第22話「今度はトイレと風呂を作る」
食料庫を出て、ついでとばかりに
キッチンをもう一度作り直す
魔術で同じ場所に作って上書きすれば古いものが消せるのは
阿部城(仮称)で実証済み
今回はスペース一杯に、どこぞの厨房を想像しながら
魔術を唱えたのでかなりの人数が
作業できるようになったと思う
「こんなにでっかいキッチン要りますかね?」
阿部ちゃんの疑問は尤も
確かにでかすぎて不便、かもね
「まあ、使ってみてから考えようよ
小さくするのはまた出来るし」
魔術の利便性の高さに、軽くこう答えた
とりあえず、さっきと同じく給排水とかも付けようとしたら
今度は最初から全部備わっていた
・・・・・
一度経験すれば、次に魔術行使した際に
弥生さんのお手伝いで自動反映されるシステムか?
だとすれば―
「とりあえず、ご飯の心配はしなくてもよさそうだから
次はトイレと風呂、じゃないかな?」
優先順位からすればトイレ、か
この城、めっちゃ広いから
トイレはあちこちに作らないと大変そう
キッチンとの間仕切り壁の間
半分程を使って化粧室を作ってみる
間仕切壁の新設、内部通路
男女別のトイレと洗面所と間に多目的トイレ
あとで作ると面倒そうだから全部バリアフリーにしておく
下水については、当初はピットを作って
重力式での排水を考えた
しかし、せっかく一体成型された躯体に
安易に穴を開けるのも忍びない
おまけに流石に地下室の新造はできるのか
まだ試していないしとやめておく
代わりに便器の真後ろに出す
「マンション式便器」を採用
合わせて配管を作って
一般的なタンクの水を使った圧送に変更
加えて汚水ポンプ併用でバックヤードに送り
分離圧縮するように工事をしてみた
タンクもでっかいけど、用途が用途だから
余裕を見て半年に1度は処理しないとダメみたい
タンクを縦に回転させる台車も作り常時載せておいて
2人くらいで廃棄処理ができるように工夫をしておく
同じようにホールを挟んで、反対の作業場スペースにも設置
問題は2階
どこにトイレを作るにしても
1階と同じようにタンクのメンテナンスが必要
あんまりでっかいタンクは作れない
なにせ下に降ろすには、ホールにある階段を使わざるを得ないけど
そこを持って歩くのか?って話
1階と同じタンクサイズだと台車作っても下ろせない
かと言って、作らないとあの天井高の高いホールを
手で持って下まで降りるのはかなりの危険を伴う作業で
面倒すぎる
『先程お話した【魔法】を使って
1階と同じ位置の間仕切内を通る
縦穴を開けて配管を通し1階のタンクに繋ぐ
と言うのはどうでしょう?』
弥生さん、それ採用!
ただ、魔法で穴あけ、どうやるの?
『位置とサイズは私がサポートします
イメージの方法としては
【消しゴムで消すこと】を考えてください
魔法は【イレース】です』
弥生さんがそういうと、視界に赤いマーカーが浮かび上がる
「なんだこれ?」
『ご主人様に同調して
狙う位置を可視化するように処理しています
実際には見えていません』
どこかで見た戦闘民族真っ青のことし始めたよ、この人
魔術は詠唱が必要だけど、魔法はイメージだけで行ける
念じただけで狙い通り、床に穴が開いた
『あとは1階と同じくトイレを作って
タンクの代わりに1階へ繋がる配管を繋ぐだけです』
あっという間にトイレができた
キッチン側の小さい部屋側は3部屋潰して作ったので
次は作業室の上
こっちは広めの部屋だけど、トイレも個室にするか?
『メンテナンスを考えると
基本的には共用のほうがお勧めです』
では1部屋潰して作ることにしよう
阿部ちゃんと相談の上、一番手前の
入って右側の部屋をトイレスペースに決定
彼女曰く、城の正面から中が見えるのはあまり・・・・・
と、言うことだったので、問答無用で採用
女性への配慮は、最優先事項だからね
部屋数も少ない分1部屋相当あれば良いかな?
と思ったが2部屋分で、とごり押しされた
ただ、男女で平等に分けると
あきらかに男性用が広すぎるんですけど?
結局、廊下側の間仕切壁にイレースで穴を開けて戸を作り
多目的トイレを挟んで、男性用の面積を少なくすることに
リフォーム業をやったら、大分はかどりそうな位に
楽すぎるんですけど、作業
トイレ問題も解決したので、最後は風呂
これは外に建物新設かな?と、思っていたら弥生さんが
『案内します』
そう言って2階右、すぐ左の螺旋階段に誘導され
それを結構な距離上ると、そこは中央の尖塔最上部だった
下が大会議室並みの広さで、そのまま尖塔ができているので
ほぼそのサイズ
うちの工場だと、机と椅子を入れて200人は入れるのだから
それ相当はかなりでっかい
『こちらを、大展望浴場にしてはどうでしょうか?』
ガラス張りだし見晴らしはいいけど、展望って・・・・・
洞窟の中が見えるだけだよね?
『そこは雰囲気、風情を楽しむということですよ』
外界見たことがないはずの
サポートシステムに諭されましたけど?
一緒に来た阿部ちゃんにそのことを伝えると
「いいじゃないですか!
高いところで視野が広いって
それだけで解放感凄いですよ!!」
うん、興奮してるね
「でもさ、これだと脱衣所作りづらいよね?
あと周りになんにもないし、全面ガラスってことは
外からも見えるってことですけど?」
トイレの強硬な主張を鑑みて
そう聞いてみたのだが、答えは意外だった
「脱衣所は、階段のところに
ちょびっとあればいいんじゃないですか?
ひなびた温泉みたいに
棚と脱衣篭あるだけで良いと思います
風情も出そうだし
見られるって、先輩以外には見られたら困る人
今のところ居ないですよね?」
なるほど
女性陣が入浴中、ここが見える範囲に入るな
という暗喩ですか
「男女分けるってのが難しそうなんだけど?」
返事はこうだった
「え?分ける必要あります?
時間制で男女交代で良くないですか?」
―よかった、混浴って言い出さなくて
いや少し残念、か?
トイレ同様の工事、もとい魔術と魔法行使
そして今回は、らせん階段から水があふれないよう
きちんと排水処理と水勾配などを付けて
更にシャワーも製作
風呂に至っては、ジャグジーと電気風呂も
つけておいたから疲労回復効果ばっちり
異世界銭湯、完成しましたよ




