第八話 嫌だよ
「おかえりなさい。莉央。今日は遅かったわね。」
「ただいま。お母さん。友達と話してたら遅くなっちゃった。」
お母さんはお父さんがいるときは厳しい。けれど逆にいないときは優しくなるのだ。
「今日も頑張ったわね。」
頭を撫でられて思わず笑みを浮かべる。
姉さんはが生きていたときは3人で頭をなであった記憶がある。
「やっぱり莉花のいない生活、まだ慣れない?)
「もしかして、顔にでてる?」
「ふふ。莉央はわかりやすいわよ。すぐに顔に出るからね。」
こうやって笑い合う時間は楽しい。いつまでも、星奈さんといる時間も、ずっと続けばいいのに。
———ごめんね。私のせいで、私の、せいで。莉央には首かせがついているみたいに、窮屈な思い、させちゃって。
姉の言葉を思い出す。
首かせ、か。 それがついてても良かった。
私だけが苦しんでお母さんと姉さんが幸せになるなら。それで良かった。
でも、なにもしなかったから。だから姉さんは死んだ。
遺書はあった。けれどお母さんとお父さんは心配症見せてくれなかった。
私は、どうして姉さんが死んだのか。理由がわからなかった。
考えても意味はない。そうわかっていても。
姉さんのことを考えなきゃ心が落ち着かなくなった。
ねえ、姉さん。どうして雨が降ってる中、泣いてたの?
もう、わからないよ。
毎晩毎晩泣いて泣いて、どうしようもない気持ちになって。リスカして。
ずっと、その繰り返しなの?
私は、これからずっとお父様が望む『理想な娘』を演じなきゃいけないの?
もう、嫌だよ。
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