貴方の命
幼少期の頃からパニック障害障害を持っている守その初恋の相手である栞と話す機会をもらった守だったが…?
「な、え…」
俺は驚きに困惑と様々な感情が脳内に駆け巡るそんな俺見て栞さんは少し笑顔零しながら言葉を紡ぐ
「ふふ、急に色んなことを言って驚いてしまいましたよね。ごめんなさい」
「いや、僕の方こそすいません正直びっくりしちゃって」
色々と情報が駆け巡って驚いてしまったが一先ず俺が一番気になる事を聞こう
「栞さん答えずらかったら答えなくて構いません。その上で質問します、栞さんはさっきいつこの世を去るか分からないって言ってましたよねそれはやはり病気のせいなんですか?」
俺がそう質問すると栞さんは少し顔つきが暗くなる
「…はいその通りです。私は心臓に病気を抱えています。私の心臓はもういつ止まってもおかしくないんです。病気も国内の難病に指定されています」
「その心臓病は治らないですか…?」
「治らないという訳ではありません。でも今まで数多くの手術をしてきたこの心臓はもうボロボロなんです。先日の手術も心臓がボロボロになって来てしまったのが原因で手術をすることになりました。私の心臓は手術をすればするほどボロボロになっていきます。でもボロボロになって行くほど心臓は弱まり手術をしなくてはならなくなるんです」
彼女は自身の胸、心臓の辺りに手を置いて寂しそうな顔をしてそんな辛い現実を俺に伝える
「そんな…」
俺は彼女の口から発せられたそんな辛い現実を聞いて言葉が出ずにいた。一体俺は彼女に何を言えばいいのだろうか、彼女は今も昔もずっと苦しんで来ているそんな彼女に俺は一体何を言えば…
「守くん貴方はさっき私が初恋の人だと言いましたね。だから私に声をかけてお話がしたいと申し出た…守くんありがとうございます」
「え?」
俺は彼女に急にお礼を言われ思わず素っ頓狂な声を出す
「なんでお礼なんて…」
「ごめんなさい急にありがとうなんて言ったら驚いきますよね。私さっきから守くんを驚かせてばかりですね」
そう笑顔を零しながらそんな事を言う彼女その笑顔はまるでこの世の全てを愛で包む女神のようで俺はつい魅入ってしまった
「私はさっき言った通りこの難病とずっと戦っています。それも幼い頃からずっと、きっとこの病院の患者さんの中でもかなり入院生活長い方だと思います。だからですかね私は友人と言える友人がいないんです。友人に限りなく近い人…強いて言うなら青山先生などの先生や担当医の先生ですそれでも同年代の友達なんて今はいません、だからですかね守くん貴方が私とお話がしたいって言ってくれた時に疑いの念と一緒に嬉しさが込み上げて来たんです。どんな理由があれどもしかしたらお友達が出来るかもってそう思ったんです。まあ急に初恋の人だなんて言われて正直凄く驚きましたけどね」
「それは…すいません」
そりゃそうだ急に話しかけられて貴方が初恋の人ですだなんて言ったら誰でも驚くというか引かれる
「でも守くんの真っ直ぐな目を見て少しならお話してもいいかなって思ったんです。そしてその思いは正しかった」
「え?」
「だって私今すっごく楽しいんです。こうして同年代の人とお話をすることが本当に」
俺は正直病室から追い出される覚悟を持っていた。だって栞さんからすれば初対面の異性が急に話しかけてきたんだそんなの興味より恐怖の方が勝つに決まっている。それでも栞さんは俺の事を信じてましてやお礼まで言ってくれた。俺はそれがとてつもなく嬉しかった
「…お礼を言うのは僕の方ですよ、急に話しかけてその後には告白紛いのことまでしてそんな事をした僕を受け入れてくれた。僕も本当に嬉しいです」
俺がそういうと彼女は嬉しそうな顔をした、だがすぐに悲しげで何処か寂しそうな顔に戻る
「守くん貴方とお話が出来て今私は凄く楽しいです。でも私とはこれ以上もう関わらない方がいい」
急にそんな事を言われて俺はまた驚愕する。思考が回りにくい頭が真っ白になるとはきっとこういうことを言うのだろう
「なっなんで!?どうして!」
「さっきも言った通り私はもういついなくなるか分からないんです。それは明日かもしれないし1ヶ月かもしれない、私と仲良くなればなるほど守くん貴方はきっと残された者の1人として心に大きな傷を負う。私はそれが嫌なんです私の友達が欲しいという自己中心的な考えで誰かが傷つくのは嫌なんです」
