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この世界、モノづくりも名前もお風呂もありません。だから後輩といっしょに、魔術開発と現代知識で雑貨から兵器まで作り放題の3年間をのんびり送ります【連載改稿版】  作者: 事業開発室長
異世界道中の、はじまりはじまり

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第28話「異世界お約束の兵器作成」

ここは四六時中明るい

おまけに洞窟内なので星の運行とか太陽とか月もなく

ただただ白い天があるだけ


時計もスマホもなければ鶏もいない

だから朝なのか夜なのかまったくわからない


4人娘が三々五々起きてきて、挨拶をしてくる

一番早起きなのはカホルだった

「おはようございます、ケイ様」


「おはよう

ところで様、は要らないよ」


キョトンとしている

「そういえばフレイア殿はケイ殿、と呼んでいましたね」


「昨日一緒だった時に頼んだんだよ

殿でもむず痒いんだけどね」


思案顔をする

「彼女は私達の中で最も高名でして

賢者として尊敬されています

その彼女が呼ばれているなら倣うほうがよいのでしょう

わたくしもケイ殿、とお呼びさせて頂いても

宜しいでしょうか?」


至って真面目


「う、慣れないんだけどそのうちやめてくれると嬉しいかな

こっちが教えてもらう立場なんだから」


「覚えておきます

ところで」

カホルが言った


「昨日のコーヒーと紅茶の淹れ方

というのをお教えいただけないでしょうか?」


執事時代は主の身の回りを世話していたけど

私らのやってることは

勝手が全く違う

未知の出来事らしく

いろいろ考えても理解できなかったとか


教えを乞うのが最短の道と思い願い出たとの事


「いやいや、私も自分勝手にやってるだけで

自己流極まりないよ?」

それでも良い、って言うから

二人でキッチンを行ったり来たりしていた


フレイアとアウラムは一緒に起きてきた


カホルが改めて紅茶を入れ、二人に出す

目覚めの一杯だ


阿部ちゃんはだいぶ経ってから降りてきた

なんだったらそれでもまだ寝ぼけ眼だ


「ぉぁぉぅぉぁぃぁぅ」


目をこすりながら挨拶したようだが

なんて言ってるんだか


3年くらいの付き合いだけど

彼女の寝起きなんか見る機会などなかった

いつも元気ハツラツ!の阿部ちゃんでも朝弱いのか


寝起きでぼさぼさ髪の彼女も

それはそれで良いものではあるけれども


座った彼女にカホルが紅茶を差し出す

彼女用にノンカフェインの紅茶を

改めて淹れてくれるのは、覚えが良すぎるだろ

頭を下げて口をつけ

数口飲んでやっと少し目が覚めたらしい


「今日は外に出る、んですよね?」


覚えていたようだ


「一応準備はしておいたから

みんなが用意でき次第でかけようか」


数分後

4人娘はあっけにとられていた


目の前にあるものに


「これ、自衛隊の車両ですか?」

阿部ちゃんが聞いてくる


「知らん

それっぽくイメージして作ったから基本形状は似てるけど

少なくともサシでの勝負なら負けることはないね」

腕を組んで答える


昨晩門から帰ってきた私と弥生さんは

アウラムが私らの魔術行使時の魔素量を

『ドラゴン同士の縄張り争いみたい』と

評していたのを思い出したのだ


つまり、外界にはドラゴンが複数いる、ということ


もちろんドラゴンは私らの世界にはいなかったが

RPGとか伝説ではとんでもない生物と決まっている


金ピカで頭が3つもあって

熱線吐くほかの惑星から来た奴とか

8つも頭があって尻尾から剣が出てくるとか

西洋東洋問わず残ってるのもあるくらいだ


エンカウントして逃げられればいいが

そうでなければまともには戦う術がない


ということで弥生さんと検討した結果

こんなものが出来上がった次第だ


ベースは記憶にある自衛隊の兵員輸送車とかの形状


ただし、そのままでは視界が悪くて

