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In the round  作者: 宇川幸来
6/13

6-ありたい自分、なれる自分

「もー、きゅるんぱ速すぎ」

『きゅっきゅーん!』

 本気も本気の全力疾走できゅるんぱとのレースに挑んだ有世(ありせ)だったが、あちらも本気の四足モードには全く敵わず。それでも最後まで手を抜くことなく、誇らしげなきゅるんぱの待つゴールに駆け込んだのだった。

 有世はクールダウンにと、円を描く様にゆっくり歩きながら、激走でろくに見られないまま潜ったゴール――無彩色の木の門を見上げた。

 広いタイル道を跨いだ両柱をつなぐアーチ状の部分には、おそらく葉が中心の植物がモチーフであろう透かし彫が施されており、柱に絡まり咲き誇る七色の薔薇と、互いに美しさを引き立てあっている。素朴と華美、単色と豊色。どちらが欠けても成立しない相乗の美だ。

 しばし門を眺め、有世はうっかりしていた自分に気が付いた。

「ああ……お邪魔しますも言わないで入っちゃった」

 競争に夢中ですっかり忘れていた。そこそこの都会育ちの有世には、村に入るなど初めての経験だが、村も大きな括りでは「人様の家」だろう。

 有世は律儀に、一度門から出て、

「ごめんなさい。お邪魔します」

 一礼して、もう一度村に入り直した。

『きゅおきゅおーん』

 そんな有世に合わせ、ようこそー! ときゅるんぱが笑顔で歓迎してくれた。何だか嬉しくなる。

 さて、正式な入村許可も得た。有世はきゅるんぱに視線で伺って頷き返されると、すぐさま、ずっと気になっていた家々を見に向かった。

「やっぱり、不思議な家ばっかりだ。面白っ!」

 まず駆け寄ったのは、門近くの一角に建つ一軒家たち。先程見た時は遠くぼやけていたが、それぞれが個性的なのは屋根だけではなかった。

 葉っぱや花だけで器用に組まれたものもあれば、硬質なブリキの家もある。一見するだけでは材質が分からなかったり、さらには本来形を持たないはずの、渦巻く煙の家まで存在している。

 道の先には、続く広場を囲うように家があり、進むとその先にもまた広場、そして別の個性的な家が並んでいた。

 好奇心旺盛に村を歩けば、有世ははじめましての客であるにも関わらず、すれ違う動物たちが皆、馴染みの相手のように挨拶を送ってくれる。初めはきゅるんぱに対する挨拶かと思っていたが、途中で、視線からどうやら有世宛てであると気が付き、有世も一層明るく返し始めた。

 二つ目の広場を越えるまでは一軒家のような形の家ばかりと出会ったが、村の中心に近づけば、横長の小さなアパートを思わせる集合住宅のような家も現れ始めた。広く作られた共用であろうベランダには、様々な大きさの動物たちが仲睦まじくしている姿があるが、一階入り口のドアは大きな一つしかない。小さい者たちはどうやって入るのだろうか。

 疑問に感じた有世がしばらく眺めていると、なんと通る者のサイズに合わせ、ノブが移動し、開く部分の大きさも変化していることが分かった。有世が通って来たあの青い大扉と似た仕組みだ。

「便利で良いな。あれ」

『きゅん!』

 小型なきゅるんぱにとっても重宝な仕組みのようだ。

「そういや、きゅるんぱの家もこの村にあるの?」

『きゅん。きゅーえ、きゅあ』

「今はもっと下……じゃあ、前はここに住んでたんだ」

『きゅん』

「へー」

 きゅるんぱと話す間にも、通りかかる動物と視線が合ってはまた挨拶。みんなニコニコ楽しそうで優しい。

「おれ、今来たばかりなのに、この村もうずっと昔から、何年も居る場所みたいだ」

『きゅ……きゅん』

 きゅるんぱが曖昧に頷く。それに一瞬ぎくりと毛を膨らませたのは、初めに有世が名乗った時の反応と似ている。何か知っていそうだが、きゅるんぱを困らせないためにも、あまり聞かない方が良いだろう。

(……でもやっぱり、おれはここを良く知ってる気はする)

 そんなことを思いながら村を見渡す有世に、きゅるんぱが少し申し訳なさそうに声をかけた。

『きゅ……?』

「え? うん良いよ言わなくて。何か理由があるんだろ?」

 有世はニカっと笑うと、がしがしときゅるんぱの頭を撫でた。ここまでの道のりで、有世は完全にきゅるんぱに信頼を寄せている。困るのも、話さないのも、きっと有世のためなのだろう。

