呼び出し、旦那様の家(一人暮らし)にて、
下着よし。服よし。身嗜みよし。
(女)友達から聞いた、気に入る男性が多いらしい、女性の服装、清楚系の服装と下着にしましたが、どうでしょうか?
私の見た目と雰囲気に合っていると言われましたが………。
やはり、ここはギャップ攻めで、下着はセクシー系にしましょうか? それとも悩殺系?シースルーの。 又は可愛い系?縞々の。
彼の好きなタイプが解れば、もっと選択肢があったのですが………。
何故、私が、彼に気に入れられる装いを熟思しているかというと、お見合いの日から数日後、彼の家に呼ばれたから。
呼ばれた理由は………、前回の報復かしら?
あの場で報復をしてこなったから、気の弱い方だと思っていたのに。あわよくば、尻に敷こうかと画策していたけど。 直接呼ばれるとは。
彼の家での報復。 調教でしょうか? それとも拷問? 監禁?
そもそも、待っているのは彼1人だけ? 複数人?
撮影は? それを使われての脅迫?
………はぁ。駄目ですね。 中途半端に情報媒体や友達から性的知識を得たせいか、発想がそっちにしかいかない。
モヤモヤしながら、教えられた住所に向かうと、玄関前に彼の姿が見えました。
挨拶が終わり、リビングに移動。
「わざわざ呼び出してゴメンね。」
「いえ。 お招き頂き、ありがとうございます。」
「今日、呼んだのはね、お互いの立ち位置について、話し合おうと思ってね、呼んだんだよね。」
「立ち位置?」
「うん。 ちょっと待ってね。 飲み物持ってくるから。 椅子を使っていいからね。」
「立ち位置………。」
つまり、私は彼より下の立場で、彼の言う事を何でも聞く従順な奴隷、ペットだということを、解らせようということでしょうか?
「お待たせ〜。 はい。」
「ありがとうございます。」
お茶に見えますが、何が入っているのでしょうか?
「それじゃあ話の続きだけど、えっとね、僕は、結婚制度の意味が解らないんだ。」
「ん!?」
いきなり何て事を言うんだこの人。 しかもお茶を飲んでいる時に。 思わず吹き出してしまうところだった。
「今回のように、お互いの家に利益が有るのなら理解できるけど、恋愛結婚は、マジで意味がわからないんだよ。」
「………何故ですか?」
「この国の性教育が杜撰だから。」
「??」
「女性の、性行為中の【体の変化】【精神的なもの】【その他諸々】は、か・な・り複雑でね。
あー、政治家が少子化について何か言ってんじゃん。 捨て子・赤ちゃんポスト・嬰児殺・児童殺害がどれだけ有るか、解ってるのかと言いたいけど。」
「はい。」
「少子化はね。起きて当たり前なんだよ。
だって、」
[ゴク]
「【女性の性行為中の体の変化】と一夫一婦は、相性が最悪なのに、一夫一婦に合わせた教育をしていないもの。」
「………はい?」
「それに加えて………、どう言おうかな?
補助剤? まあ、いいか。 補助剤の方も問題があってね。」
「補助剤? ………!!媚薬。 薬!?」
「あたらずといえども、とおからずやな。 後で説明するから、今はスルーな。」
「………はい。」
「その補助剤と日本は、相性が悪くなっている。 最近は物価高で、食べる機会が減ってきているが、その前から、機会が減ってきててね。 それが、様々なところに影響を与えている。」
「………もしかして、食べ物?」
「というの、その補助剤は、性行為以外にも必要なものでね。
簡単に言うと、学習能力・運動能力・etc等、様々なところに影響を及ぼしている。 つまり、今、話題になっている内容の多くに関わっている。」
「いや、とてもじゃないですが、信じられませんよ。」
「俺だってそうや。 知った時は、頭を抱えたもん。」
わらってる。 旦那様がわらってる。
「だけど事実や。」
悲しんでいるような、可笑しいような。
狂った顔でわらってる。
「これじゃあ、ますます、夫婦間での妊娠率は下がるうえに、様々ところで差が出るやろな。」
「!でも、先程、捨て子が多いと言いましたよね。 さっき旦那様も、言及せれましたし。」
「そう。 そこも、問題は、」
「はい?」
「私見やけど、さっき言った、【女性の性行為中の体の変化の1つ、妊娠をしやすくするホルモンの分泌】は、一夫一婦やと、不倫や浮気の方が、分泌させやすいんや。」
「嘘。」
「それと、10代………と20代前半もか? の子供が、売春をするのも、妊娠しやすいのも、一応は説明がつくんだよね。」
私は反射的に、自分の体を抱きしめた。
旦那様がおっしゃっている事は、理解できない。 が、妙な説得力が有る。 怖い。
「なのに、国はそういうところを義務教育で教えない。
だから、俺は杜撰やと思ってるんや。」
「………あの、内容がとてつもなさ過ぎて、今すぐ理解するのは、無理なんですが。
それと、国の教育機関が杜撰だというのも、信じられません。」
「なら、解りやすい話をしようか。」
「例えば………、コンドーム。
コンドームを使う意味は、解る?」