俺はそんな彼女の言葉を聞いて真っ先に思ったことは彼女の心がとてつもなく綺麗だということだった。今まで寂しい思いをしてきたのに自分以外が傷つくのが嫌だから寂しい思いをするのは自分だけでいいそんな考えを持つ彼女の心に俺は思わず魅入ってしまった。だからこそ俺は言葉を口にする
「嫌です」
「え…?」
「僕が傷つくのが嫌だから僕と関わりを持つのが嫌だなんてそれだけが理由なら僕は貴方になんと言われようが貴方と関わりを持ちます。貴方に心の底から嫌われるまで僕は貴方に会いに来ます。僕はずっと貴方に恋焦がれて来たんですそのくらいさせてください。」
そう言葉を告げた後彼女は寂しげな表情から何処か嬉しそうな顔つきへと変わっていた
「いいんですか?本当に私とお友達になってくれるんですか?また会いに来てくれるんですか?」
「それはこちらが聞くことです。栞さん僕と友達になってくれますか?これからも逢いに来てもいいですか?」
俺がそういうと彼女は少し涙ぐみながら言葉を紡ぐ
「はい!守くんさえ良ければまた私に会いに来てください!」
彼女は涙を拭きながらとびきりの笑顔を俺に向けながらそう言ってくれた。その笑顔は俺が今まで見てきたもので最も美しいと思うものだった。
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「てな事が昨日あった訳だ」
「守にしては中々思い切った行動に出たね」
「本当にねーあんたワンチャン警察呼ばれてたわよ」
そう言うのは秀と葵、俺は今昨日あったことをそれなりに細かく2人に話した。プライバシーがあるので念の為栞さんの病気のことは話してはいないが
「ま、結果良ければなんとやらだ今日も会いに行く約束をつけれたし、また栞さんに会いに行けるだけで俺は満足だよ」
「流石初恋をここまで拗らせただけはあるわね。なんというか幸せオーラが凄い…いっそ眩しいくらいだわ」
そう目を眩しそうに目を細めてそんな事を言う葵
「もしかしてこれから僕は守の惚気話を聞かされる事になるのかな?嫌だな」
「惚気話に関してはお前らが永遠としているだろうが、俺は正直そんな話はお前らにはしねえよ」
このバカップルにそんな事を言われるのは本当に心外である
「惚気話はしなくてもいいけど進展があったら言ってね!約束よ!」
「わーってるよ全く都合がいい奴らだな」
「いいじゃない他人の恋愛事情程面白い話はないんだから」
「ほんといい性格してるぜ…」
「因みに告白はいつするんだい?」
そうニヤニヤしながら聞いてくる秀
「あー!それ私も聞こうと思ってた!ねえ、いつするの?」
2人してニヤニヤしながらそんな事を聞いている。こいつら完全に楽しんでるな…
「流石にすぐにはしねえよ…でもいつかはちゃんとしたいとは思ってる」
「そのことに関してもちゃんと報告してよ!いい?」
「わーってるよ」
そんな他愛もない話を続ける俺達、勿論今日も学校が終わり次第栞さんに会いに行く予定だ学校よ早く終わってくれ
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俺が病院に足蹴なく通って3ヶ月程度が経ち冬の寒さが肌を刺す。天気の善し悪しも関係なく病院へ行ける日はほとんど毎日通って栞さんと多くの時間を過ごした。俺にとっては本当に毎日が楽しかった。何気ない会話で小鳥が鳴くように沢山の笑顔と笑いを見せてくれる彼女に俺は以前に増して恋心を強くそして多く募らせて行った
そんな他愛もないある日のこといつものように彼女の病室で話ていた時だった
「ねえ守くん1つ聞いてもいいですか?」
「勿論大丈夫だよ、何?」
「守くんには将来の夢はありますか?」
「将来の夢?」
「はい、守くんは博識ですし学校での成績もいいと聞きます。成績を保つにはきちんとした勉強を毎日しなければなりませんよね?そんな努力をしているであろう守くんには将来の夢はあるのかなって」
「将来の夢か…正直に言えばかな」
「そうなんですか?少し以外です。てっきりあるのかと」
「俺が勉強を多少なりとも頑張っているのは知識はいくらあっても困らないから勉強をしているんだ。勉強の中では栞さんと話す内容になり得る話の種になる物もあるしね」
「ふふ、やっぱり守くんは優しくて真面目な人ですねこの数ヶ月でそれがとてもよく分かります」
