ストレス
「ストレスで分泌すると言ったけど、どれだけのストレスを受けたら分泌するかは、解らなかった。」
「えっ!!」
「AVを使って、様々な人、様々なシチュエーションを見比べたけど、素人には、見た目の違いが解らなかった。」
「最低値とでも言えばいいかな。 見た目で判断できれば、それが指標になると思ったんだけど、駄目だった。」
「………それしゃあ、どうするんですか?
まさか、性行為中に、罵声を浴びせ続けたり、暴力を振るい続けるとかは、言いませんよね?」
「近い、かな。」
「えっ!?」
「最低値は解らなかったけど、最大値、絶対に分泌していると言い切れるものは、見つける事が出来たんよ。」
「………」
「だけど、その最大値が、非人道的に、俺は思えるんだよな。
小説や漫画の話なら、なんとも思わなかったけど、現実で、ましてや奥さんにするのは、躊躇われるんだよな。」
旦那様が、苦虫を噛み潰したような表情で言われた事に、私は、聴くのが怖くなった。 けど、
「………取り敢えず、話してみて頂けませんか?」
「解った。」
「まずは、精神的ダメージの方だけど。
昨今の日本のTVで殆ど見なくなったけど、外国の災害中継や、災害をテーマとしたドラマで、避難地で、母乳の分泌が止まらなくなった女性を、見たことないかな?
それか、飛行機がなんやかんやで飛ばなくなって、空港に泊まることになった人で、母乳が止まらくなった女性。」
「いきなり母乳を指標とするのは、どうなんですか。」
「だから言うのが嫌やってん。」
「まあでも、解りやすかったです。
解りやすかったけど、一般家庭でそこまでの精神的ダメージを受けるのは、無理ですね。
!もしかして、肉体的ダメージの方も、」
「そうや。」
「肉体的ダメージの方は、性感帯を、複数箇所同時に刺激し続けるか、休み無くずっと刺激し続けると、人は気絶するか、呆然自失になるようや。」
「はっ?」
「気絶は官能小説、呆然自失はAVで確認済み。
流石にAVで、気絶は確認できなかった。」
「当たり前です。 映像に残せれるわけがありません。
というか、呆然自失もよく有りましたね。」
「昔のAVって、人権が無いのかなって作品が、それなりにあってね。 今はもう廃盤で無いけど、本当に、色々あったんだよね。」
「ちょっと気になりますけど、おいといて。
何で、精神にしろ肉体にしろ、そんな、両極端、何ですか。」
「多分だけど、片方だけで分泌させようとしたからじゃないかな? ストレスの定義が、人間のダメージなんだし。」
「そうですか。
どっちにしろ、一般家庭では難しいですね。
………もしかして、女性が知らないだけで、男性には、技術を磨く何かがあったり、」
「そんなものは存在しない。
今は無き、性行為の出来る風俗でも、男性が一方的に性欲を発散するだけで、勉強はしない。
おまけに、日本は男尊女卑。 だいぶ緩和されたけど、心の奥では、ね。 事実、性奉仕って言うと、女性が男性にってイメージが強く、性風俗という言葉も、定員さんは、女性のイメージが強い。」
「それではいったい………あっ! 初めに言っていた媚薬、補助剤でしたっけ? でも、それも相性が悪いと言ってたよね………!!もしかして、一夫一婦と相性が悪いと言ったのは、コレが原因? もしそうなら、浮気や不倫と相性が良いと言ったのも解る。 裏切った時に、罪悪感なりなんなりを感じたら、その分ブースト、ホルモンが分泌されやすくなるもの。」
私が考えを巡らせていると、不意に、
〈パン〉
「!!」
旦那様が、両方の手のひらを打ち合わせたようだ。
「熟考しているところ悪いけど、話はまだ終わってないんだよね。」
「すいません。」
「いいよ。 俺も、情報を見つけた時は、貴女と同じ様になったし。」
「はい。」
「その後ブチギレたし。」
「何で?」
「とある犯罪と相性が良すぎるのが解ったから。」
「何て犯罪ですか?」
「それを説明するのは、このホルモンの話が終わってからや。
というのも、まだ話してない、このホルモンの特性も、相性が良いからな。」
「そうですか。」
「それで、どうする?
このまま話を続けても、貴女が気になった事をそのままにしといたら、集中できないよね?
なら、先にそっちを解消する? それとも、一息入れる?」
「………でしたら、先に、疑問点の解消から、お願いします。
休憩は、必要ありません。 お気遣いいただき、ありがとうございます。」
「ん。 なら、疑問点から。」
「貴女が考えたように、私が、一夫一婦と相性が悪いと思ったのは、コレが原因。 単純に、手数が足りないから。 知識も足りないけどね。」
「やっぱり。」
「それと、日本は、足りない手数を補う物が、沢山有るのに、それを活かせてないどころか、間違って使っているのも問題やね。」
「?補助剤以外にも、何か有るんですか?」
「有るよ。 性具っていう、性行為中に使う道具。 別名、大人のおもちゃ。 他にも、SM道具とか。」
「いや、使わないでしょ。 なんなら、一般家庭で持っているのも稀でしょ。」
「まあ、両方とも、イメージが悪いものね。
色々知っている俺からしたら、全然違うイメージなんやけどね。」
「因みに、どんなイメージ何ですか?」
「治療道具。」
「病院に行きましょう。」
「いやいや真面目な話。 貴女も話を聞いたら、俺と同じ感想を持つって、絶対。」
「あの、ホルモンの話が終わってないうえに、補助剤の説明もして欲しいのに、更に疑問を増やさないでください。」
「なら、先に補助剤の話をしようか。 性具やSM道具も、大きな括りだと、補助剤、媚薬と変わりないし。」
「はっ??」
「どう? それでいい?」
「………旦那様にお任せします。」
「解った。
それと、不倫や浮気についてだが、貴女が思ったように、罪悪感なり背徳感で、精神的ダメージを受けたら、ホルモンが分泌されやすいやろな。」
「はい。」
「しかし、それだけじゃない。」
「!!」
「此処から先の話は、俺の憶測が飛ぶ。 飛ぶけど、かなり信憑性の有る話でも有るから、先に、疑問点を潰しておく。」
「わかりました。」
「因みに、間違った使い方って?」
「性感帯、神経集合体に直撃。」
「うわ、痛。
拷問じゃないですか。」
「漫画やAVの影響だと思うけどね。
慣らしもなしにされたら、別れるだろうな。」
「当然です。」