「………一般的な考えですと、避妊具や性病になりにくくする。 ですけど、」
「他には、膣を傷つけないようにする意味も有るよ。」
「そんなに傷つきやすいんですか!?」
「俺も、知ったときは吃驚したよ。
ちなみに、ローションも、そういう意味が有るらしいよ。」
「ああ、だから芸人さんが罰ゲームで使っていたんですね。」
「そうだね。」
「次の話題は、性感帯について。」
「そもそもの話やけど、性感帯って、何か知ってる?」
「いきなりセクハラですか?」
「いや、真面目に答えてほしい。」
「………触ると、性的に興奮する場所です。」
「本音は?」
その笑顔が腹立つ。
「………」
「本音は?」
解ってて訊いてくるのが腹立つ。
「よく、わからない場所です。」
「だよね。」
「でも、世間一般的にはそうらしいので、わからない私が可笑しいのかと。」
「ううん。 わからなくて正解だよ。」
「じゃあ、正解はなんですか? 知っているんですよね。」
「正解は、【神経の集合体】だよ。」
「………っは?」
「【神経の集合体】。 だからね、」
旦那様は左目を大きく開き、更に、左手で目の周りを広げて、
「目や耳、鼻などの五感も、性感帯と言えるんや。」
話の流れと、片目だけを極端に大きく開かれか顔が、相まって怖い。
「そんで、イメージしてほしいんやけど、」
「〈ゴク〉はい。」
「自分の目玉を、他人に触られ、擦られ、押し込まれ、突かられ、抓られ、吸い付かれて、気持ちよくなると思う?」
「なったら変態ですよね。」
「まあ、今のは、理解して貰うために、解りやすい例えとして目玉を使ったけど、もし、世間一般的にイメージされる場所、胸や股間ね、が、女性全員、初めから痛かったら、誰も性行為をやらないと思うから、何割かは、初めから痛かったりしないと思うけどね。」
「そうですか。」
「他に、解り易い話やと………、処女喪失が激痛なのは、知ってるよね?」
「常識ですね。」
「では、男性は?」
「えっ?」
「童貞喪失時の失敗は、知ってるか?」
「………そういえば、聴いたことがありませんね。
それどころか、考えたこともないです。」
「私が知っているので4つほど、有るよ。」
「!!多いですね。」
「ジャンル分けすると、2つかな?
ちなみに、1つは病気認定されてるよ、」
「教えてください。」
(もし、旦那様もそうなったら、困るし。)
「では、病気の方から。 内容は、
①【精神的なもの】イップスと言えば解るかな?
⑴[緊張しすぎて、勃起しない。]
⑵[緊張しすぎて、挿入したものの、中で、勃起が収まる。] 通称【中折れ】。」
「中折れ、折れ、折れるんだ………。」
「実際には折れないよ。」
「そうですか。 でも、本当に、治療法は有るんですね?」
「有るよ。」
(良かった〜。)
「医者から薬を処方されるか、何度も性行為をして慣れるか。 らしい。」
「けど、もう1つの方は、治療法は無いよ。 それどころか、気付いていない人の方が多いかな?」
「ええ!!」
「知っていれば、治せれる内容らしいけどね。」
「どんな内容です?」
「②【挿入時に、今・ま・で・体・感・し・た・事・の・無・い・快・感・を得る事による、暴走】。」
「………」
「⑴挿入→即射精。
人によっては、出・し・切・っ・て・、そこで終わり。
⑵相手のことを一切考えない無茶苦茶なピストン運動か、単に出し入れするだけのピストン運動。」
「こちらの治療方法は、ざっくり言うと、慣れる。 又は、女性側がキチンと意見、文句を言う。」
「………」
「それでも、男性側がなおそうとしないなら、諦める。別れる。やな。」
「………ようするに、女性は痛みに我慢、男性は、緊張か快楽に慣れろという事ですね。
そんなところにまで、性差別が有るんですか。」
「う〜ん。 もしかしたら、それは違うかも?」
「どこがですか。」
「あ〜〜〜。 護身術でさ、」
「はい?」
「男性に襲われた時に、股間を蹴り上げろとか、習わなかった?」
「弱点だからですよね。」
「なら、なぜ弱点か、わかる?」
「そこまで深くは考えた事が無いです。 弱点だな、ぐらいの認識しかありません。」
「だよね。
答えは、そこも性感帯、神経集合体だからだよ。」
「さっき目玉の話をしたけど、神経集合体をいきなり触られても、刺激を与えられても、快楽は得られない。
快楽を得るには、準備がいるんや。」
「………つまり、旦那様は、こう言いたいんですね。」
「神経集合体を快楽に変えることが出来たからこそ、男性は快楽を得れて、
女性は、変えることが出来ていないから、痛みを得ている。 と。」
「ああ、そうや。
だから、俺が思うに、男女関係無く、初めては慣れている人に相手をしてもらった方が、いいんじゃないかと思うんだよね。
だって、」
「お互い初めての場合、女性が痛みに耐えているのに、目の前の男が気持ちよさそうにしてたら、ムカつくでしょ。」
「当然です。」
「なのに、」
(まだ続くの?)