『きゅう、きゅるん……きゅえきゅえー』

 撫でられ、頭のくせ毛が良い感じに格好良く跳ねたきゅるんぱは、ぽつりと、話せないこともあるし、知らないこともある。そう言った。

「知らないこと、そりゃあるよな。おれだって自分の世界のこと、まだまだ全然知らないもん」

 ついでに、知っていても口にしたくないことだって山程ある。そのこと自体も口にしたくないため、そこまでは伝えなかった。

 有世は先にゆっくり歩き出し、あえてきゅるんぱを見ずに話した。

「気になることは聞くかもだけどさ、応えられることだけ教えてくれたら、それで十分だって。な」

『……きゅん!』

 ぱっと振り返った有世に、きゅるんぱが顔を上げ笑顔を見せる。やはり友達は、困らせるよりも無理なく笑っていてほしいものだ。

 その時、注意が疎かになった有世の足元に、突然何かが現れた。

「わ! ……っと」

 有世が危うく踏んでしまいそうだったそれを躱し、崩しかけたバランスも何とか耐え踏み止まると、きゅるんぱが慌てて駆け寄ってきた。

『きゅう!』

「うん。おれは大丈夫。それから――」

 少し驚いたように地面から頭を出していたのは、淡い緑のサングラスを付けた、どこか格好良いモグラさんだった。何故だか有世はモグラには「さん」を付けたい派である。

 有世はしゃがんで、きゅるんぱより一回り程大きいモグラさんと視線を揃えた。

「モグラさん? 不注意でごめんな。怪我してない?」

『ぐぅ。ぐもも?』

「うん。おれも無事だよ」

『ぐもっ!』

 お互いに無事を確認し一安心すると、モグラさんは有世の右足をポンポン、と叩き、足をずらすよう頼む。

 有世が言われたとおりに、しゃがんだまま左へ一歩動くと、足の下にあったのはひび割れたタイルだった。

『……もっ』

 モグラさんは、サングラスと揃いのグリーンのマニキュアが塗られた両手の爪を掛け、すぽりとタイルを引き抜くと、右腰のポーチに仕舞い、続けて左腰のポーチから新しいタイルを取り出し、空いた場所へ嵌め込んだ。

 同じように手の届く範囲のタイル交換を終えると、モグラさんはぺたぺた歩いて移動し、また必要な場所で作業を始める。新旧両のタイルは、とてもあのポーチに収まる量ではない。

「うわ、四次元ポーチだ……」

 また現実離れした面白いものを見てしまった。この興奮やら感動やらを誰かと――濁さず言えば卯月(うづき)と早く共有したい。

 ぼやっと浮かんだそんな思いに有世は、自分はただ経験を得るだけではなく、見たもの、聞いたものを伝えることが好きなのかもしれないと、自身の新たな面に気づく。自分の好きを把握できると、それだけで心地良いなんて。それを知れただけでも、ここに来られて良かったと思える。

(変だし謎だけど、悪い所じゃないもんなあ)

 そう一通り考え終えると、有世は新たに続きそうになる思考を区切り、虚ろへ行った視点を現実に帰した。

 ここまで歩いて来た時は気にならなかったが、注意を向ければ、意外と傷んだタイルが多い。せっせとタイルを交換するモグラさんの力になれるかとタイルに手を掛けた有世だったが、どう力を入れてもタイルはびくともしない。簡単そうに見える作業だが、熟練の専門職だったらしい。

「すごいな……モグラさんは、タイルを直すプロなんだね」

『もっ。ももー、もぐまー』

「え、『姐さん』……?」

『もっ!』

 言いなれない言葉だが、そう呼んでくれと言われては仕方がない。タイル担当モグラさん――改めモグ姐さんは、辺りで壊れ欠けたタイルを、まったり歩いては次々とテキパキ交換していく。

 その鮮やかな手際に、有世はついつい作業を見続け、気が付いた時にはモグ姐さんは近隣の作業を終えたようだった。

『ぐーももー!』

 次に行くらしく、モグ姐さんがクールに手を掲げる。有世がうんと頷くと、モグ姐さんは軽く跳ね、そのまま水に飛び込んだように地面へ潜ってしまった。

「え……潜った跡ない!」

 そもそも下は土ではなくタイルだ。跡も音もなく消えるとは驚くしかない。

 一瞬の後、有世が何故か引かれるように視線をずらせば、離れた場所で地面から飛び出すモグ姐さんの姿があった。歩きのゆっくりさからは想像がつかない、仰天の地中高速移動だ。

