってモニターに出すの?


ご主人様(マスター)の髪の毛を1本拝借いたしました

それを車内LANと接続して、私が画像を電気信号として

通信プロトコルで割り込みモニターに動画を表示します』


恐るべし、弥生さん

まあいいや


この【世界】にきて魔力体だとか魔術だとか

いろんなのやってる時点で若干人間辞めてるっぽいし

今更だよね


「みんな、モニターにベッド作る手順を出すよ

説明を理解すれば、ベッドやソファーも

私のと同じものが作れるかもね」


「「「モニター??」」」

3人娘は今回も息がぴったり

そうだよね、わからないよね


とりあえず後席に乗ってもらい、再生スタート

車内後部のガラスの一部が暗転してモニターになって

羽毛の作り方とか流れている


黙ってみているが、目は見開かれたままだ

3人とも固まったままモニターを見ている


羽毛の選別から縫製まで一気に流れるから

初見だとそりゃ驚くよね


動画内では羽毛布団が完成し

再生が終わってもしばらく動かない


少し経ってフレイアが口を開いた

「先ほどの人たちはどこに消えたのでしょうか??」


あ、やっぱりそういう反応になるんだね


「説明が上手くできないけど、元々ここにはいないんだよ

ちなみに」


再度再生をして見せる

「こうやって何度でも同じ人を出せるからね」


フレイアがまた固まり直した

流石に全く同じ作業や人が再生されることって

現実ではないものね


「とりあえず見てもらったけど、作り方が理解できそう?」

率直に聞いてみる


「わたしは大丈夫です」

「私もおおよそ理解できました


「わたくしもわかりましたわ!

ですが鳥がかわいそうで見るのがつらかったですわ」

アウラムはしょぼんとしていた


「アウラムはやさしいんだね

これは昔の作り方らしくて、今は食べるために処分した鳥や

巣から抜けた羽を集めて作るのが多いんだって」


「それならよかったですわ」

ぱぁっと顔が明るくなった

感情ストレートな娘だ


「鳥の羽でなくても羊の毛を飼って作ったりもするらしいよ

毛を刈るならまた伸びてくるからね」


3人とも感心していた


「同じものを作るにもいろんな方法があるんだ

それを覚えれば魔術でモノを作るにも

いろんな方法やいろんなモノが

作れるようになってくると思うよ」


そう言って初回の動画視聴を終了した

続きは弥生さんにお任せで別なものを見てもらおう


さて、改めて町を探しに出発!


道のないダウンヒルなんて走ることないので

装甲車を慎重に慎重に動かしていく

1速でエンブレ効かせてても速度が勝手にあがるので

ずっとブレーキに足をかけたままだ


20分ほど下ってようやく傾斜が無くなった

まだ森の中だけど、麓に着いたようだ


ただ、ここに来て問題発生


町の方向を教えてくれたアウラムと妖精だったが

さっきの妖精達は森の中がテリトリーで

一緒に来られないらしい

せっかく来て貰ったのに申し訳ない


アウラムが礼を言って、また車外にでて妖精を呼ぶ

さっきと同じように光が集まり始め、アウラムが戻ってくる

無事、新しい案内人に頼んで貰えたようだ


なにせ地図もナビもGPSもないのだから

現状は妖精に教えてもらう以外ない


最新情報を持っている人がいない現状では

アウラムが呼んでくれる妖精の情報が唯一の頼りだ


走行中に投下したビーコンはちゃんと作動していて

走行軌跡がインパネのモニターに表示されている

帰りはこれをガイドにすれば帰れるって寸法


ちなみにビーコンは地面に打ち込んでいるので

そうそう悪戯されたりしない


魔素を取り込んで無補給で動き続ける優れものだ

シリアルを照合すれば走行ログと併せて履歴も把握できる

もちろん考えたのは弥生さんだ


さて

高原よりも複雑な植生に迂回したりなんだりと

繰り返して数時間

思ったより距離も走ったが

突然森が途切れ視界が一気に開け

見通しがよくなる


すぐさま装甲車を止めてカメラを操作する

現れた草原の向こうを見ると

いくつか木でできたらしい構造物があった


「ここが目的地の町なのですわ」

アウラムが一緒に乗り込んでいた光の玉と話して

そう告げる


「町?」

「どこに?」

私と阿部ちゃんが交互に声を上げ、顔を見合わせる


私らの想像していた【町】とはまるで違っていた

昭和初期の写真で見る炭焼き小屋どころか

縄文遺跡の復元建屋がお屋敷に見える有様だった

壁も申し訳程度、あれでは雨風すら避けられない


モニターにはちらほら人らしき影が見えた

少し背は低く、白い肌に見えるが線が細い


「近寄って行って怪しまれたり

攻撃されたりしないかな?」


「大丈夫だと思いたいですわ、ですがその・・・・・」

アウラムが少し言い淀む


「恰好とか習慣とか言語とか問題あるのかな?」


フレイアがパーテーションの開いた窓から顔を出す

「黒髪黒目は・・・・・その・・・・・

【神の代理で裁きを下す者】として

古くから伝わっているのです」


アウラムとカホルも、頷いている


「女神様の使い、ですか?」

阿部ちゃんが尋ねる


「私達は直接女神様から

お二人をお助けするよう申し付かり

ご一緒もさせて頂いていますが

それまで単なる戒めの話だとばかり・・・・・

実在していると知った時にどうなるか

わからないのです」


「種族関係なく伝わってるの?」


「幼い頃から私もそう聞いていました」

カホルが告げる


「統一神として女神を崇拝する文化があって

裁きを下す実行者として黒目黒髪が来る、ってか

そりゃあびっくりするかも、だよね」


「女神様がお怒りでいらっしゃる

と考えればかなり怖いでしょうね」


「まあ、そういう話にされる可能性高い、ってことなのか」

阿部ちゃんと顔を見合わせる


「私ら二人は町にいかないほうがよさそうだね」

「黒目黒髪が忌避される、ってのも

異世界モノの定番ですし、自重しましょう」

彼女はそう言って頷く


・・・・・ホントに好きなんだね、異世界モノ


「昨日と同じくで申し訳ないけど3人のうち二人で

町の様子を見てきて欲しいけど頼めるかな?」


そう頼んでから、こう続けた

「知らない町だし

前の人生とは時代や認識に

【ずれ】があるよね?

安全を確保するために

装備を付けて行ってほしい」


「「「そ・うび?」」」

そりゃ、知らない単語だよね


さて、説明より実地で教えるか

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