第24話「異世界 de 料理」
他の食材ではアレルギーや禁忌の問題は特に無いらしいので
とりあえず食料庫に向かう
米があればごはんは炊くとして、おかずはどうするかね?
すぐ作れるものをと思って冷蔵室にも入っていく
下処理最小ですぐやれるのは肉を焼くもの、かな
几帳面なのか、虫の発生を嫌ってか
精米済みの米、小麦粉、パン粉などが
ずらっと冷蔵室に置いてある
おまけに調味料も、多種多様なものがたっぷり
卵も大量に置いてある
野菜置き場には、キャベツがあった
付け合わせも考えると、とんかつかポークソテーが簡単かな
そういえば酒類あるのかな?
コニャックか、ブランデーがあるならいいんだけど
いくつか材料や調味料を手に取っては
何度かキッチンと往復する
そういえばキッチンは作ったけど、調理器具なんも無いや
炊飯器作ってもいいけど、ガスコンロだから
使い慣れた南部鉄器の炊飯釜、って作・・・・・れるのか?
よく考えたら、今まで魔術で作ったものは【日本語以外】で
作るものを指示していた
もちろん対象を明確にイメージしているけれども
南部鉄器をイメージしながら
製作:炊飯器
と唱えて果たしてできるのか?
まずは試すのが先だろう
「製作:炊飯器《クリエイト:ジャー》」
目の前には、私が3年間使っていた南部鉄器の
ガスコンロ用炊飯釜が出来ていた
そして、3人娘はまたも固まっていた
もうお約束、だな
使ってたのは3合炊きで、出てきたのもそのまんま
5人で3合じゃ足りんか?
別の用途を思い出し、もう二つ作っておく
「ケイ殿、そんな簡単に顕現させられるのですか?」
フレイアが聞いてきた
「なんかできちゃうんだよね、今のところはスムーズに」
軽く答える
「できちゃう・・・・」
なんか呆れられてる気がしますけど?
そんな言葉を尻目に、
今度はボウルを作って
何度か研いで含水させる
3合炊飯用に米と水を調整した
南部鉄器釜を載せたコンロを
炊飯モードにして火にかける
隣には
バター、塩コショウ、付け合わせにキャベツ
とりあえず一品料理だ
待て
キャベツの千切りするには、まな板も包丁もない
ソテーするには、フライパンとターナーがない
おまけに途中で油を吸うのにも、キッチンペーパーもない
ごはんを食べる茶碗と箸
ポークソテーを載せる皿
ごはんをよそう、しゃもじ
こいつらもない
ないない尽くしだ
フライパンは私の好みで、分厚い鋳鉄製のものを作る
新品と思いきや年季の入った
堆積物や酸化被膜が着いたものが出てきた
「老舗の洋食屋のかよ」
思わずこぼした
他も全部作ってしまおう
クリエイトの魔術は、なんでもできるな、と呆れる
流石にこの連発で、3人娘は固まることは無くなっていた
一応、お湯で洗って、火にかけて乾かしてから使う
温度が下がったのを見計らってから
弱火で着火してバターを入れ
あらかじめ塩コショウしておいた
かなり厚切りの豚肉を入れる
じわじわ火を通していくが
脂がのっていてだんだん油浴になって来た
余剰な脂を吸わせようと思ったが
キッチンペーパーを作り忘れていた
作って失敗しても面倒だからと
1枚深皿を脂受けにしてフライパンから移しておく
油を吸って焼き続け、ひっくり返して数分
本来なら最後にコニャックを振りかけ
フライパンを少しずらして火を点けて
フランベをしたいところだが
酒自体なかったので
バターをほんの少し追加してから加熱して
フランベっぽく鍋を振って火をつける
焦がしバターはそれだけでも
食欲をそそる香りになるからね
火柱を見て、後ろから驚いた声が聞こえる
頃合いを見て、3つ目の南部鉄器釜で沸かしたお湯で
温めておいた皿に上げて余熱で火を通す
合間に刻んでおいたキャベツを皿に盛り
余熱が通ったポークソテーを載せて気づいた
ナイフとフォークがないと、カットして食えない
追加で人数分クリエイトしておく
そうなると、ごはんも茶碗でなく皿のほうがいいだろう
ということで、炊きあがったご飯をかきまぜて
これも温めた皿によそって出してみた
「食べてみて」
出したのはいいが、3人娘は顔を見合わせている
「どうかした?」
フレイアがおずおずと
「ケイ殿、アヤノ殿が食べてないのに
私共が食べるのは、仕えるものとしては・・・・・」
残る二人も頷く
「これ、異世界交流の1つだから仕事と思って食べてよ
食べ物の違いがあるなら、知っておかないといけないし
こっちに調理や味を伝えたほうがいいなら
食べて貰って、味を覚えてもらう必要あるし」
それでも手が出ていない
「だめかな?」
3人娘は首を振り
「いえ、どうやって食べればいいのか
わからないのです」
カホルが言う
そういえば調理も???だったのだから
そこから教えないといけないのか
熱いうちに食べて欲しいし、仕方ない
「阿部ちゃんが手本見せてくれる?
ひとまずフレイアのを譲って貰って
フレイアには、新しく作るから
ちょっと我慢して貰えるかな?」
フレイアが首を縦に振り同意してくれた
「では、阿部ちゃんあとはよろしく」
そう言いながらキッチンへ戻り
2人前のポークソテーを追加で作る
3人娘は、初めて使うナイフとフォークに悪戦苦闘している
むしろ、普通に箸を出していたら、もっと大変だったかもね
「おいしい!」
「初めての味ですわ!」
「これが【料理】ですか!?」
3人それぞれ声を上げている
―待てよ、最初の声は阿部ちゃんだな
「先輩、ちゃんと料理できるんですね」
「さっき、美味しいって言ってたよね、君?
まあ、このくらいならお手の物だよ」
そう答えながら、新しくフレイアの前に皿を置く
私自身も食べ始めながら、みんなの顔を見る
阿部ちゃんはともかく、3人娘はずっと表情が硬かったし
驚く事連発で笑顔がなかった
今は、ぎこちない手つきだけど
ナイフとフォークを真剣に操りながら料理を食べて
一口ごとに、にこやかな顔をしてくれている
これで、少しは緊張がほぐれてくれると、良いんだけど
「お代わり、ってだめですか?」
阿部ちゃん?
君、もう食べ終わったのか
育ち盛りの高校生かな?
「ごはんならあるけど
ポークソテーは肉見て来ないと、わからんな」
手を置いていうと
「おーかーわーりー!」
駄々っ娘か
「あのぅ」
アウラムが上目遣いで、こちらを見て声を上げる
「わたくしもおかわり、頂きたいですわ」
手をまっすぐ上げて隣のカホルも
「よろしければ私も頂きたいです、おかわり」
それを見て、まだ口にポークソテーが入っていて
もぐもぐしてる美女が、慌てて手を上げる
「わ、わたひもおかわりほひぃでふ」
「口にもの入れたまましゃべらない!」
思わず大声が出てしまった
「仕方ない
まずは3人娘の分を作るよ
今度は阿部ちゃんが少し我慢してね
このフライパンのサイズじゃ
一度に3人分しか焼けないからさ」
少し膨れながら腕を組み
「代わりに、大盛にして下さい」
ちゃっかりしていらっしゃる
「私も大盛、ってのをお願いできますか?」
フレイアがリクエスト追加してきた
「私もお願いしたいです」
「わたくしも、ですわ」
3人娘全員おかわりかい
まあ、気に入って貰えたならなによりですよ