「うそ速っ! あれならちょっとの移動も、地中を行けば早いのに」

『きゅりー、きゅんお、きゅん』

「……そうだな。ずっと速いのも飽きるもんな」

 あの散歩を楽しむような低速の歩きと、仕事に役立つ高速の移動法の使い分けが、モグ姐さんにとって心地よいリズムということなのだろう。

 進む道は綺麗なタイルばかり。モグ姐さんはこちら側から作業を進めてきたようだ。有世はきゅるんぱに示されたまま、タイル道を辿って行く。

 タイルが途切れると、その先には木製の遊具などが置かれた土の広場があった。広場は閑散としており、確認できる姿は一つしかない。

 有世は聞いてもしょうがないと思いつつ、念のために確認をした。

「……ね、あの鹿が、きゅるんぱの言ってた仲間?」

『きゅん!』

「わあ……」

 どんな感想から入れば良いのか分からないが、きゅるんぱの仲間ならきっと良いヤツなのだろう。それでも有世からすると奇抜すぎる光景だ。広場の唯一の使用者である鹿は――二足歩行で竹馬に乗っていた。

 鹿は竹馬で、不規則に丸太が埋められたでこぼこ道を数歩進んではバランスを崩し、一度降りてはまた竹馬に乗ることを繰り返す。技術を磨くための練習中の様に見える。

『きゅーお!』

『ちょんが!』

 声を掛けられきゅるんぱに気が付いた鹿は、竹馬から降り手を掲げると、そのままの二足歩行でこちらへ歩いて来た。有世は、もしかして四足で来るかな……と思ったのだが、あの鹿にとっては二足が普通なのだろうか。

『きゅい、きゅーるきゅ』

 鹿は竹楽(たけらく)という名らしい。きゅるんぱに軽く紹介してもらい、それでもまだ少し、その姿に違和感を覚えたまま、有世も自己紹介する。

「ええ……っと、はじめまして。竹楽、だよね。おれは有世」

『がちょんっ!』

 またもや名乗っただけが、竹楽は目を大きく開いて固まってしまった。

「……なあきゅるんぱ。やっぱりおれ驚かれるんだけど、何で?」

『きゅるるる……』

「だよなー。言えないんだもんな。分かってる。仕方ない」

 有世は自分にも言い聞かせるように最後は呟き、立ち直ったらしい竹楽と向き直る。

「何でか分かんないけど、驚かせたのはごめん。でもおれ今、竹楽の力が必要みたいで……それで会いに来たんだ」

『ちょが?』

『きゅいきゅい』

 有世の説明だけでは伝わらず――そもそも有世自身、現状を良く分かっていないのだから仕方がない――きゅるんぱが竹楽に詳細を伝え始める。

 竹楽は時折相槌を打ち、きゅるんぱに一言二言何かを訊ねる。一連の説明を聞き終えると、竹楽は有世の目を真っ直ぐに見て、

『ちょんが、がっちょんがぁ!』

 きゅるんぱに負けず劣らず頼もしく、戦隊ヒーロー宜しく決めポーズまでつけ、任せろぉ! と叫んだ。

「おお、何を任せることになるのか分かんないけど、すげぇ頼もしい……よろしくな竹楽。ホントにありがとう」

『ちょん!』

 竹楽が爽やかに笑う。一人っ子で従兄もいない有世は、兄貴が居たらこんな感じなのかな、と、何故かもう見慣れた二足の鹿に対して思った。

 竹楽はさっそく準備を始めると言い、ずっと右手で握っていた竹馬を、近くの木製滑り台の壁に立てかける。そして後方、公園の片隅まで行き、蔦に覆われた引き戸の物置を開けると、

『ちょいちょー』

 どう考えてもそこには収まらないサイズの荷車を引き出した。両前足で荷車の持ち手を掴み、人力車のようにガラガラと運ぶ途中、竹楽は立てかけてあった竹馬を荷台に乗せる。

『ちょーいっ』

「あ、うん!」 

 竹楽に呼ばれた有世ときゅるんぱは、そこそこ幅を取る竹馬を避け、荷車に乗り込んだ。このまま運んでくれるそうだ。

『ちょが?』

「うん。準備バッチリ。お願いします!」

『ちょん!』

 長方形の荷台に手すりはないため、有世は右手で荷車の縁を、左手でなかなか重量のありそうな竹馬を握り、発進に備える。このまま竹楽は二足で走り出す――と思っていた有世だったが、竹楽はいつの間にか四つ足で構え、荷車を牽引するための洒落た装備を身に纏っていた。

『ちょんがっ!』 

「え……っ、お、わ、あ」

 竹楽は準備運動の様に後ろ足で二度、三度、ザッザッ……と砂を蹴ると、ゆっくりと走り出し、急激にスピードを上げていく。

「わあ!」

 びゅん! とトップスピードまで速度を上げた荷車で、有世は振り落とされないようにと、両手の力をさらに込め耐える。

「そうだ……きゅるんぱ」

 思い当って慌てて確認する。有世ですら飛ばされそうなのだから、より軽く小さいきゅるんぱなど、あっという間に吹き飛んでしまうだろう。そこまででなくとも、進行の勢いで後部の縁まで転がり張り付いているかもしれない。しかし、

