第五話 「莉央」
小学生の頃、担任の先生から自分の名前の由来を調べてこいって言われてたっけ。
調べたあの頃の私は純粋で、良い名前だな。ぐらいにしか思ってなかった。
成長した今のわたしならなんとなくわかる。
「莉央」という名前のほんとうの意味を。
「おはようございます。お母さん、お父さん」
いつもどうり朝起きたらお手洗いに行ってそれから家族一緒に朝ごはんを食べる。
といっても私は朝ごはんを食べるのが苦手だった。
なぜなら———
「ねえ、莉央。ちゃんと勉強してる?少しは莉花の代わりに努力してるかしら?」
「そうだぞ。本当はお前が莉花の代わりに死んでほしかったものを...こうやって生かせてもらえてるだけありがたく思え。 出来損ない。」
「はい、承知しております。」
毎朝、我が家はこうやって私のことを皮肉することから始まる。
正直いうと、すごく面倒くさい。
でもこれの返しをちゃんとあるんですからしないと両親は癇癪を起こすのでどうしようもない。
できるだけ早めにご飯を食べ、学校に行く準備をする。
私は親の前では『良い子』でなければならない。
そうしないと親は癇癪を起こす。
どうしようもないことなのだ。今までは姉さんが隣にいたからなんとかなっていたが、その彼女はもういない。
一人で、この苦しみを耐えるしかない。
そろそろ学校に行こうと私は荷物を持って家を出た
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終わった...。
これから放課後だ。いつもなら学校に残って勉強するか家に帰って勉強するかの二択だけれども、今日はちがう。
今日は、星奈さんと会う日だ。
私は待ち合わせ場所のカフェまで歩いて行ったのだった。