予告シーン
太陽が真上に上がり、木々が影を落とし、薄暗い蒸し暑い熱帯雨林の森の中、少女は地面を蹴るように力強く走る。
少女は麻でできた白地のワンピースを着ている。
しかし、そのワンピースは少女の右肩から流れる血で、赤の斑ら模様が加わっている。
少女の後ろからは、首がない代わりに鎌が生えた馬のような形の白いプラスチックロボット、ホースが追いかけてくる。
ホースは、その白い刃を振り回し、周りの邪魔な植物を切りながら、少女を追いかける。
少女が目指す先にあるのは、海に切り立った崖である。
崖の先まで少女は勢いを殺さず走り続け、崖の先が前に迫ると少女は思いっきり地面を蹴り、海に向かって飛び込む。
その後を、ホースも、追いかけるが、その先は崖である。
少女だけを認識し、邪魔な障害である木や草を切り開いてきたホースとって、何もないは障害がない。
そう認識していたが、足元がないは障害の一つであると認識した時には時すでに遅し、ホースは水中に落ちていた。
鎌を振り回すところに水が入り、煙が上がる。
鎌がショートして止まる。
これ以上のショートを防ぐために、ホースは鎌を外した。
プラスチックロボットは水によるショートを避けるため、水ではないところに戻るようにプログラムされている。
そのため、センサーで登れる場所を見つけ、登ろうとした時だった。
ホースの前足が外れた。
前足の付け根から解けたのだ。
付け根には、先に海に飛び込んだ少女がいた。
ホースは前のカメラでしかものを認識できない。
少女は今カメラの真下、ホースの足の間にいる。
そのため今の少女の姿は見えない。
少女の姿は、人に少し魚の混じったような姿になっていた。
バランスが崩れたホースは水中に倒れ込む。
落下の衝撃で入ったヒビから海水が入る。
少女は、素早くホースから泳いで離れる。
ホース、重要な働力機関がショートを起こし、爆発した。
「全く、昔の人はなんでこんなもの作ったのよ」
そう少女は呟きながら、爆発したホースの破片を泳ぎながら拾い集める。