上半身乗り出しての運転になるのと

直接の戦闘能力はまったく足りなく

当然ドラゴンなんかと戦って平気な防御力もない


ということで魔改造したスペックでクリエイトしてしまった


現時点では地球の技術では再現不可能だろう、多分


六輪独立懸架で電磁浮遊衝撃吸収マグネチック・ショックアブソーバー

特殊組成による結界付きノンパンクタイヤ

真空層を挟んで二重化された単結晶ボディ


これらで断熱・衝撃吸収を兼ねる車体構造


塗料で魔法陣を書いて塗装することで

ボディ全体とホイールに多重結界を張り

たいていのものは影響ゼロにできる複合防御魔術


おまけに上部には2連装の150mm口径レールガン

側面には6連レーザー・カートリッジ砲


しかも全輪インホイールモーターによる

四輪駆動ならぬ六輪駆動


他にも隠し要素てんこ盛り


動力源は自動吸収した外界の魔素を優先的に吸収・圧縮して

貯蔵タンクに蓄電ならぬ「魔素貯蔵」をする

貯めたものを使って、足りなければ乗員から徴収させる

魔素切れ対策済み


ちなみにレールガンとか

レーザー・カートリッジ砲はあくまで呼称


実際に超電磁とかレーザー発振器とかはなく

近いものを魔素を使って弾や砲口

発振器で再現しているだけだ


レールガンは実体弾

レーザーカートリッジ砲は

実体弾も撃てるしビーム砲も撃てる


理不尽だけど、それが出来るのがこの【世界】の

製作:(クリエイト:)魔術

できちゃった


走行用インホイールモーターや外部武装

生命維持装置等とタンクを魔素伝導パイプを作って繋げ

各種コントロールもできるようにしている


エンジンやミッションがないので

排気ガスや排熱はほとんどゼロ

そもそも車両全体を結界で包んでいるので検出不能


結界を感知する能力があれば検知されるだろうが

自動車どころか移動手段が限られるこの【世界】で

気が付くことがあるだろうか?


万が一見つかって追跡されても

逃げきる位の走行性能にはしたつもりだけどね



そんなごつい乗り物を見ての反応は、2つに分かれる


「「「なんですかこれは!」」」

はい、3人娘だね

そりゃそうだろうね、多分この【世界】で初めての

複数人が乗れる車両だろうから


「これ、映画とかで見たことあるのに似てますね

普通免許で運転できますか?」

阿部ちゃんは私の想像と違う答えを出してきた


「てか、君?

運転するつもりだね?」

明後日を向いて誤魔化そうとしたって

見え見えですよ、お嬢さん?


「3人娘のうち、一人は案内人として

前に座って欲しいんだけど

誰が地理に詳しいかな?」

そう頼んだところ、アウラムが手を上げた


「外に出られれば妖精たちに聞けるはずですわ

移動途中で呼びかけてもいいなら案内できると思いますわ」


と言うことで決まり


2人には後方の観音開き扉を開けて乗り込んでもらう


広いスペースの半分位には

JC女神謹製の食材を使った弁当や、保存食を積んでいる


余力があるので業務用冷凍冷蔵庫をクリエイトして

搭載してるから保存に関しても万全


運転席は私、阿部ちゃんはナビシート

真ん中にアウラムに座ってもらい

シートベルトを締め、スタートボタンを押す


ちなみにシートベルトは4点式

多少の衝撃では、シートからずれることはないはずだ


流石に6点は実用性もだけど

構造上確実に女性から嫌われるので辞めておいた

道交法がないから大丈夫なんだけど

フルバケットシートとともに嫌われる装備だというのは

身に染みて理解している


後ろの二人には一度降りてキャビンに乗り込み直し

着け方を教える


昇降式の大きな窓があるとはいえ

前後に防火用としてパーテーションがあるから

様子が見えづらいんだよね


もう一度席に戻って、全員に声をかける


「では、出発!」


多少石を巻き上げる音はするくらいで

装甲車は静かに発車した


―3人娘の悲鳴を残しながら

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