病院での再会
「また遊ぼうね!」
ピリリ、ピリリ
窓から差し込む朝日と共にアラームが鳴るスマホを見て俺は起床した。
「6:30か…起きるか」
そういうと共に俺はベットから起きてリビングへ向かう。
「久しぶりに見たなあの夢」
そう呟くとともに朝食の準備をする今日見たあの夢は幼少期の思い出、俺の初恋の人の夢だ初恋の人といえば聞こえはいいが数回しかあったことがないしもう顔も覚えていない覚えているのはきれいなストレートの長髪に幼少期の彼女の声だけだ。
でも、あの人のことを思い出すたびにもう一度会いたいと強く思ってしまう。俺はいまだに初恋の子に恋をしている。
そんなことを考えながら朝食が完成する。今日の朝食は昨日の夕飯の時に作ったみそ汁の残りとソーセージと目玉焼きだ。うんすごく日本人らしい朝食だ。
「いただきます。」
*********
朝食を食べ終え学校の準備を終わらせた俺は学校へと向かう。残暑が残る8月俺は暑いと思いながら通学路を歩く。
言い忘れていたが俺の名前は水溜守どこにでもいる高校一年生だ好きなことは料理とケーキ屋さん巡り最近の一押しは駅の南口から歩いて5分のケーキ屋さんだ!とそんなことを考えていたら教室につく。
教室の扉を開けると
「や、おはよ守」
「ああおはよう秀」
こいつの名前は高峰秀俺の中学のころからの親友だ。身長はそこそこ高くて顔も結構いい。
「どうだった?今日も愛しの初恋の人は見つかったかい?」
「うるせー見つかってねーよ。というか愛しのとかいうなきもいぞ」
「酷いなー僕はただ君が幼少のころから相焦がれている女の子のことを聞いただけなのに。未だに未練たらたらなんだろ?病院で会ったっていう女の子に」
「…まあなしょうがないだろ何年たってもまた会いたいと思っちまうんだから」
「一途なことはいいことだけどさそろそろ一度くらい彼女作ってもいいんじゃないの?守は優しいし料理も上手い顔だってイケメンかどうか言われたらわからないけどわるくはないんだし」
「褒めてるのかそれ?…まあ確かに彼女を作ったって罰は当たらねえだろうけどよ俺は人生の中であの子以外のことを好きになったことがないんだ。好きじゃないのに付き合うのは相手に失礼だろ」
「そういうところは真面目なんだよねー守は、でも彼女がいるのはいいことだよ?」
秀と俺がそんな他愛のない話をしていると
「秀くーん!」
俺と朱が話してるときに突如響く一つの声その正体は
「おはよう!秀くん。あ、守もおはよー」
「ついでかよまあいいけど」
この元気な奴は峰岸葵秀の彼女だ。少し小柄で髪の毛はショートボブ胸はそこそこの大きさ。
「ねー2人で何話してたのー?」
「守の初恋の話さ」
「ああ、あの病院で会ったっていう年上の女の子?一体何年前の恋を引きずってるのよ」
「うるせーな引きずってはねえよただまた会いたいってだけだ」
「それを引きずってるっていうのよ」
「シャラップ峰岸」
「まあまあ喧嘩しないで、そういえば守病院と言ったら今も通院してるんだろ?」
「ああ、そう簡単に治る病気でもないからなしょうがない」
「大変だよねー、なんだっけパニック障害?だっけ」
「ああ今は病状が落ち着いてるから病院も月一程度だけどな」
またもや言ってなかったが俺は子供のころからパニック障害を患っている。
パニック障害というのは簡単に言えば強いストレスや焦りを感じると動悸が激しくなったり息が切れたり最悪の場合か呼吸気味になるようなそんな病気だ。
「それでも月に一回病院に行くのが確定しているのは嫌だなー病院好きじゃないもん」
「病院が好きな奴なんていないだろ。俺だって好きで行ってるわけじゃないし」
「それはそうだけどさ、でもさもしかしたら今日こそ会えるかもよ?愛しのあの子に」
ニシシwと笑い子馬鹿にするように言う葵
「何回病院に通ってると思ってんだ未だに会えてねえんだから会える確率はほぼねえよ」
「まあまあ会えたら最高って話じゃないか少しでも希望を持とうよ」
「希望…ねえ…」
そういうと同時にキーンコーンカーンコーンとなる呼び鈴
「ちぇーもう時間かー。また後でね秀くん」
「ああ、また後で」
じゃーねーと言いながら去っていく峰岸そして少し寂しそうな顔をする秀。
(このイチャイチャバカップルが…)
と思うが口には出さないでおく。