『きゅ?』

「は?」

 きゅるんぱは何事もないように、荷台前方で景色を眺め、快適な様子でゆったり寛いでいた。どこから持ち込んだのか、優雅にティーカップでお茶までしながら。

「そのお茶いつの間に……いや、それよりこんなスピードで……あれ?」

 何から突っ込めば良いのか混乱する有世だったが、ふと違和感に気づいた。

 猛スピードで揺れも大きいこの荷車。普段なら酔いそうなものだが、今は全くそんなことはない。その上、あっという間に流れゆく景色も、車に乗っている時以上の速度のはずが、流れゆく一つ一つをはっきりくっきり認識できる。

 ちょっと確認、と有世は立ち上がってみる。足は荷台に吸い付くように安定している上、歩くのも楽々だ。全く振り落とされる気がしない。

「そっか、荷車も普通じゃないんだな……移動してるのに止まってるみたいだ」

『きゅん!』

 確認するように話しかければ、きゅるんぱもそうだろうと頷き、背もたれにしていたらしい縦長のティーポットを、その小さな手で軽々持ち上げた。

『きゅむぅー?』

「あ、いただきます」

『きゅ』

 きゅるんぱと揃いの星柄ティーカップに、優しい香りの温かい紅茶が注がれる。

「……美味しい」

 一口飲んで、安心の一息を吐く有世に、きゅるんぱは満足そうな顔をしている。こんな美味しい紅茶、二人だけで飲む訳にはいかないと、有世は自由だと分かった荷台の上を前方に向かい歩く。

「ねえ、竹楽も一服しない? 冷める前に一緒に飲も?」

『ちょ? ちょんが!』

「うん!」

 走り出したばかりで断られるかと思ったが、嬉しい誘いだ、と竹楽が一瞬振り返り笑ってくれる。荷車を停めても邪魔にならない所まで行ったら、一度三人でティータイムだ。

 道幅が広くなってきた。この辺りなら止まっても良さそうかな、と有世なりに考えていると、

『ああー!』

『ちょん!』

 道に沿った、まだ何も植えられていないような畑に居る何かに呼び止められ、竹楽が急停止した。それでもやはり荷台の上、身体も荷物も前に振られることはない。竹楽も全く負荷もなさそうに荷車を停めると、二足で先に少し進み、有世ときゅるんぱに手招きする。

「この荷車、楽なのに変な感じ……よっ、と」

 乗り心地の良さと、嚙み合わない認識の不安定さを覚えながら、先に茶器一式と跳ね出たきゅるんぱを追い、有世も荷台から降りた。

「あ……あれって鳥っぽい?」

『きゅん』

 竹楽の陰で見え辛いものの、何かがバサバサ羽を動かしているように見え、きゅるんぱに確認すると正解だったようだ。桃色なのは分かったが、一体どんな姿をしているのだろうか。

 畑の真ん中には耕されていない一本道があり、鳥と竹楽はそこを通って奥へと向かっている。見通しが良く逸れる心配はないが、かといって彼らをあまりに待たせる訳にもいかない。

「きゅるんぱ、それ持つよ」

『きゅう!』

 さりげなくきゅるんぱからティーポットを受け取り、有世は左右の景色を交互に見ながら、竹楽の後ろ、一本道を進んだ。

 広がる畑の側には、水やりに必要であろう澄んだ小ぶりの池や、大木をそのまま家にしてしまったようなツリーハウスが点在している。この辺りにも住人が多そうだ。

『ちょーん』

「あ、はーい!」

 景色に気を取られている隙に、竹楽は鳥と共に道から逸れ、畑の真ん中に立っていた。

「呼んでくれてありがと竹楽。それから、初めまして、有世ですっ」

『ほうっ!』

 もう不思議な生き物にも抵抗がなくなった有世は、ようやくはっきりと姿が分かった鳥と挨拶を交わした。名乗っても鳥は驚かず、楽し気に頷いただけだった。

 身体は桃色一色。鋭い眼つきに、頭には丸みのある三枚の飾り羽。豆型のような姿は明らかに立体なのに、何故か平面的に感じる奇妙な鳥だ。

『ちょんちょん』

「あっち? わっ!」

 竹楽に示され、有世が斜め後ろを向くと、そこにはたくさんの鳥が集っていた。大小や色の個性はあるが、皆、初めに出会った鳥と瓜二つだ。

 鳥たちは一見狂暴そうな見た目だが、ニコニコ仲良く土を耕し、キラキラした如雨露で水をやり、楽しい歌と踊りで畑に元気を届けている。

『あっあー……あっ!』

 全鳥がぴたりと静止し踊りが終わると、突然土が盛り上がる。そこから機嫌良さそうにすくすく伸びた茎は、木のように立派な、色艶美しいブロッコリーになった。

「おおっ、めちゃくちゃ美味そう!」

『あおっ!』

『ほおっ!』

『あ~っ!』

 有世が素直に感動して叫ぶと、鳥たちは嬉しそうに、それぞれ笑い声を上げた。

『ほっ、ほっ』

『きゅん!』

 褒めてもらえて嬉しい、と代表鳥が、ピクニックのような一角に一行を誘ってくれる。きゅるんぱが断らないなら寄っていっても大丈夫なのだろうと、有世も竹楽と共に、さらりとした生成りの布の上に座らせてもらった。