「金銭の授受を介する性行為、性風俗が、法律で禁止されました。」
「………ええ!? そうなの?」
「その結果、女性の負担が増えると思うのに、義務教育で、さっき言った内容を教えない。
そんな状態で、夫婦生活がうまくいくと思う?」
「知らなかったら、何故、女性だけが、こんな辛い思いをし続けないといけないと思うでしょうね。」
「だろ。」
「最後に、1番重要な内容。」
「もう、お腹いっぱいです。」
「これで最後だよ。」
「はぁ。 この後も、更に濃い内容の話が有るんですよね? 胸焼けしそうです。」
「それだけ、教えてない義務教育が悪いって事で。」
「最後は、性病について。」
「最近、感染者が増えたとニュースで聞きますね。」
「そのニュースも問題なんだよね。
だって、ちゃんとした内容を放送してないもの。」
「ちゃんとした内容? 感染以外に、ですか?」
「その感染が、問題なの。」
「?」
「性病って言葉を使っているのも問題なのかな?
性感染症。 つまり、これは、他人に移る事が問題なんだよね。」
「? 当然の事ですよね。 感染症なんですから。」
「じゃあ、〈どこにでも移せる事が出来る〉って事は、理解できてる?」
「えっ!? ………ああ!!」
「AV・成人向け漫画の影響だとされてるけど、性器以外での、感染が増えてるんだよ。」
「なのに、ニュースでは単に増えているとしか言わない。
ていうかあの内容、どういうカウントの仕方をしてるんやろな?
同じ人が何回でも、あるいは、1人に複数箇所感染した場合の情報が、手に入らん。」
絶句。 何も言えない。 決定打過ぎる。
「そもそもの話。 数回の行為で、必ず移るわけじゃないんだよね。」
「………何の話ですか?」
「好奇心・興味本位でやったとしても、1回目、数回目で移る可能性は低い。 はずなんだよね。 確率が高かったら、特効薬が作られているはずやし。
だから、キチンと教育しておけば、性器以外の場所に移るまでの、何回何十回は、するはずがない。 はすだ。」
「俺は、諸事情で中退したが、医療系の大学に通っていてな、」
(?いきなり何を、)
「その時、外国で教材に使われている映像で、喫煙者の肺の中身を見せられたんだが、」
(いきなりグロい系!!)
「もうトラウマ。本当にトラウマ。あれ見たら、絶対、喫煙なんてしないと思ったな。」
「………どんな映像だったんですか?」
「………聞きたい?」
「ゴク。 はい。」
「………肺の中から、細胞が壊れて固まりきれてない、黒い物体が出てきたんだよね。ドロドロビチャーって、」
「うわぁ。 キツイですね。」
「まあ、そんな感じで、性感染症も教育すれば、感染者の数も減ると思うんだよね。」
「そうですね。」
「それとさ、これが一番よく解んないんだけどさ。
何で、定期検査、健康診断で、性病のチェックをしないかが、解んないんだよね。」
「それは、まあ、風評被害や魔女裁判、吊し上げをさせない為じゃないですか?」
「確かに日本のイジメでは、風評被害や魔女裁判が原因になる事も、大いに有る。」
「けどさ、治せれるもんは治したいじゃん。
あと、他人に迷惑をかけるものは、知りたいと思わへんかな?」
「そうですね。」
「でさ。 これでも国の義務教育が、性教育が、正しいと思えれる?」
「………無理ですね。」
「なら、俺の話を聞いてくれる?」
「はい。」
「ありがとう。」
「よろしくお願いします。」
「でも、これだけは覚悟してね。」
「はい?」
「俺は、調べ続けた結果、国への不信感が強くなっていって、そのせいで、性的なことに対して、気持ち悪く思うようになったから。」
「初めて御会いした時の、」
「そう、それ。
だいぶマシになったのに、未だにあんな感じだからね。」
「そうとは知らず、申し訳ありませんでした。」
「謝る必要は無いよ。 事故みたいなもんやし。」
「はい。」