会えたらいいな…かそれは勿論俺だって会いたいずっとこの思いを抱き続けているあの人に。
*******
キーンコーンカーンコーン
「ふーようやく昼休みになったね」
「ああ、本当に毎日長い長い授業ばかりだ」
「そういいつつも君はテストの点はいいんだよねー」
「いいって言ったって上位30位に入るくらいだぞ?ちゃんとテスト勉強すれば誰でもいけるだろ」
「まー僕はいけるかもしれないけど…葵は厳しい気がするけどね…ハハハ」
と乾いた笑みをこぼす秀
「お前は確かこの前70位にいかないくらいで葵は200位くらいだったか」
うちの高校の一年は大体250人程度俺の順位はちゃんと勉強すればとれるくらいの順位だ秀だって頭が悪いわけじゃないし授業を聞いていないわけでもないただあまり真面目に勉強しないだけだ。葵に関しては別クラスなので細かいことはわからないが恐らく授業も寝て勉強もしていないのだろう。
とそんなことを考えていると
「秀くーん!お弁当食べよ!」
と勢いよく教室に入ってきて秀の隣に座る峰岸
「葵今日もお弁当ありがとうでも本当に毎日作らなくていいんだよ?大変でしょ?」
「んー?そこまで大変じゃないよ夜のうちにおかずの準備して朝に詰めるだけだし。大丈夫大丈夫!」
「ならいいだけど…」
「それよりも今日のお弁当はどうかな?美味しい?」
そう聞く葵に応えるように秀はお弁当のおかずのソーセージを食べる。
「うん、今日も最高においしいよ葵ありがとう」
「えへへ~よかった~」
そんな2人を横目に俺も自分のお弁当を取り出す
「守も自分で作ってるの偉いよねー」
「料理は嫌いじゃないからなそれに弁当にしたほうが食費が安く済む」
「守も料理上手だよねー私より上手い気がする」
「それはどうだろうな、正直なところ否定も肯定も出来ない」
「僕は葵の作った料理が一番好きだけどね」
「もー秀くんてばー♡大好きー!」
と秀に抱き着く峰岸
「イチャイチャするなら他所に行け」
本当にこの2人のイチャイチャを見るけで甘党の俺でも胸焼けしそうだ。
「イチャイチャと言えば守は初恋の人以外に好きになったことがある人とかいないの?」
「朝にも同じようなことを言った気がするがないな、うん初恋以外に異性を好きになったことがない」
「ふむ…異性がないなら同姓ならあるってこと?うんうん今時普通だよね」
「違うわアホ勝手に解釈をするな俺はあの日以来恋をしたことがないだけだ」
「それはそれで凄いな」
と黙々と弁当を食べていた秀が口を開く
「初恋を覚えていても何処かで恋はするものだと思うけど」
「恋をしてこなかったのは病気の影響もあるな今まで自分のことしか考えられてこなかったからな」
「そっかー守は病気のこともあるもんね」
「あんまり病気のせいにするのはよくないとは思うけど昔は症状がきつかったからな」
「中学の頃もそれなりに休んでたもんね守は」
秀は中学のころからの付き合いだだからこそ中学のころの俺の体調も知っている。
俺がパニック障害を発症したのは幼稚園児の頃だ幼稚園児の頃は毎日が入院生活だった。退院をしたのは小学生に上がる少し前だった。退院して小学校に上がっても毎日学校に通えるような健康体ではなく月単位で学校を休むことだって少なくなかった。
小学校に入っても登校日よりも休む日のほうが多かったから友達なんていなかった。
中学に入ってからはそこまで学校を休まなくなったがそれでも度々休んでいた。そんな中出来た唯一の親友それが秀だ。
中学のころは度々休んでいたからかクラスのグループから省かれることも少なくなかった。そんな中分け隔てなく接してくれたのが秀だった。言葉には出さないが秀にはすごく感謝をしている。
「話してたらもうすぐ昼休みも終わるな」
「もー本当に授業は長いのに休み時間は短いんだからじゃあね秀くんに守」
「うーい」
「じゃあね葵今日も一緒に帰ろうね」
「うん!帰る!」
さて、午後の授業も乗り切るか
*******
「じゃあ今日はここまで気をつけて帰れよー」
担任の先生がそう言うとクラスメイトは皆部活に行ったり帰宅をしたりはたまたカラオケに行く予定を立てていたりする。
「さて、俺も行くか」
そう言って俺が学校から出て向かったのはいつも通っている病院。もうずっと通っている病院だ。