 景色も気候も最高だ。ティータイムには申し分ないと有世は竹楽の分の紅茶の準備を始めた。

「鳥さんも飲むかな……や、そんなにカップはないか」

『きゅるる』

『ほっほ』

 きゅるんぱが持っているカップは四つだけだったが、鳥たちはこのお茶は飲まないらしい。すると鳥は、自分たちの代わりに誘ったらどうかと、すぐ側の丘を示す。

「え、あそこに居るのって……」

 丘では、ついさっきまでタイルを直していたモグ姐さんが、サングラスを外して寝転がっていた。モグ姐さんは有世に気づくと、にっと笑って右手を振ってくれる。くりっとした瞳だが凛々しい顔だ。正に姐さんの風格だな、と思いながら、有世も大きく両手を振り返した。

「モグ姐さぁーん! お茶、一緒にどーお?」

『! ぐぅ!』

 行く! と言うや否や、モグ姐さんはサングラスをかけ、例の高速ですぐさま有世たちの輪の中へ。

『ぐーも!』

「わはっ、やっぱ速いな」

『ぐもっ』

 有世はきゅるんぱからカップを受け取ると、お茶を()ぎつつモグ姐さんに質問をした。

「今、潜るときにサングラスしたよね。それ日除けじゃなくて地中用なの?」

『も。ぐぐう、もーぐも』

 差し出されたカップを受け取り、モグ姐さんが肯定する。地下移動自体はとても得意だが、暗い場所ではサングラスがないと見辛いそうだ。

 地中でサングラス。矛盾した話のようだが、この場に有世の常識が通用しないのはとっくに理解している。有世は気にせず続けて尋ねた。

「じゃあ、モグ姐さんはお日様が好きなんだね。さっきも日光浴してるみたいだったし」

『もっ!』

 モグ姐さんが満面の笑みを見せる。心からの好きが生む、ピカリと美しい、爽やかな笑顔だ。見ているこちらまで嬉しくなる。

「……そっか、もしかしてそれで地下移動は高速なの? 早く地上でお日様浴びたくて」

『もぐもい!』

 モグ姐さんは正解! と明るく楽し気に答え、クールにお茶を一口。そして愉快そうに、好きと得意って、案外噛み合わないよね、と笑った。

 言葉も動作の一つ一つにも格好良さが滲む。近所にこんな姐さん、居て欲しいな、という言葉が出かかった有世だったが、気恥ずかしさが勝り、カップで顔を隠しながら紅茶を飲み、一人秘かにはにかんだ。

『あ、あー?』

「あっ、え、何? 鳥さん」

 ゆるんだ口元がばれないように有世が振り返ると、声をかけてきたのは鮮やかなオレンジの鳥だった。茹でたブロッコリーのおすそ分けに来たという。

 香り高い紅茶にブロッコリー。普段ならまずない取り合わせだが、有世は喜んで竹笊の上から湯気を上げる一房を摘まみ取った。

「ありがとう! おれ、ブロッコリー好きなんだ」

『ほうほう!』

 自慢の作物らしく、鳥がウキウキと有世の感想を待つ。じっと見られるのは少し恥ずかしいが、いただきます、と声をかけ、鮮やかな緑を口へ運ぶ。

「ん! 美味しい!」

『ほう!』

 ふわっと消える触感。食べたのに食べた気がしない、という矛盾した感覚はあるものの、味ははっきり分かる。ぱっと表情を明るくした有世の反応に、鳥も満足そうに羽をバサバサ動かし喜んだ。きゅるんぱと竹楽も笑い合い、有世に続いてブロッコリーを味わい始める。

『ぐーもも』

『あーあー』

 モグ姐さんは普段からよくおすそ分けを貰っているらしく、二房、三房、とどんどん食べ進め、鳥と共に、有世もいっぱい食べれば良いと勧めてくれる。

 見れば少し離れた場所で、やはり同じ顔だがまた別の一団の鳥たちが、ブロッコリー模様の大鍋でブロッコリーを茹でていた。その近くには、まだ茹でる前のブロッコリーが山のように積まれていて、さらに新しい一本が運ばれて来る所だ。本当に遠慮しなくても大丈夫そうだなと、有世は飲み終えた紅茶のカップに六房、ブロッコリーを貰い礼を言った。