「そうかな…そうしっかり言われると正直嬉しいけど少し恥ずかしいよ」
好きな人に褒められるのがここまで嬉しいとは知らなかった今まで勉強を頑張って来たのは今日褒められる為だったのかしれない
「恥ずかしいがることはありませんよそれは守くんが頑張ってきた努力の成果なんですからもっと胸を張っていいと思います!」
「そう言われると嬉しいよありがとう夢と言えば栞さんは何か夢はないんですか?」
「私はいつか学校にきちんと通いたいです出来れば守くん一緒に授業を受けたいです。きっと毎日が楽しいんだろうなってずっと想像しています」
「…僕も栞さんと一緒に授業を受けたいないつかきっと叶えましょうね」
「はい!いつか夢をを現実にsゲホ、ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...」
話の途中で彼女は急に咳き込み始める
「栞さん!?大丈夫ですか!?」
俺はそう言いながら彼女の背中をさする。俺が足蹴なく病院に通っている時、以前にもこのように咳き込むことが何回かあったいつもすぐに咳が治まるので今回もすぐに治まるだろうとそう俺は思っていた
「ガハ!」
突如彼女は口から真っ赤な鮮血を吐き出す
「なっ」
俺は突然の出来事に一瞬固まるがすぐさまナースコールを押した
「栞さん大丈夫ですか!?もうすぐ先生が来ますから!しっかりして下さい!」
「ハア…ハア…守…くん…」
「栞さんどうしましたか!?栞さん大丈夫ですか?」
そう俺が叫んでいると
「ごめんなさい!どいてください!」
数人のナースと栞さんの担当の先生が駆け寄る。
「栞さん大丈夫ですかー?!意識はありますか?!」
俺は栞さんのベットから少し離れ先生達の処置を見守る
「すぐに手術の準備を!緊急手術をします!」
そう先生が叫び栞さんは運ばれていく、俺は迷わず後を追って行く
「患者さんが通ります!すいません道を開けて下さい!」
ナースと先生の叫び声が木霊する。栞さんがそのまま手術室へと入っていくのだった
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あれからどれだけの時間が経っただろう俺は手術室の前でずっと手術が終わるのを待っていた
(お願いします。どうか彼女を助けてください)
俺はそう願う事しか出来なかった。無力だ、俺は本当に無力だ
「クソっ」
俯きながら自分の無力さにうち火がれる。そんな中いくつかの足音が走って聞こえた
「守くん…」
そう言うのは栞さんの父親、浅見和也さんだ。
「和也さん…」
「守くん栞の容態は…?」
そう聞いてくるのは母親の浅見美波さんだ
「正直なんとも…いつも通り僕と話している時に突然咳き込んでそのまま吐血して今は見ての通り手術中です」
「そう…」
「守くん君が先生達を呼んでくれたそうだね、ありがとう」
そう俺にお礼を言ってくる和也さん
「そんなお礼なんて…僕も正直いっぱいいっぱいで、逆に先生を呼ぶ事しか出来なかった…」
「しょうがないわ医学を学んでいる訳でもない私たちが出来ることは限りなく少ないもの」
「勿論分かっていますが…それでも」
俺がそう言い終わるのと同時に手術室が開く
「「栞!」」
「栞さん!」
そう3人で叫びながら栞さんに駆け寄る
「先生栞の容態は!?」
そう美波さんが聞く
「…正直かなり厳しい状態です最善は尽くしましたが意識が戻るかどうかは彼女次第です。容態が変化する可能生もあるのでしばらくは集中治療室に彼女を受け入れさせて頂きます」
「そうですか…わかりましたありがとうございます」
「正直今回の手術の途中で命を落としてもおかしくないなかった。手術が終わるの最後まで頑張った彼女に会ってあげて下さい」
そう先生は笑顔で告げる
「はい…!ありがとうございます」
涙ぐみながら栞さんの後を追う美波さん
「守くんはどうする、私達はしばらく栞の傍にいるつもりだが…」
「お2人がいいのであれば僕も栞さんの元へ行かせて下さい」
「そうか、そう言ってくれて嬉しいよきっと栞も喜ぶ」
そう笑顔を見せる和也さん。だがその表情は何処か曇っている、当然だ実の娘が生死をさまよっているのだから
「さあ、私達も行こう」
「はい」
そう俺は返事をして栞の元へと向かった
今回もご愛読頂き誠にありがとうございます。
物語も中盤に差し掛かって参りました。
これからもよろしくお願い致します。