この病院だ、俺の初恋の人とは小さいころにこの病院で出会った。本当に小さい頃だ幼少の頃それこそ幼稚園児くらいの時だ。あの頃はパニック障害の症状が酷くて入院の日々だった。そんな辛い毎日を過ごしている日々に出会った年上の女の子。
入院している身で病室から出れる日は多くなかったがそれでも元気な日は彼女に会いに行っていた。遊んでいるときは本当に楽しかったことを覚えている。覚えているが肝心な顔を思い出せない。おかしいだろバグってるのかこの脳みそ。
病院に入りいつも通りに受付を済ませいつもの様に診断を受けに行く
「水溜くんこんにちは、まだまだ暑いけれどここ一か月で症状に変わりはあるかい?」
そう聞いてくるのは青山涼音先生俺の担当医だ。美人女医という言葉が似合う先生丁寧な言葉遣いで安心感を与えてくれる。胸はでかいうん、でかい。
「特に変わりはありません。発作もないですし以前のような息切れもありません。ですが少し胸のあたりが苦しくなる時がありますね。」
「病状に大きな変わりはないが胸が少し苦しくなる時がある、と成程ね」
そういいながらパソコンにデータを打ち処方されている薬とにらめっこする先生
「苦しくなる時というのは何か決まった予備動作はある?例えば強いストレスを感じるとか」
「予備動作という予備動作かは分かりませんが疲れているときに突発的には苦しくなる時があります」
「ふむふむ成程ね分かったわありがとう。あとは何かここ一か月で変わったことや私に伝えておきたいことはあるかしら?」
「いいえ。特にはありませんいつも通りの日常を歩んでいますよ」
「いつも通りにねーいつも通りということは今日も初恋の女の子を探しているのかしら?」
とニヤニヤしながら聞いてくる先生。
「先生もそれを聞くんですか…探してますよずっと」
「一途なことはいいことだからその思いは大切にね。あ、もしもその初恋の人に会ったら絶対教えてね!若い子の恋バナほど面白い話はないから!」
「出会ったらですけどね」
「うふふそうねでもその会いたいって気持ちがあれば会えると思うわよ。気持ちというのはとても大きな力を持っているから、とあまり長話をしてもよくないわね伝えたいことがないのなら今日の診断はここまでにするけど大丈夫かしら?」
「はい、大丈夫です」
「わかったわ、それじゃあお大事にねまた一か月後に」
「はい、ありがとうございました」
そういって俺は扉を開ける。その時だった。
俺の前を通る一人の女の子歳は一緒若しくは少し上くらいであろうかきれいな長髪に整っている顔、胸は結構大きい。身長は普通の女の子だ。そして病服を着ている
「あのっ!」
俺は考えるよりも早く言葉を発した
「はい?私ですよね?何でしょうか?」
「いや、えっと、その」
急なことが重なり鼓動が早くなるパニック障害の発作の初期症状が出る。
(落ち着け…深呼吸だ)
スーハーと、一度深呼吸を挟む俺
「あのー…大丈夫ですか?」
と目の前の女の子に心配される俺
「ご、ごめんなさい。大丈夫です。えっとそれよりも俺水溜守って言います前に何処かで会ったことありませんか!?」
少し息を切らしながらもそう質問する俺に彼女は少し困った顔で答える
「ごめんなさい。私最近の記憶はあるのだけど少し前からの記憶がなくて…以前あったことがあるのかもしれないけれど今の私はその時の記憶はないの…ごめんなさい」
「記憶が…ない」
「そうちょっと前にいろいろあったらしくてね。だからごめんなさいあなたとの記憶はないの」
「あの、ならお名前を聞いてもいいですか?!」
「それくらいのことなら覚えていますしいいですよ、私の名前は浅見栞」
「あの、栞さん今度何時でもいいです。また僕と会ってお話ししてくれませんか?!」
「それは構わないですけど大丈夫ですか?大分息が上がっているみたいですけど」
興奮しすぎたせいか呼吸が荒い少しずつ症状が悪化している。これは…少し不味いかもしれない。
「ちょっと!?本当に大丈夫ですか?!」
そういう彼女の言葉を聞きながらも俺の症状はどんどん悪化していく
「ちょっと誰か!先生!」
彼女のその言葉を最後に俺の意識は暗転した。
始めまして白露ハクといいます。
この度は作品を拝読していただき誠にありがとうございます。
この作品が処女作となります。今作はラブコメとなります。
まだまだ続きますのでどうかゆっくりとお読みください。