 しかし草地にどん、と置かれたあの鍋で、どう加熱しているのか。有世が気になって近づけば、鍋の下、大地から直接吹き出すような炎があった。それは流動する虹色で、丸くふんわりとした、有世の知らない炎だ。確かに燃えていて近づけば温かさを感じるのに、周りの一切を燃やすことがない。

「鳥さんこれ、触っても平気?」

『あっあー』

 有世は近くに居た青い鳥に確認し、気になる炎に触れてみる。すると触れた部分が青白く光った。

「あ……鳥さんの色だ」

『ほーん、あんほー』

「え? おれの色……?」

『! きゅうっ!』

 鳥の言葉の先をもっと知りたい有世だったが、そこにきゅるんぱが急ぎ転がって来た。

「きゅるんぱ? わっ! 何なに!」

『きゅっ! きゅきゅりー、きゅえん、きゅお、きゅん!』

 きゅるんぱは有世の持つカップで炎を掬いたいらしく、早くブロッコリーを食べ切るように急かしてきた。きゅるんぱのカップも空いているのに、それでは駄目なのかと思いつつも、有世はリスのように左右の頬に三つずつ、ブロッコリーを詰め込んだ。

「ふゅむんは? ほへえいー?」

『きゅん!』

 見た目より広い口の中で器用にブロッコリーを嚙み進めながら、有世は空いたカップを炎に潜らせる。まだ大半が虹色の炎だが、掬えたのはその青の部分だけ。きゅるんぱはそれで満足そうだ。

 有世は飲み込む度霧のように消えていくブロッコリーをついに食べ切ると、ごちそうさまでしたとお辞儀をした。普段は両手を合わせるのだが、左手に青い炎が灯ったカップを持っていたため代替の礼だ。

『ほあっ』

『ぐもっ』

「そうだな。そろそろ行くみたい」

 有世の意識が先へ向かうのを見越していたように、竹楽が茶器を片付け、出発の準備を始めている。

「鳥さん、モグ姐さんも。ちょっとでも一緒に居れて楽しかったよ。元気、なかった訳じゃないんだけど、でも元気出た!」

『ぐう!』

 モグ姐さんが拳を突き出し、有世はそれに応えてグータッチ! 集まってきた鳥たちにも大きく「ありがとぉー!」と伝えると、有世は畑の一本道を何度も振り返っては手を振りながら、竹楽が停めた荷車へと引き返していった。


 再び走り出した竹楽の荷車。乗り心地にもすっかり慣れた有世は、竹楽に勧められたまま荷台の上で竹馬に乗り、爽快な風を受け、頭の上のきゅるんぱと一緒に遠くまでの景色を眺めていた。

 荷車は勢いも衰えず丘を登って行き、だんだん村の全体像が見えてくる。

「雰囲気は村だったけど、このサイズだと街って感じだな」

『きゅ』

 有世は通ってきた道、出会った動物たちを思い返しながら、進行方向、近づいてきた丘の頂上に目を向ける。

『ちょんがり~!』

 平らになった道の上、竹楽が荷車を青と銀の葉を茂らせた木の下に停めた。ここが正真正銘の目的地のようだ。

「着いたんだね。ここまで連れてきてくれてありがとう」

『ちょんがちょいっ!』

 竹楽は有世から竹馬を受け取ると、またそれに乗り歩き始めた。

 丘の上には霧深い大きな池が広がっていて、真ん中には一軒の家が、水の上にも関わらず建っているように見える。家に向かうためには、岸の杭と家の門を繋いだ長い灰色の木の吊り橋を渡ることになるのだろう。

 有世を先頭に、順に並んで橋に踏み出す。最後尾の竹楽が奏でるカッカッ……という竹馬のリズムに乗りながら鼻歌を歌い軽やかに進めば、真ん中を過ぎた辺りで霧が薄くなり、家の外観が見えてきた。

「……あれ?」

 初めは見間違いかと思った有世だったが、屋根が波打ち、壁に波紋が浮かんだことで確信に変わる。

「あの家、もしかしなくても水で出来てる!」

 有世は驚き、橋の残りを一気に駆け抜ける。そのまま門の先、柔らかな蔓が編まれた足場に立ち、外壁と呼べるであろう水壁に触れてみるが、壁は手を跳ね返し、その表面しか触ることができない。これはまるで、先程潜れなかった湖面と同じではないか。

「……じゃあ、おれ以外は通れるのかな。なあ、きゅるんぱ?」

 尋ねるときゅるんぱは頭を横に振り、有世と同じように両手で壁をぺちゃぺちゃ叩く。

『きゅ』

「あれ、湖とも違うのか」

 似て非なる二つの水面。しかし日常では出会えない存在であることは共通している。有世は形を持つ水の触り心地が気に入り、誘ってきたきゅるんぱ、竹楽と共に、しばらく何度も表面を軽く叩いた。ぷるりとした感触だけでなく、生まれる水音や波の動きも心地良い。

 そうこうしていると、通れないはずの水壁をすり抜けた何かの一部が、のぺりと現れた。

「わぁ! 何? 誰?」

『ぽ』

 鳴き声のような謎の音を放つと、何かはさらに、ずるずると全身を引き出していく。

『きゅっきゅー!』

『ぽう』

「あ、金魚だったんだ。結構大きいけど……」

 有世の感覚だと、金魚の身体はやや空気が抜けたバランスボールのサイズだ。

『ちょちょん、ちょーれ』

「ぽお(すけ)?」

『ちょん』

 きゅるんぱが挨拶を交わし、宙を泳ぐように浮かぶ金魚の頭に飛び乗り話す隣で、竹楽が有世に、彼が力を貸してくれる友人だと紹介してくれた。

 海がその身を形作ったかのような揺らめきを持つ青い金魚、ぽお助は有世の周りをぐるりと泳ぐと、改めて有世の正面に浮かんだ。

『ぽ、ぱぽー?』

「あ、うん。おれが有世」

『ぽっ!』

 有世の肯定に納得したらしく、ぽお助が嬉しそうに笑う。金魚の表情など正直良く分からないのだが、有世にはとても優しい笑顔に見えたのだ。

『きゅーーん! きゅぱ!』

『ぽっぽう!』

 すぐ出発だと言うきゅるんぱに、ぽお助が、家の裏手側を渡れば近いと返すが、示された方向に橋はない。

 広い池をどう渡ることになるのか、有世が期待と不安を織り交ぜ見つめていると、ぽお助が大きく息を吸う。

『ぱぷぉーーぅっ』

 ぽお助が両頬を膨らませ、笛とも法螺貝ともつかない音を奏でると、その音に呼応するように池が左右に割れ、入れ代わるように陸地がせり上がって来た。

「うわぁ! ぽお助、すっげぇ!」

『ぽぽっ』

 褒められたぽお助は、これくらい当然といった風に、自慢げかつ鷹揚に胸を張った。

 現れた大地は、木こそ少ないが、初めてきゅるんぱと出会った森とよく似ている。そして、今さっき水中から出てきたとは思えない乾き具合だ。

 水が引いた影響か霧も消え、行く先が明確に見えるようになった。元々陸であろう場所までの距離は、先程の吊り橋より短そうだが、その先はすぐ地平線だ。垂直移動をすることになるのだろうか。崖下りなら嫌だ。

 早速先頭を転がり出したきゅるんぱに続き、有世も歩き出す。と、隣を浮かんでいたぽお助が、ゆっくり地面に降りてしまった。

「あれ、ぽお助? もしかして陸を出しちゃったら飛べないの?」

『のぽん』

 ぽお助は首を横に振ると、自身の身体の倍程もある尾びれを優雅になびかせながら、二枚の胸鰭を上手く使い、跳ねるように大地を進み始める。ぽお助が跳ねる度、ふわりと心地良い自然の香りが舞い上がった。

『ぽ、ぽいぽーぷ、ぽお』

 ぽお助はこの匂いが嗅ぎたくて、そのために陸に降りたという。

「草と土の匂い……確かに良い匂いだよな」

『ぽっ』

 有世の同意に、ぽお助が一段と嬉しそうに跳ねた。しかしきゅるんぱの跳ねと比べると、どうもモッタリとした重さを感じる動作である。

「その動き、見た感じは大変そうな印象だけど平気?」

『ぽー。ぽお、ぽお』

 平気ではあるが、もっと上手く陸移動ができるように、まだまだ練習中らしい。

 有世はそんなぽお助から、視線を、目の前で転がるきゅるんぱ、変わらず竹馬移動の竹楽へと移していく。

「……ここのみんなって、何て言うか……挑戦的? なのかな」

『ぽ?』

「普通できないって思っちゃいそうな事とか、やらなくても良さそうな事やってるだろ? それぞれすごい特技持ってるのに、わざわざ」

 走れば速いし、軽やかに跳べば十分な移動ができるのに、転がったり、耳で羽ばたき飛ぼうとするきゅるんぱ。

 パワフルさも兼ね備えたスピードスターだが、本来とは違う立ち方で、一々不便な方法で移動しようとする竹楽。

 好きをより近く味わうため、一生行う必要のないはずの動きを選んだぽお助。

 また、三匹とは少し方向性が異なるが、得意を利用し、好きを目一杯楽しんでいたモグ姐さん。

 そんな彼らの姿や言葉に引かれるように、有世は、前に一度は押し込めた思いを、今度ははっきりと口に出した。

「おれもみんなみたいに、得意な事じゃなくて、やりたいこと、やってみても良いのかな。役に立てられる保証も……自信も、ないんだけどさ」

 話しているうちに弱気が勝り、最後は尻すぼみになってしまった。このままではきっと変わろうとしても変われない。有世はそう思い、先達の一匹に改めて問う。

「でも、きゅるんぱも、一生飛べなくても練習するんだもんな?」

『きゅん!』

 きゅるんぱがくるりと跳ね、力強く応えた。

「そうだよね、保証なんてないんだ。でもやりたいんだよな……好きだから」

『きゅおん!』

 まだ「やってやる!」と強く言い切れはしない。だけど、諦めるなんて到底不可能だ。

 きっと何度も怖くなるのだろう。逃げて、休んで、それでも絶対にまた、今日の思いに帰って来る。どれほどの変化に吞まれても、今秘める好きを、宝を、捨てることはできないと、それだけは確信しているから。

 一生、長い道のりを、正も負も、どちらも抱えて歩き続けて、辿り着く場所は望み通りとはいかないかもしれない。それでも、選べるのは自身だけだ。

「きゅるんぱが飛べるのと、おれがやりたいこと、ちゃーんとできるようになるのとは……どっちが先かなあ」

『きゅーえ。きゅる、きゅーん!』

『ぱぽっ、ぽーっ!』

 絶対に自分が先! と宣言するきゅるんぱに、自分がさらに先だとぽお助が参戦する。竹楽はあくまでもマイペースらしく、一旦竹馬から降りると、励ますように有世の背をぽんと叩いた。

『ちょちょんが、ちょんがりー』

 君だけのペースで、進めば良いのさ。

 竹楽がまた、兄貴の笑顔を見せた。

「……うん」

 竹楽に笑い返し、三歩目、足に伝わる感触が変わる。

『ぽっぽん!』

 全員が池だった部分を渡り終えたことを確認し、ぽお助が池を呼び戻す。風呂の湯沸かしのように左右から水が流れ、歩いて来た道は、静かに沈み帰り始めた。

 来た道には二度と帰れない。だけど、その道を歩いた事実は、永遠に刻まれる。有世は沈みゆく道を最後まで見送ることなく、一度微笑み、背を向け、歩き出した。


『きゅりりりっ!』

「おっ、やった! 垂直じゃないじゃん」

 地平線に思えたそこは、着いてみれば草の茂った斜面だった。

 きゅるんぱの提案で、有世と三匹はそれぞれ近くを探索し、気に入りの大きな葉を調達する。

『きゅー……い?』

 選び終えた全員は幅をとって横一列に並ぶと、選んだ葉に乗って瞬間に備え、

『きゅんっ!』

 きゅるんぱの号令で一斉に滑り出した。

「やほぅ!」

 天然の巨大滑り台を爽快に下っていく。四選手とも着かず離れず、良いレースになりそうだ。

 鳥に「君の色だ」と言われた青のハート形の葉を選んだ有世はやや出遅れたが、どんどん加速していき、深緑の葉に包まり転がる桜餅のようなきゅるんぱを追い越す。

『ぎゅえっ』

「お先っ!」

 悔しそうなきゅるんぱの声を過ぎ、次に近づくのは竹馬を背負った竹楽。葉は四角く、橙と青緑の迷彩マーブルだ。

 竹楽は有世がぶつからないようにと、慣れた風に竹馬を傾け舵を切ると、自ら減速し距離をとる。

『ちょっちょー』

「はあーい!」

 背中から、はしゃぎ過ぎるなよ~、と声をかける竹楽に大きく返し、それでも有世の視線は前を向き続ける。抜くのは後一選手だ。

『ぽーぉ』

 スタートダッシュで生まれた差をどんどん詰めて来る有世に、ぽお助が楽しそうに、にやりと笑った。

 淡く地面を透かす銀の葉に追いつくのはもうすぐだ。有世は姿勢を低くし、風の抵抗を減らそうと試みる。

「おわっ」

 坂の凹凸、小さな上り坂に見事にはまり、勢いのまま有世の葉が空へと飛び出す。

『きゅあーん!』

『ちょちょいー』

 きゅるんぱの羨む声がする。着地を気遣う竹楽の優しさも届く。

『ぱぷん、ぽぽ?』

 ぽお助に、見えるか? と聞かれ、有世は一拍遅れて理解する。飛んだおかげで一足お先に確認だ。

「見えた! あの潜れない湖!」

 急斜面の終わりは近い。その先緩やかな坂を越え、初めに湖に辿り着くのは誰だろうか。

 有世はぽお助の斜め後ろに綺麗に着地すると、後ろから迫る二つの気配に、もう一度、加速の態勢に入った。


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